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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第196話:スキルを買う、それには理由があるのだよ

 塔の村から帰宅後、本の世界でコブタマンを狩る。

 今日は昼御飯が軽めだったので、夜はしっかり食べたいのだ。

 お肉は正義。


「クララがお肉捌いて、ダンテはそのサポート。アトムは海辺で夕食分の野草摘んどいてくれる? あたしはチュートリアルルームでスキルスクロール買ってくる」

「「「了解!」」」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「ユーちゃん、いらっしゃい」

「あっ、ソル君アンセリ久しぶり!」

「こんにちは、ユーラシアさん」


 ソル君パーティーがチュートリアルルームに来ていた。

 ソル君、ちょっと精悍な顔付きになったなあ。

 冒険者として成長しているのがパッと見でわかるわ。


「今日はクエストの報告に来たのかな?」

「はい」

「順調そうで何よりだねえ」


 後輩が頑張ってると嬉しいものだ。

 でもソル君、顔が曇ってるじゃないか。

 どうした?


「いや、クエストは問題ないんですけど……」


 アンセリが聞いてくる。


「ダンが吹聴してるんだ。ユーラシアさんが新人冒険者を魔境へ連れ回して、魂の抜け殻にしたとか」

「本当なんですか?」


 抜け殻になっちゃってるのか。

 ラルフ君も可愛い後輩なので、脱落しないで欲しいものだが。

 バエちゃんの給料に影響しそうだし。


「うーん、本当」

「昨日のラルフ君の話?」

「そうそう」


 バエちゃんは納得だが、ソル君パーティーが『?』って顔をしている。

 簡単に説明するか。


「ラルフ君知らないかな? 緑髪のひょろっとした子なんだけど」

「二、三日前に見ましたね。彼が問題の新人冒険者ですか?」


 ソル君の問いに答える。


「ラルフ君は『威厳』っていう、弱者を踏みつけにできる固有能力持ちなんだけど……」

「ユーちゃん、言い方」


 バエちゃんが笑って続ける。


「『威厳』は相手が人間か魔物かに関係なく、自分よりレベルの低い者に対して有利にことを運べるというものなの。だから当然、ラルフ君自身のレベルが上がるほど能力を発揮する機会が多くなって、強くなる理屈でしょう? それでユーちゃんがレベル上げ手伝ってあげてたの、魔境で」


 アンが頷く。


「ああ、ダンの言ってることがわかった。でもどうして魔境なんです? 危なくないですか?」

「魔物の経験値が高くてレベル上げには効率がいいから。蘇生魔法があるから大丈夫だよ、って言ったんだけどな」


 皆が苦笑する。

 お調子者のダンがノリノリでスムーズに魔境行きが決まったから、ラルフ君の希望は通らなかったとゆーことは言わない。


「ラルフ君、レベル七でギルドまで行ったんだって。早いでしょう? ソール君はギルド辿り着いた時、レベルいくつだった?」

「九ですね」


 うちはギルドに初めて行った時、三人パーティーで全員レベル八だった。

 一人でレベル七というラルフ君は相当スムーズだったと思う。


「ラルフ君、装備品や戦い方も決めかねてたからさ。パーティーによさそうな人誘うのが先で、バランス見て自身の戦い方決めればいいんじゃないかと思ったんだ。レベルさえ上がれば『威厳』で人誘うのも簡単だろうし。でもレベル七じゃパーティーメンバー選ぶのキツいわ」


 普通の『アトラスの冒険者』がギルドに到達するレベルより低いんだから。

 『威厳』を生かすなら、最低二桁のレベルは欲しいと思った。

 セリカが納得したように言う。


「そういう事情だったんですね。魔境ではどうだったんですか? 例の『雑魚は往ね』大活躍のパターンですか?」

「いや、魔境の魔物強いからさ。向こうの攻撃受けるの危険なんだ。だからなるべく向こうにターン回らない内に倒しちゃうことにしてた。でもさすがに人形系レア魔物の先手は取れないんだよ。あらかじめ全力で防御って指示したけど、ラルフ君『フレイム』で焼かれて瀕死になってたな。経験値を優先し過ぎた」


 全員があーみたいな顔してる。


「最終的にどうなったんです?」

「ラルフ君のレベル一四まで上がったけど、喋らなくなっちゃった。魔境はショッキングだったのかなー」

「一四? 倍ですか」


 ソル君が驚く。


「冒険者として続けられるなら、レベルは財産ですよ。もったいないくらいの経験です」

「あたしも良かれと思ってやったことなんだけど、すこーしスパイスが利きすぎてたかなと、反省してるところなんだよ」

「すこーしなんだ」


 バエちゃんが笑う。


「過ぎたことはしょうがないわよ。ところでユーちゃん、今日は何の用だったかしら?」

「『薙ぎ払い』のスキルスクロール買いに来たの」


 アンが不思議そうな顔をする。


「『薙ぎ払い』? ユーラシアさんには『雑魚は往ね』があるじゃないか。今更『薙ぎ払い』が必要なのか?」


 『薙ぎ払い』も『雑魚は往ね』も全体攻撃スキルだから、いらないんじゃないかって発想になるんだろうな。

 ふっふっふっ。

 あたしが『薙ぎ払い』を買うのには理由があるのだよ。


「実は、人形系レア魔物を一撃で倒せるパワーカードを作ってもらえることになったんだ」


 ソル君パーティーが驚く。


「とんでもなく強力な武器ですね!」

「いや、そーでもないの」


 パワーカード『スラッシュ』を出して説明する。


「これ、『アトラスの冒険者』を始める時にバエちゃんにもらった、ごく基本的な武器系のパワーカードだよ。性能が『【斬撃】、攻撃力+二〇%』なの。普通でしょ?」

「普通ですね。むしろこれだけでは攻撃力が物足りないくらいです」

「パワーカードは組み合わせの工夫次第だから、単体では確かに弱いくらいだな。武器系のカードの基本は、何かの攻撃属性と攻撃力+二〇%みたいでさ。今度手に入れられることになったカードは『【衝波】、攻撃力+二〇%』なの」

「衝波? あっ、防御力無視属性!」

「そうそう。だから人形系でも通常攻撃でダメージ与えられる。で、衝波属性を乗せて『薙ぎ払い』すると、複数体の人形系レア魔物が並んでも一撃で倒せる」


 セリカが間抜けな声を出す。


「ほへー、何だかワクワクしますねえ」

「でしょ? 魔境は比較的人形系レアが多く出るんだよ。だから人形系を狙い撃ちして、おゼゼと経験値を稼ごうと思うんだ。まだ見てないけど、あの掃討戦の時に皆で倒したデカダンスっていたでしょ? ドラゴンが住んでる辺りまで行けば、あれも出るって話なの」


 メチャメチャ経験値高かったし楽しみだなあ。

 ソル君が笑う。

 ズラッと並んだ人形系レアを一撃で倒す。

 ザッツロマン。

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