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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第213話:ダメな子ほど可愛い

「ただいまっ!」


 入り口とは全然違う、南の裏手の方から出てきたあたし達にビックリしたようだが、帰還には村人達皆が喜んでくれた。

 もう特に敵意とかはなさそう。


「遺跡の中に財宝はなかったけど、これお土産ね」

「洞窟コウモリではないですか。こんなにたくさん!」

「村の皆で食べてよ」


 どっと沸く村人達。

 洞窟コウモリも美味いからなあ。

 お肉イズジャスティス。


「南に温かい空気が出てくる大穴があることは知っておりました」

「きっとそこがあたし達が出てきたとこだ。中で繋がってるの。でも南の大穴の方から中に入ろうとしちゃダメだよ。洞窟コウモリがわんさかいるから、足元不安定な時に攻撃されると何にもできなくて危ない」

「洞窟コウモリはこの辺でたまに捕れる、おいしい肉質の飛行魔物として知られていますが……」

「遺跡の中にごっそり住み着いてる。初級冒険者程度の実力があれば狩れるよ」

「しかしどういうわけか魔物に攻撃が当たらないのです」

「地下遺跡の中央にトロルメイジのいる、大きな六芒星の描かれてる部屋があってさ。どうもその六芒星と六つの宝玉で物理攻撃無効の力場を発生させていたようなんだ。中にはもう、おかしな力場もなければ強い魔物もいないから大丈夫」

「そうですか! よいことを聞かせていただいた」


 地下遺跡は自由開拓民集落バボの財産になり得る。

 あの温室があれば、洞窟コウモリはすぐ増えると思うよ。

 嬉しそうな村長に言う。


「洞窟コウモリを狩れるなら、少々土地が肥えてなくても飢えることはなくなる。もう追い剥ぎは止めてくれないかな。後味悪いでしょ、危険だし。あんた達が獲物にしようとしたこの二人でも、本気で戦ったら村全滅だったぞ? それくらいの実力者だ」

「は、はい……」


 村長が憮然とする。


「今後、西の果ての塔の村が発展するから、街道を通る人がぐんと増えるよ。旅人達向けの店や宿屋で儲けよ?」

「塔の村?」


 塔の村のことは知らないみたいだ。


「塔の村には大規模なダンジョンがあってさ、冒険者を集めて素材を回収し、レイノスなんかに転売して稼ごうとしてるんだ。今急速に賑わってきてる。街道に近い集落は、塔の村の発展に乗っかるチャンスだよ」

「バボは西域街道と直接面しておらず、他の集落とも交遊がありませんのです。外のことはさっぱりわからず……」

「もったいないな。街道と繋がってないとドーラの発展に取り残されるぞ?」

「近いですので、街道まで村域を広げるようにいたします」


 街道や他の集落と無関係の村ってのもあるんだな。

 盗賊村だけのことはある。

 しかし今後は他から完全に独立した集落なんてものは、ドーラじゃ存在し得なくなるんじゃないか?

 ん? クララ何?


「うちの子が何でサツマイモを植えないのかって言ってる。必ずよくできるはずだって。植物の精霊の言うことだから確かだよ?」

「いや、苗が手に入らないので」


 他所と関係を持たない集落だからか。


「今度種イモ少し持ってきてあげるから、来年植えなよ」

「何から何まで、ありがとうございます」


 村長並びに村人達が感謝の言葉を述べる。

 いいんだよ、皆が健全に発展しようぜ。


「さてと、リリー達はどこで武者修行する予定なの?」

「決めとらん」

「えっ?」

「ユーラシアはドーラ各地に詳しいのであろ? いいところがあったら教えてくれ」

「何も決めずにおん出てきたのかよ!」


 あやうく『国を』って口に出しそうになったわ!

 リリーが帝国の皇女ってことは知られない方がいいんだよね?


「黒服さん、あんたがついていながらどーゆーこと?」

「いや、言い出すと聞かない方ですので……」

「うわっ、ダメな子ほど可愛いやつだ!」

「何おう!」


 アカン、村人達がいるから話すに話せん。


「ひとまずあたしん家においで。ちょっと待っててね、すぐ戻るから」


 転移の玉を起動し帰宅。

 転移の玉の人数制限に引っかかるから、うちの子達は置いてと。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 ふむ、このタイミングか。

 レベルが五七となる。


「リリー達連れてくるよ。何か飲み物の用意しといてくれる?」

「わかりました」


 種イモ用のサツマイモを引っ掴み、一人でバボの集落へ戻る。


「おまたせ! 村長、これ種イモ。来年使って」

「本当にありがとうございます!」

「じゃあ頑張って、健闘を祈る!」

「「「「さようなら!」」」」


 転移の玉を起動し、リリーと黒服を家へ連れ帰る。

 リリーが感心している。


「ほー、便利な術だの。ドーラの術なのか?」

「いや、これは『アトラスの冒険者』のシステムだよ」

「『アトラスの冒険者』? 何だそれは?」


 おっと、黒服は知っているようだ。

 さすがに皇女のお付きだけのことはあるなあ。


「世界の調整者と言われる人達ですね。『地図の石板』なるキーアイテムを手に入れることにより転送・転移を使いこなし、各地のクエストを解決するとか」

「何だ、体のいい使い走りか?」


 使い走りかあ。

 間違っちゃいないな。


「謎が多いんだけどね。『アトラスの冒険者』とドーラの中枢は全然関係ないんだ。高度な情報を持っている中立の団体が、自動でクエストを収集して所属する冒険者達に分配してる気がする。今回の『遭難皇女:至急』って出たんだよ。だからリリーが皇女ってわかったんだけど」

「お嬢様、『アトラスの冒険者』は稀ですがカル帝国本土でも耳にすることがあります。そういうものがある、という理解でよろしいかと」


 リリーが胡散臭そうな顔をする。


「振り回されてるだけではないか?」

「いや、クエストごとに転送魔法陣が設置されるんだよ。だから結果として、クエストを解決するごとに行けるところが増えるの」


 東の区画に案内してずらっと並んだ転送魔法陣を見せる。


「これ全部行先が違うんだ」

「では先ほどのここへ来るときに使った、玉のような装置は何だ?」

「あれは自分のホームに戻るための装置。転送魔法陣は誰でも使えるけど、転移の玉は『アトラスの冒険者』として登録されている者だけが使える。で、あたしを含めた四人までが一度に転移できるの」

「ほう?」


 リリーはちょっと『アトラスの冒険者』に興味を持ったようだ。


「『アトラスの冒険者』になるにはどうしたらいいのだ?」


 知らん。

 あたしが聞きたいくらい。

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