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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第179話:オニオンさんとおっぱいさん

「料理来たっ! いただきまーす!」


 ダンが魔境ガイドを務める眼鏡の小男に話しかける。


「ペコロスさんは俺もあんまり面識ないんだよ」

「ずっと魔境勤務ですからね。食事も家で取ることが多いですし」

「ふーん。オニオンさんはいつから魔境担当なの?」


 食堂で大皿の肉料理と揚げ物、野菜盛り合わせ、飲み物を前に、まずオニオンさんをネタにする。

 魔境についてはもちろんなんだろうけど、オニオンさんは知識のある人のような気がしているのだ。

 情報を聞き出したい。


「五年近くになりますかね」

「ペコロスさんは歳はいくつになるんだ?」

「二七です」

「サクラさんはいくつなの?」

「ばっ、おまっ!」


 ダンが焦るが、サクラさんは若い。

 聞いちゃいけない年齢じゃないのだよ。

 男性陣が聞くのはルール違反かもしれんけど。


「二三ですね」

「今日オニオンさんに、何か質問がありますかって聞かれたから、ギルド依頼受付所のサクラさんどう思うって聞いたら、素敵な方って言ってたよ」


 盛大にオニオンさんが茶を吹いてる。

 何やってんだよ、タマネギ噴水か。

 おっぱいさんはお年頃だな。

 メッチャ美人で依頼受付所なんて目立つところにいるのに、意外なほど男の影がない。


「あんた、質問って言われるたびピント外してねーか?」

「ド真ん中でしょ? 一番聞きたいことを聞いちゃうな。好奇心に身を任せるのは自然なことじゃない?」

「他にどんなこと質問してるんだよ。面白そうだから聞かせろ」

「あたしの石板クエストに、世界中の知恵と知識が集まる本の世界ってのがあるんだ。そこのマスターに何か聞きたいことあるかって言われたから、サクラさんのおっぱいはどうしてあんなに大きいのって聞いたことがある」

「ばっ……で、答えは?」

「素質と栄養だって、オニオンさんどう思う?」


 今度は咳込んでやがる。

 あんまりおいしそうじゃないタマネギを見た。


「ど、どうって、ユーラシアさんもこれからだと思いますよ」

「おお、ペコロスさんなかなかやるじゃねえか。今のはどう答えてもセクハラになる罠だと思ったぜ」


 ダンが妙な感心の仕方をしてる。


「あたしは多分、素質がないんだよなー。本の世界のマスターにも言われちゃったし。サクラさんのは女のあたしから見ても目を奪われちゃうんだよ」

「ありがとうございます」


 おっぱいさんがぺこっと頭を下げる。

 で、揺れる。


「ほら、色っぽいでしょ? ダンもそー思うでしょ?」

「思う」

「ま、おっぱいは置いといて、ギルドの裏技みたいなものってないかなあ?」

「話題の転換が急だな」

「いや、今日サクラさんとオニオンさん誘った目的はギルド関係なんだよ。口では何喋ってても目では鑑賞できるし」

「完全にオッサンだろ」


 呆れるダン。

 だがおっぱいさんは真面目に考えてくれている。


「ギルドの職員だからこそ、先に知ることのできるスケジュールとかはありますね」

「例えば何だろう?」

「掘り出し物屋さんが次いつ来るか、とか」


 ダンが食いつく。


「そうか、掘り出し物屋についてはサクラさんに聞けばよかったのか」

「私以外ですと総合受付のポロックさんも御存じですよ。別に秘密にしなきゃいけない事項ではありませんので」

「いいこと聞いたぜ。ちなみに掘り出し物屋は次いつ来るんだい?」

「まだハッキリ決まってはいないんですが、数日中に来るはずですよ。でも三日以内には来られないという連絡が入っています」


 今はお金あるし、注意してようかな。


「結構細かい連絡があるんだね?」

「いえ、普段は直前にならないと掘り出し物屋の都合はわからないんです。今回早めに連絡があったのは、売り残したくない消耗品がメインの商材だからなんじゃないかと思います」

「なるほどー、さすがサクラさん。ありがとう」

「お、ユーラシア悪い顔してるな。また掘り出し物屋で値切るつもりか?」

「何だよ、あたしを悪女みたいに」


 コミュニケーションだよコミュニケーション。


「他の冒険者が今どんなクエストを請けてるかとか、レベルいくつかを教えてもらうことはできるのかな?」


 ギルドはもちろんクエストを管理してるし、個々のレベルもほぼ把握してるはずだ。

 どの職員の担当になるかは知らないが。


「ある冒険者が何のクエストを請けてるかに関して、ギルドの方から教えることは原則ありません。内容が秘匿性の高いものもあるからです。『アトラスの冒険者』本人の大体の推定レベルならお教えできます」

「ちなみにユーラシアのレベルは今いくつなんだよ」

「三五だよ」

「三五かよ! 早えな。もっともあんたのレベル上げメチャクチャだからな」


 メチャクチャゆーな。


「いいことばかりじゃないんだよ。レベルあってもおゼゼがカツカツなの。でも今日魔境に行って、稼げそうなのがわかったからよかった。透輝珠二つもドロップしたんだよ。あれ一個一五〇〇ゴールドで売れるの!」


 藍珠も二個ゲットしてるしな。

 素材もかなり拾えるし、魔境いいところだ。


「あんたが金に不自由してるってのは謎だな? 結構稼いでいるように思えるが」

「あんまり稼いでないってばよ。オニオンさん、魔境で一つ輪の中に入ろうと思うと、レベルどれだけ上げたほうがいいのかな?」


 ダンが輪の中? って顔をするので、魔境の仕組みを説明する。

 魔境は中央の魔物が一番強くて、より弱い魔物がそれを取り巻き、さらに弱い魔物がもっと外という構造になってるんだよ。


「最外のオーガ帯から一つ内側のワイバーン帯まで、一般にレベル一〇の差があると言われていますね」


 むう、レベル一〇もか。


「本日、ベースキャンプ内からユーラシアさんの戦いぶりを拝見しておりましたが、装備品の属性相性が悪くさえなければ、ワイバーン帯では有利に戦えると思います。さらに内部はまだ不可能です」

「有利に戦えるっていうのは、死にゃあしないけど苦戦するってことでしょ? あたしそーゆーの嫌だなー」

「あのデタラメな一掃スキルはどうなんだよ?」

「『雑魚は往ね』? オーガはクリティカル頻発するんだってば。向こうの攻撃受けてからってのはないなー。効く気もしない」

「ほう、ユーラシアさんはあの超レアスキル『雑魚は往ね』の使い手でいらっしゃるのですか?」


 オニオンさんの目が光る。

 あれ? 『雑魚は往ね』を知ってるのか。

 オニオンさんは貴重な情報源です。

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