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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第2229話:新しい転移の玉配布

「……ですから新規の石板クエストの発給は本日から停止されます。各所属冒険者の持つ転送魔法陣と転移の玉も、今月一杯で使用不可能になります。御注意ください」


 ギルド前の空き地に、『アトラスの冒険者』のメンバーと関係者が集まっている。

 おっぱいさんから『アトラスの冒険者』廃止に至る経緯と、今後についての連絡事項が話されているのだ。

 いい天気でよかった。

 あ、新聞記者ズも来てるな。

 皆さん小難しげな顔をしている。

 あんまいい傾向じゃないな。


 『アトラスの冒険者』の廃止と捉えると寂寥感があるかもしれない。

 ただ異世界が介入する胡散臭い組織だったからな?

 ドーラ純正の、ドーラで運営できる組織を新たに作ることができるのは、望ましいことなのだ。

 ここは盛り上げねば。 


「ユーラシアさんから新『アトラスの冒険者』についての説明があります」

「はーい、こんにちはー。皆さんのアイドル、美少女精霊使いユーラシアのお出ましですよ」

「お出ましだぬよ?」


 笑い。

 掴みはオーケー。


「旧『アトラスの冒険者』に関するテクノロジーは、ギルドカード、転移の玉など全て使えなくなりまーす。ただし、一部補償として残してもらうよう本部と交渉中です。例えばギルド受付にあるフルステータスパネルとかをね」


 これはまだギルド職員にも言ってなかったかな。

 まだどうなるかわからんが。


「ギルドカードと古い転移の玉は大事に取っておいてください。研究の材料にできる可能性がありまーす」


 今月末まで『アトラスの冒険者』として活動できる。

 かつ『アトラスの冒険者』の廃止と同時に亜空間超越移動を行わなくなるということならば、転移の玉とギルドカードは回収しないのだ。

 いずれゆっくり研究する環境を整えられるんじゃないかな。

 特にギルドカードとパワーカードは特性が似ている。

 調べると面白いことがわかるかもしれない。

 難しいことはわかってるけど、異世界の技術者と交流を持ちたいなー。


「新『アトラスの冒険者』は独立採算制になりまーす。これまでは本部が赤字を補填してくれましたが、これからはそーはいきません。しっかり稼がないと潰れちゃいます。メンバーの数が少ないと黒字化が遠くなるので増やします。まずは四人、最早お馴染みの塔の村の冒険者エル、レイカ、リリーの三人に加え、帝国のルーネロッテ皇女です。拍手!」

「「「「「「「「パチパチパチパチ!」」」」」」」」

「新メンバーの基準ですが、上級冒険者クラスで信用できる人だったらいいと思います。働いてくれそーだったら自薦他薦問いません。ギルドが認めた時点で新メンバーです」

「待ってくれヨゥ! オレは上級冒険者なんかじゃないヨゥ!」


 ジーク君か。

 ハハッ、ジーク君がモブなんてことはよくわかってるよぅ。


「あくまでさっきのは、今後に入れるかもしれない新メンバーの基準ってことだよ。もちろん現在の『アトラスの冒険者』は全員新『アトラスの冒険者』で構いません。信用できるからね」


 少々の実力不足なんかよりも、信用の方がずっと大事だから。

 さて、そんなとこかな?


「では新『アトラスの冒険者』用の転移の玉を販売しまーす。玉とビーコンのセットになります。ビーコンは自分のホームに埋めてください。いいかな?」

「先輩、質問!」

「ボニーどうした?」

「お金がないんだ」

「はーい、ここは重要だからよく聞いてね。転移の玉とビーコンのセットは三万ゴールド。六日後に去年アルハーン平原の魔物掃討戦をやったとこの北で、もう一度魔物掃討戦をやります。これに参加してくれるなら、転移の玉セットの料金を二万ゴールドに負けます」

「安くしてくれても足りないんだよ」

「支払ってくれた料金は、新『アトラスの冒険者』の運営資金になりまーす。でも今すぐ払えということではないよ。利子なし催促なし、ある時払いで結構でーす。おゼゼがないから新『アトラスの冒険者』になれないということはないし、逆におゼゼがあればなれるというものでもないです。人間の信用大事、いいかな?」


 頷く皆さん。

 まあ『アトラスの冒険者』はいい子ばっかりだ。

 踏み倒すなんて思ってない。


「ギルドの正職員と店主の皆さん、出資者であるマルーのばっちゃんはタダだよ」


 配り配り、と。


「次、冒険者の皆さんどーぞ」


 マウ爺やゲレゲレさんもいる。

 全員参加だ。

 嬉しいことだな。

 おっぱいさんが名簿で出納をチェックしている。


「ユーラシア、ボク達はどうしたらいい?」


 塔の村の三人娘か。


「レイカとリリーはプロトタイプの転移の玉をそのまま使っててくれる? 塔の村がホームである限り機能は一緒だから。将来ホームが変わるようなことがあったら、新しいやつを申請してね。エルの持ってる転移の玉はギルドに来れないから新しいやつが必要だけど、一ヶ月待ってて。全てが終わった時点で販売する」

「わかった」


 『全てが終わった時点』で通じたようだ。

 現在の『アトラスの冒険者』が完全に終了し。異世界のしがらみがなくなった時、エルは真の仲間になる。

 その前にエルを取り返しに来る異世界『アガルタ』からの遠征軍を叩き潰さないといけない。


 さてと、転移の玉セットは全員に行き渡ったかな?


「新しい転移の玉は今までのやつとちょっと性質が違うんで説明しまーす。新しい転移の玉は個人を認識しません。誰でも使えます。貴重品だから今まで以上に管理はしっかりしてください」


 少し驚いてる人がいるな。


「転移は今までの転移の玉より多く、八人まで同時に行えまーす。それから転移に使用者の魔力を必要とするところは今までと異なります。転移に必要な魔力はごく少量ですが、自分のマジックポイントを空っけつにしないように注意してください」


 頷く皆さん。

 ルーキーならともかく、いっぱしの冒険者なら問題あるまい。

 マジックウォーターのストックくらい持ってるだろ。


「ボタンが二つありまーす。片方がギルドへの、もう片方がビーコンへの転移になります。あとは使って感覚を覚えてくださいねー」


 注意点はそんなとこか。

 最後に最も重要なこと。


「ひょっとすると、現在の転移の玉や転送魔法陣が使えなくなる期限が早まるかもしれません。新しい転移の玉はいつも携帯するようにしていてください。以上です」

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