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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1711/2453

第1711話:紙面の都合でカットさせていただきます

「こんにちはー。美少女精霊使いユーラシアとその他大勢がやって来ましたよ」

「はい、伺っております。どうぞ」


 執政官室へ。

 マジでフリーパスだなあ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、いらっしゃい」


 主席執政官閣下とプリンスルキウス、加えて宮内大臣のレプティスさんもいる。

 皇帝選に出馬した三人だ。

 あたしが連れてきた双子皇子を合わせて、立候補者が全て揃ったことになる。


「もう皇帝選の立候補締め切りの時間だよね? 立ったのはこの五人だけで決まり?」

「そうだね」

「素の実力と人気の勝負でわかりやすいな」


 やはりカレンシー現皇妃系の皇子は誰も立候補しなかった。

 フロリアヌス殿下は騎士としてやっていくのだろう。

 フ殿下は既に婚約者がいるってことだったから、義実家の意向で立候補しないのかもしれない。


 ともかくセウェルス殿下とフロリアヌス殿下が立候補しなかったことで、皇位継承権の高低で競うことはなくなった。

 これは候補者横並びを指示した先帝陛下の望みにもかなうだろう。

 あたしには直接関係ないけど、実力皇帝時代の幕開けに立ち会えるのはワクワクするなあ。


 レプティスさんが興味深そうに聞いてくる。


「皇帝選のセレモニーをやる、ということだったか?」

「そうそう。先帝陛下の遺言によって行われる次期皇帝選挙は、神聖にして正当なものだ。結果に関しては恨みっこなしだぞ。新皇帝が決定したあとも協力し合うぞってやつ」

「もっともなことだな」

「実際に政治を与かってるお父ちゃん閣下プリンスルキウスレプティスさんは、最初から承知してたんだろうけどさ。パワーバランス的な理屈をわかってない双子殿下が立候補しちゃったから。でも皇帝選の意義と立候補者達の姿勢を内外に示しておくことは、悪くなくない?」


 お父ちゃん閣下プリンスルキウスレプティスさんが頷く。

 よーし、オーケー。

 双子皇子の面目は立つ、勝った新皇帝にもプラス、新聞記事にもなるから八方よしで万々歳だな。


「どーしてプリンスは分け目左右両殿下をあたしに押しつけたのよ?」

「ユーラシア君なら適当に処理してくれると思ったから」

「あたしはまだ施政館勤めじゃないから、報酬を請求するぞ。どこからもらえばいいのかな?」

「マルクスとガイウスから取り立ててくれ」

「そーする」


 あれ、どうしてマルクスガイウス両殿下は嬉しそうなのかな?

 美少女に御褒美をあげたい、殊勝な趣味でもあるんだろうか。

 ならもうちょっと構ってやってもいいな。


 お父ちゃん閣下が言う。


「セレモニーとは、具体的に何をするんだい?」

「特に考えてないけど、やったという事実が大事じゃん? 記者さん達が記事にして一定数の市民に浸透すれば、いい影響があるだろうなっていう話なんだけど」

「ユーラシア君の理屈はわかるのだが」


 何故閣下とプリンスは不満げなのだ。


「市民を集めて大掛かりなイベントにはしないのかい?」

「お仕事忙しいんでしょーが。何でそんなことしたがるのよ?」

「新聞記事にすることももちろん必要だ。さらにより多くの市民に周知させることが重要だからな」


 んー? 薬が効き過ぎているようだぞ?


「盛り上げることができるなら有効かもしれんけど、これはイベントとしては小粒だぞ? 盛り上がんないからやめた方がいい」

「しかし皇帝選の決起イベントだよ?」

「ユーラシア君は青汁飲ませるイベントでさえ盛り上げたじゃないか」


 閣下とプリンスがえらい乗り気なんだけど。

 レプティスさん笑ってないで止めてくんないかな。


「ユーラシア君なら盛況にできるだろう?」

「……ムリだな。バトル仕立てにして対決姿勢に持っていかないと煽れない。今回は仲良しこよしがテーマだから、退屈になっちゃう」

「そこを何とか」

「イベンターとしての手腕が疑われるから、あたしはやんないぞ? どうしてもやりたいならアデラちゃんに仕切らせりゃいい」

「アデラに?」

「アデラちゃんは来月から広報担当官みたいなお仕事になるんでしょ? 初仕事として振ってみればいい。同時に司会もやらせれば、アデラちゃんの顔も売れるし」

「では、明日の正午頃にでも……」

「うむ、アデラにそう伝えておこう」


 やんわり否定したつもりがマジでやる気だぞ?

 しーらないっと。


「もう少し新聞記事ネタが欲しいな。新皇帝となった暁には、皇帝選を戦ったライバルをどう処遇しますか? 閣下からいってみようか」


 立候補者同士のいい関係をアピールできることはわかるだろ。

 閣下プリンスレプティスさんが揃って頷く。


「予が皇帝となった場合、現在とほぼ変わらない。先に発表した閣僚人事を踏襲する。予の親政下ではあるがルキウスは執政官とし、公務を補佐させる。レプティス叔父上は変わらず宮内大臣だ」

「次、プリンスルキウス」

「予も基本的に閣僚人事は弄るつもりはない。レプティス叔父上は宮内大臣のままであるが、ドミティウス兄上を辺境地域開発と市民権改革担当の新設大臣としたい」


 ほう、ライバル人事と言いながら政策を盛り込んできたな。

 そして当面執政官を置くつもりはないみたい。

 お父ちゃん閣下も意外そう。


「レプティスさん」

「ハハッ、予が皇帝になることはない。ドミティウス、ルキウス、どちらが皇帝になるとしても宮内大臣の役どころは変わらぬようだ。せいぜい務めさせていただくよ。予に入った票は新皇帝への批判票であると、真摯に受け止めてもらいたい」

「おおう、レプティスさんやるなあ。最後に双子殿下」

「「予達は……」」

「紙面の都合でカットさせていただきます」

「「何でだ!」」


 大笑い。

 あんた達は目立っちゃダメだろーが。

 最後はオチ担当と、この世の法則で決まっているのだ。


「選挙の段取りはどうなってるのかな? 来月の一四日に帝都市民による一般選挙、翌日開票とは聞いたけど」

「来月天人の月一五日は市民票だけじゃなくて、貴族票も全て開票するんだ」

「つまり一五日が新皇帝が決まる日?」

「うむ」


 思ってた通りだな。

 六の月一五日は、ドラマチックで歴史的な日になる。


「遠隔地にいる領主さんの投票は間に合うのかな?」

「非常勤の施政館参与兼臨時連絡員の出番だよ」

「あたしのお仕事かー」


 わかっちゃいたが。


「さて、昼食は食べていくんだろう?」

「食べてく! ありがとう!」

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