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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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2036/2453

第2036話:やってたのは子守り

 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、精霊使い君。ドミティウス様、ルーネロッテ様、お帰りなさいませ」


 フェルペダから皇宮に戻ってきた。

 いやあ、フェルペダの料理はおいしかったな。

 脂の乗った鳥のお肉もだけど、すごく食欲をそそる匂いの食用油を使ってる。

 あれは何だろうな?

 いずれチェックしないといけない。


 サボリ土魔法使い近衛兵が言う。


「新聞記者達が来ているよ」

「ちょうどよかったわ。画集モデルについて相談しないといけないんだ」


 明日は夜にチュートリアルルーム行く以外特に予定がなく、時間に余裕がある日だ。

 ヴォルヴァヘイムへ行って探索を進めるつもりだったけど、先にイシュトバーンさんにモデルをあてがった方がいいかもしれない。

 また右手が疼くの何の言い出すからな。


「新聞記者は記事ネタが欲しいんだと思うが」

「いつものことだね。フェルペダは記事になるかなあ?」


 東の遠国の事情は、あんまり帝都市民の興味を引けないような。


「ユーラシアさん大活躍だったじゃないですか」

「あたしがやってたのは子守りだぞ? 交渉は閣下とウルリヒさんにお任せだったから、あたしはチラッとも聞いてないし」

「子守り? ウルリヒ様が面白い王女と言ってたという?」

「そうそう、その子」

「年少の方なのかい?」

「一八歳って聞いたな」

「ええ? 立派な大人じゃないか」


 年齢だけ見りゃ大人だけど、あたしのやってたことは子守りで間違いない。

 閣下もルーネも頷いとるがな。


「盛りだくさんだったんだ。何度も話すの面倒だから、新聞記者トリオがいるところで話すよ。フェルペダとの交渉はまずまずなんだよねえ?」


 閣下が言う。


「交渉というか、帝国がこうなるからよろしくという通達だったな。ユーラシア君が王女を大人しくさせてたから、何ということもなかった」

「それほど影響力のある王女なんですか?」

「ある意味影響力が強いと言えるな」

「問題児だぞ?」


 どーして皆があたしの方を見るのだ。

 あたしは問題児じゃねーわ!


「まー王女があのままだったら、三〇年後にはフェルペダって国はなかったんじゃないかな。他に有力な王位継承権保持者がいなければの話だけど」

「同感だね」

「あたしは放って帰りゃいいと思ってたの。でも閣下とウルリヒさんがどうにかしろって言うから」

「どうにかなるのが聖女らしいということだよ」

「あまりにも聖女が有能だから、皆に頼られてしまうわ」


 笑いながら近衛兵詰め所に到着。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「「「ユーラシアさん!」」」


 新聞記者トリオの返事に何故かヴィルとルーネが飛びついてくる。

 あれえ? 新しいパターンだな。

 まあいいけれども。


「今日はフェルペダ行きだというお話でしたが」

「うん。本来の目的については閣下に聞いてね」

「記事にして読者が喜びそうなことは、本来の目的とは関係のないところにあったということですね?」

「カンがいいね」


 どうも帝都の新聞はエンタメ方向に振り切れてるんだよな。

 購読者が求めているのはエンタメだから仕方ないわ。

 だからこそ廉価エンタメ本の売れる素地があるとも言える。


「ビバちゃんっていうとんでもなく我が儘な王女がいてさ」

「「「ビバちゃん?」」」

「あ、長い名前だから覚えられなかった」

「ビヴァクリスタルアンダンチュロシア様ですよ」

「何があったんですか?」


 騎士が槍向けてきたのは面白い話だったけど、報道になるとよろしくないな。

 帝国の使者に対して無礼だと、市民の間に反フェルペダ感情が芽生えるかも。

 お父ちゃん閣下やウルリヒさんはフェルペダの現体制と仲良くやっていこうという方針のようだから、フェルペダに対する反感を抱かせちゃいけない。


「ビバちゃんは『アイドル』っていう、周りの人を自分に夢中にさせるレアな固有能力持ちなんだ」

「えっ? それで我が儘だったらやりたい放題じゃないですか? 止められる人いないでしょう?」

「止められないから天然ものの我が儘なんだよ。しかもビバちゃんは王位継承権一位なんで、遠からずフェルペダは滅びるだろうと思った。でも閣下とウルリヒさんが何とかしろって言うんだ。フェルペダに対して優位に交渉できる、フェルペダが混乱すると東方貿易が縮小するからって」


 あれ、こーゆーのはメモするのな?

 面白シーンは動機まで必要とするらしい。


「ユーラシアさんが何らかの手段を使って、我が儘王女をやりこめたという話なのでしょうか?」

「ユーラシア君はギロチンゲームなるものを始めたんだ。もちろんフェルペダ側の了解を取ってだが」

「「「ギロチンゲーム?」」」

「お題を出すから答えてください。間違ったらうなじのとこトンってして気絶させる、擬似ギロチン感覚を味わってもらいますっていうゲームだよ。平民に今日食べるパンすらないのですと泣きつかれました、どうしますかっていう問題に、ビバちゃん何て答えたと思う? 『パンがなければお肉を食べればいいじゃない』だぞ? 同席してたフェルペダの重臣の皆さんは呆れてるし、国王夫妻は頭抱えてたわ」


 第二問第三問についても説明。

 十分紙面は埋まるだろ。

 サボリ君いつまでもサボっとらんと、持ち場に戻りなさい。


「能力が能力だから、ビバちゃんには教育係もつけられず、野放しに近かったみたいなんだ。本人の意識が変わったから、今後は大丈夫だと思いたいけど」

「ユーラシアさんに魅了効果は効かないんですか?」

「レベルがある程度あると効かないみたいだな。ルーネも抵抗できてたよ。それからビバちゃんはイケオジ好みでさ。閣下やウルリヒさんみたいな人がストライクで、自分が好みの人には効かないから、虜にするってことはできないんだって」

「ははあ、強力な分、制限もある能力なんですね?」

「自分を律することができるなら、女王に相応しい能力だと思うよ」


 ビバちゃんマジでこれからの子。


「ところで記者さん達明日時間ある? 画集のモデル候補のとこ案内してもらいたいんだ」

「わかりました。朝、ここ詰め所に来ていればいいですか?」

「うん。お願いしまーす」


 よし、終わり。


「ユーラシアさんは今日これからどうするんですか?」

「お土産のちょこれえととお酒を買って帰るつもりだよ」


 さて、出かけるベ。

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