表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1788/2453

第1788話:黄の民の問題

 ――――――――――二七九日目。


「メッチャわさってる」

「メッチャわさってますねえ」

「メッチャわさってやすね」

「メッチャわさってるね」

「メッチャわさってるぬ!」


 うむ、見事な五段活用だ。

 言わずと知れた灰の民への村の通り道、湧き水の出るところのクレソンの生育状況についてだが。


「クレソンおいしいんだけど、量を食べようと思ったらどうしたらいいのかな?」


 メッチャわさってるからにはメッチャ食べるべきだ。

 でもメッチャサラダじゃ飽きるわ。

 大体サラダってメッチャ食べるもんじゃないわ。


「すり鉢が欲しいですねえ」

「えっ?」


 クララにアイデアがあるらしい。

 拝聴しようじゃないか。


「煮て柔らかくしたタマネギとクレソンを磨り潰して骨スープと牛乳で割り、塩で調味したらおいしいと思いますよ。ジャガイモやニンジンを入れてもイケます」

「なるほど。クリームシチューから派生して小麦粉を使わない発想か。やるなクララ」

「えへへー」

「赤の民のショップですり鉢売ってそうだね。牛乳と合わせて買ってこよう」

「「「了解!」」」


 すり鉢はかれえを作る時にも使うので、いずれ買う予定ではあった。

 いろんな食べ方ができるのもまた食文化の発展だ。

 食いしん坊ってゆーな。

 楽しみが増えたなー。


          ◇


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、いらっしゃい」


 JYパーク灰の民のショップにやって来た。

 サイナスさんも機嫌がいい。

 野菜やお弁当の売れ行きがいいのかな?


「お肉とクレソン、フィフィの本、それからゲッケイジュの枝をサイナスさん家に置いてきたからね」

「ありがとう。ゲッケイジュの枝とは?」

「昨日言い忘れたけど、魔境で取ってきたんだ。葉っぱを乾燥させたものが香辛料として使えるそーな。煮込み料理に必須とまでヴィクトリア第一皇女に言われたから、ドーラでも増やそうかと思って」

「ほう、有用な植物か」

「うん。実から油も取れるんだって」


 マルチに使える植物は利用価値が高いね。


「魔境に生えてることはちょっと前から知ってたの。ただお腹が膨れるものではないから保留してたんだよね」

「必須と言われて考え方を変えたと」

「そゆこと。クララによると育てるの難しくないし、今挿し木にいい時期なんだって」

「わかった。試験的に増やしてみよう」

「お願いしまーす」


 よしよし、いいだろう。

 香辛料やハーブの類も少しずつ増やしていくのだ。


「ところで黒の民って特にトラブルないよね?」

「黒の民? いや、聞いてないが。何かあったのか?」

「何かあったってことではないな。酢や醤油の生産に支障が出てるんじゃなければ、そう問題はなさそう。ピンクマンがしばらくギルドに来てないって話を聞いたからさ。チラッと気になってただけ」

「カール氏が? 彼、次期黒の民の族長だろう?」

「多分ね」

「現在のカラーズの状況は極めて好調なんだ。揉め事は困るぞ?」


 揉め事じゃないから心配することはないって。


「サイナスさんが知らないことならいいんだ。多分ラブい話だから」

「ええ? 決めつけるなあ」

「あたしのこの手のカン、外れないんだぞ?」

「放っとくのか? 君ラブい案件大好きじゃないか」

「我慢する。もうちょっと熟成させた方が面白くなる気がするんだ」

「エンタメの追求がひたすらにえぐい」


 アハハと笑い合う。

 まだ手持ちの醤油が結構あるからな。

 もう少し減ってから、買い物がてら様子見に行きゃいいや。


「君今からどうするんだ?」

「すり鉢と牛乳を買いに行く。クララが新しいスープを思いついたんだ。帰りに寄ってニンジン買ってくから、少し取っといてよ」


          ◇


「ふんふーん。あれ、フェイさんこんにちはー」

「こんにちはぬ!」


 すり鉢と牛乳を買って灰の民のショップまで戻ってきたら、黄の民の族長フェイさんがサイナスさんと話してた。

 フェイさんが出張ってくるの珍しいな?

 いつも大体黄の民のショップでどんと構えてるのに。


「活躍は聞いているぞ。世界を股にかけて活躍しているそうではないか」

「世界があたしを必要としちゃってるの」


 アハハ。

 で、フェイさんはどうしたの?


「ユーラシアに伝えておきたいことがあるようだぞ?」

「何だろ?」

「うむ、二つあるのだ。一つは開拓地北の森を魔物から解放し、移民居住区に組み入れる件だ」

「あっ、聞いてる聞いてる。『アトラスの冒険者』に協力してもらって、いっぺんにやるよ。『アトラスの冒険者』を巻き込む方はあたしに任せて。二ヶ月くらい先になるけど」

「カラーズから手伝いを出すべきか?」

「手すきの輸送隊員は魔物退治訓練を兼ねて協力して欲しい。それ以外はいらないんじゃないかな。掃討戦の時とは参加する冒険者のレベルが段違いだから、人数は余裕で足りちゃうと思う」

「いや、事後の焼き肉パーティーの手伝いだが」

「いるいる、メッチャいる!」


 さすがフェイさんだった。

 もう一つのあたしに伝えときたいこととは?

 ためらいがちのフェイさん。


「我が黄の民のことなのだが」

「あれ、何かトラブル?」

「御主人が嬉しそうだぬ!」

「こらヴィル、本当のことを言ってはいけません」


 大笑い。

 あたしはトラブルを待ち望んでるわけじゃない。

 面白いことが好きなだけなのだ。

 トラブルは面白いことの範疇なんだろうって?

 細けえことはいーんだよ。


「簡単に言うと、インウェンとの婚姻の件で、精霊使いは俺の一族から反感を買ったであろう?」

「それってまだ引きずってるんだ?」


 有力者の娘二人との縁談を壊してインウェンとくっつけたことか。

 半分忘れかけてたぞ?


「インウェンの件とは関係のないことで、俺の一族が問題を起こしてな。いや、正確にはまだ問題が表面化しているわけではないのだが、時間の問題だと考えている」

「要するに、どうにもなんなくなってあたしのとこに話が来るってことだね?」

「そういう段取りに持っていく」


 あたしが問題を片付けて恩を着せ、黄の民族長一族と和解してくれってことらしい。

 だから話を聞かれないように、わざわざ灰の民のショップまで来たのか。

 最初からあたしに解決させるなんてことになると、総反発食うに決まってるから。


「少し先になるが、よろしく頼む」

「オーケー、任せて。じゃーねー」

「バイバイぬ!」


 おっと、ニンジンを買っていかねば。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ