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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第219話:悪魔ヴィルと『黒き先導者』パラキアス

「……とゆーわけで、新しいパワーカード『刷り込みの白』を手に入れました。意見をどーぞ」


 チュートリアルルームから帰宅後、うちの子達の意見を聞く。

 こういう場合、先陣を切るのは大概アトムの役目だ。


「付属してるスキル『コピー』が大問題でやす」

「うんうん」


 『刷り込みの白』は、直前の味方の行動を繰り返すという効果のバトルスキル『コピー』を使えるだけのカードだ。

 能力値補正も耐性もないので、議論も『コピー』についてが中心になるだろう。


「間違いなく火力を倍増するという目的のために作られたスキルでやす」

「そうですねえ。うちのパーティーの場合には、やはりアトムが装備してユー様の攻撃を『コピー』するのが最善です」

「あたしが装備して、ダンテの極大魔法を『コピー』するのは邪道だったか」

「ユースするケースがないね」


 こら、呆れるんじゃない。


「ボス戦には有効でやすね」

「ザコ相手はどうかな?」

「姐御の『雑魚は往ね』を使う場面だったら必要ねえ、と思いやす」

「そーだな」


 あたしの『雑魚は往ね』が通用しない魔境ならどうか?

 いや、もうオーガやケルベロスが相手なら『雑魚は往ね』効くかも。

 あたしの『薙ぎ払い』をアトムが『コピー』して四連続で浴びせるオプションはある。

 でも魔境の魔物は『薙ぎ払い』×四じゃ倒れてくれない。

 使用する場面は限定的だ。


「コストはどうなるね?」

「コスト?」

「ファーストムーバーはスキルコストを払っても、『コピー』のフォロワーがコストを払えないケースね」


 なるほど、『コピー』使用者が十分なマジックポイントを持ってない場合か。

 どうなるんだろ?


「問題だな。ダンテ偉い」

「耐性や自動回復の適用も気になりますね」

「……試してみなきゃわかんないことが多いな」


 となるとどう行動すべきだ?


「明日の朝、まず新しい『地図の石板』が来てるだろうから回収する。至急じゃなかったら灰の民の村でパラキアスさんに会うでしょ? その後アルアさんとこ行こうか。プロの意見を聞きたいし、あそこはカードのテストに手頃だし。お肉はまだあるんだっけ?」

「はい、あります」

「じゃ、それは灰の民の村へお土産に持っていって、夜の分は狩りに行こう」

「「「了解!」」」

「寝るぞー」


          ◇


 ――――――――――五三日目。


 朝からアトムとダンテを連れて海岸に来た。

 クララは家で待機だ。

 もし至急のクエストが出た場合は飛んでくる手筈になっている。


「石板ゲット、っと」


 新しい『地図の石板』を手に取ると、ズウンという地響きがした。

 さて、どこ行きのクエストが出たかな?


「姐御、至急だと困りやすね」

「予定狂うのが嫌だよね。でも至急のクエストなんてそうそうないと思うんだ」


 クララが来ないところみると、急ぎの案件ではないようだ。

 よかった。


「じゃ、他の素材も回収して帰ろ」


          ◇


「ただいまー」

「お帰りなさい」


 海から帰ると、クララの声に元気がない。

 というか困惑しているようだ。

 どーした?


「変な顔してるクララも可愛いよ。何かあった?」


 といっても転送先がおかしいとしか考えられないのだが。


「新しい転送先が……」

「だよね。至急じゃないんでしょ? じゃあゆっくり吟味すればいいよ。今までも変なのあったし」

「そうですねえ」

「どこ行き?」

「相当おかしいので、ユー様自身で確認することをお勧めします」

「あれ、珍しくクララがエンタメ推しだぞ?」


 逆に楽しみなんだが。

 東の区画へ行き、新しく設置された一四番目の転送魔法陣の上に立つ。


『ドリフターズギルド・セットに転送いたします。よろしいですか?』


 何ですと?


「どーゆーことだってばよ?」

『どうもこうもないってばよ!』

「転送魔法陣さん、アドリブ利くようになってない?」

『気のせいです』


 気のせいだったか。

 しかし?


「えーと、ギルドでクエストが待ってるってことね?」

『はい』

「了解。転送は今度にする」

「姐御……」


 アトムが不安げに声をかけてくるが、まあ急ぎじゃないし。


「同じとこ行きの転送魔法陣が二つあっても困るよねえ。場所がムダだ。撤去できるのかな?」

「アナザープレイスに変更するかもしれないね」


 うむ、今までも行き先変更はあった。


「これ、今までの魔法陣からギルド行ったらクエストにならないとかの、変な罠あり得る?」

「さあ?」

「考えてても仕方ないや。まず灰の民の村行こう」


 あとでポロックさんなりおっぱいさんなりに聞けばいい。


          ◇


 テクテク歩いて灰の民の村へ。

 あ、ラッキー。


「こんにちはー!」

「やあ、ユーラシア」

「こんにちは、久しぶりだね」


 灰の民の現族長サイナスさんと、浅黒い肌の精悍な男性パラキアスさんが挨拶を返してくれる。


「君、今日は何しに?」

「パラキアスさんが来るっていうから挨拶しに」


 二人は驚く。


「私の居場所を把握してるのか?」

「うちの子を紹介したかったから、会える機会を狙ってたんだよ。ヴィルカモン!」


 しばらくの後に現れる幼女悪魔。


「じゃじゃーん、ヴィル参上ぬ!」

「……高位魔族?」

「そうぬよ?」

「ヴィルにパラキアスさんの居場所をチェックしてもらってたの」


 パラキアスさんが面白いものを見る目で眺める。


「聖火教の礼拝堂で悶着起こした悪魔というのがこの子だな?」

「うん」

「おい、聞いてないぞ!」


 サイナスさんが声を荒げる。

 灰の民の村にヴィル連れてきたの初めてだったかな?


「ごめんよ、忘れてた」

「忘れてたって……」


 呆れるサイナスさん。

 いや、重要度が低かったから。


「パラキアスさんはどうしてカラーズに? 掃討戦跡地の利用について?」

「理由の半分だな」

「じゃあやっぱ帝国との戦争が近いの?」

「どうしてそうなる!」


 サイナスさんは驚くが、だって戦争になったらレイノスに食料送れくらいしか、パラキアスさんがカラーズに来る用がないじゃん。


「大した洞察力だ!」


 パラキアスさんが満足げな声を出す。


「で、私に悪魔を紹介するという、その心は?」

「あたしからパラキアスさんに連絡取りたい時、ヴィルを飛ばすよ。パラキアスさんもただ悪魔が近付いてきたら警戒するでしょ?」

「確かに。しかし君が私に知らせたいことがあるのか?」

「リリ何とかいう帝国の第七皇女、ドーラに来てるよ。今デス爺の塔の村にいる」


 パラキアスさんが眉をピクリと動かす。

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