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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第221話:何かの目的があって作られたカード

 フイィィーンシュパパパッ。

 灰の民の村から帰宅したあと、パワーカード工房にやって来た。


「アルアさーん、こんにちはー」

「おや、いらっしゃい。素材を換金していくかい?」

「お願いしまーす」


 今回は海の王国で買った素材が一〇〇個もある。

 魔境や海岸で手に入れた分もあるから結構な量だな。

 交換ポイントは三二七となった。

 ドラゴンを倒した時に手に入れたレア素材『逆鱗』もあったので、結構な収入になっている。


 ちなみに海の王国で販売価格五〇〇ゴールドだった、ランダム二〇個入りの素材詰め合わせの売値は、どれも四〇〇ゴールド前後だった。

 期待してはいなかったが、残念ながらあれでポイント無限増殖というわけにはいかない。

 海の王国にも素材を必要とする人がいるようなので、あたし達が買い占めちゃ悪いしな。


「交換レート表だよ」 


 新しく交換対象になったパワーカードは以下の三種だった。

 いずれも交換ポイントは一〇〇。


 『ドラゴンキラー』【対竜】、攻撃が遠隔化、攻撃力+一五%

 『スカロップ』防御力+八%、魔法防御+八%、回避率+一〇%、毒無効

 『一発屋』攻撃力+一〇%、会心率+三〇%


「『ドラゴンキラー』はもっと早く出て欲しかったねえ」


 ドラゴン戦に間に合わなかったこともあるが、最初期にこれ持ってたらなと思わせるカードなのだ。

 『スナイプ』より攻撃力補正が小さい代わりに、対竜という攻撃属性がついているので単独でも使用できる。

 序盤、飛行魔物は強敵だったからなー。

 最初に『ドラゴンキラー』を『火の杖』の代わりにチュートリアルルームでもらってたら、クララは後衛から物理攻撃するスタイルになってたかもしれない。


 今やクララは純粋ヒーラーだ。

 うちのパーティーは特に火力が足りてないわけじゃないから、『ドラゴンキラー』を装備してまで殴りにいく必要性を感じない。

 いや、まだイビルドラゴンと戦う機会でもあれば、『ドラゴンキラー』にお世話になるかもしれないのだが。


「何のカードが交換対象になるかというのは運もあるね。もっともより普遍性の高い素材で交換できるパワーカードが、リストの上部に記載してあるのは間違いないよ」

「そーなんだ?」


 リストの上のほうから交換可能になってるあたし達は、ふつーに順調ってことだな。

 もっともレア素材による解禁カードは多いからありがたい。


「『ドラゴンキラー』以外の二つはどうだい?」

「悪くないねえ」


 『スカロップ』はクララの初期装備『エルフのマント』に似たカード。

 『エルフのマント』ほど極端ではなく、防御力もアップすることと毒無効で使いやすくなっている。

 『一発屋』は会心率をかなり引き上げる面白いカード。

 固有能力のおかげで元々会心率の高いアトムとは相性いいかも。


「どうする、交換してくかい?」

「今はいいでーす。あ、こんなカード手に入れたんだけど、アルアさん知らない?」


 バエちゃんにもらった『刷り込みの白』を見せる。

 もちろんアルアさんの工房でも交換対象になっていない珍品だ。


「……全然知らないカードだね。『コピー』ってスキル、これは何だい?」

「直前の味方の行動を、装備の効果ごと『コピー』するバトルスキルなんだって。わかんないことも多いから、ここの外で試しに使ってみようかと思って」

「ふむ、そうだね……」


 アルアさんでも全然知らないパワーカードか。

 『刷り込みの白』を注意深く眺め回しているアルアさんが言う。


「パワーカードの始祖ロブロ師には、アタシの婆様を含め四人の弟子がいたんだ。これはロブロ師の基本に忠実なカードじゃないし、婆様の作るおっかしなカードでもない。残る三人の弟子か、そのまた弟子の作だね」

「随分色々わかるものなんだねえ」


 『刷り込みの白』を返される。


「『コピー』ってスキルを実装するために非常に苦心した跡が見える。かなりレア素材も使ってるね。お遊びで実験的に作ったものじゃなく、何かの目的があって作られたカードだよ」


 何らかの目的、つまりこのカードなくしては倒し得ない敵がいたということに他ならない。


「最近、ゼンさんはどう?」

「もう『スラッシュ』や『ナックル』みたいな、ごく基本的なカードは任せられるね」

「早っ! やるなあ」

「ちょっと肩の力が抜けてきたのはいい傾向だ。ただ自動回復や耐性、スキル等に関する知識を元々持ってなかっただろう? そっちを鋭意勉強中だよ」


 頑張ってるなあ。

 よーし、あたしも!


「行ってきまーす!」

「気合いの入ったいい顔だね。行っといで」


          ◇


 さて、アルアさん家の外で『刷り込みの白』の検証を行ったのだが。


「……結論から言うと、結構すごいスキルだな」


 もちろん『刷り込みの白』に付属する『コピー』の話だ。

 誰を『コピー』するかを決められず、直前の行動者のマネとなるのはネック。

 たまたまスタンしたりすると『コピー』者も何もできない、なんて間抜けなことも確かに起こり得る。


 しかし『コピー』自体の発動コストであるマジックポイントはごく少なく、また直前の行動者のマネに関しては何とコストがかからない。

 わかりやすい例でいうと、最強魔法『デトネートストライク』は全てのマジックポイントとほとんどのヒットポイントを消費するスキルだが、『コピー』者はノーコストで撃てるのだ。

 いや、そんな機会はないけど。


 自動回復については『コピー』された側の効果が適用されるので、おそらく耐性についても同じだろう。

 『装備の効果ごと複写する』という能力は文字通りと考えてよさそうだ。


「どうすれば倒せる、という対策のある強敵相手には大変有効だと思います」

「いつも装備しとくカードじゃねえなあ」

「エクストラなカードでいいと思うね」


 とりあえずカード編成は元のままでよさそう。

 何たってレッドドラゴンを倒した編成だもんな。

 特に瞬間火力が必要になる魔物を倒す際、アトムに装備させてあたしの行動を『コピー』するとゆー使い方になりそう。


「『刷り込みの白』はアトムが持ってなさい」

「へい」

「あと今日の予定は肉狩りとバエちゃんとこか。時間が余るね」

「コブタマンを多めに狩りましょう。私達が処理・冷凍してる間に、ユー様がギルドでクエストの確認をしてはいかがですか?」

「よし、採用」


 転移の玉を起動して帰宅する。

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