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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第169話:エルは異世界の人

 実はあたしもえらそーに言えるほど、『アトラスの冒険者』について知ってるわけではないんだけどな。


「振ってもらったクエストをこなすことで、依頼料や経験値もらう仕組みだよ。運営側の選抜だからなろうと思ってもなれないこと。メインクエストは自分で選べるわけじゃなくて運営が勝手に配給すること。自分のホームを維持したまま転送魔法陣でクエスト先に飛べることが大きな特徴かな」

「『アトラスの冒険者』と一般的な冒険者とは、かなり違っていますね。レイノスでも『アトラスの冒険者』のパーティーメンバー募集はしてましたよ。しかしどうも即戦力を欲しがってたようなので……」

「ジンやハオランなら、『アトラスの冒険者』でもメンバーに欲しがる人はいたと思うけどな」


 ジンは『アトラスの冒険者』の存在を知ってたようだ。

 パーティーメンバー募集が経験者優遇ってのはその通りかもしれない。

 でもジンのような白魔法使いはどこ行ったって優遇されるだろうし、ハオランみたいな強力な前衛の固有能力持ちは、例えばソル君のパーティーなんかは欲しがるんじゃないかな。

 まあでもジンやハオランが西を目指したってことは、彼らの運命は塔の村にあったんだろう。

 なんちゃって。


「レイカの話を続けるよ。レイカったら、どうやら誰にも何にも言わずに村を飛び出してきてるんだよ。消息伝えとくよって言ったら、『赤く燃えている』と書かれた木札一枚だけ渡されたんだ。これで全て伝わるからって」

「どういうことだい?」


 エルが首をかしげる。


「いや、赤の民に十分通じるんだ」


 おいこら、ジンもハオランも疑いの目で見てるぞ。

 パーティーリーダーがそれでいいと思ってるのか?


「わけがわかんないでしょ? あたしも半信半疑どころか無信全疑だったけど、レイカがあまりにも自信満々だから、渡された木札を赤の民の村に届けたさ。そうしたらどうなったと思う? とゆーか村では何してたと思う? エルから順に答えてください」

「え? 村人が心配し過ぎて暗くなってたとか?」


 ブッブー。


「じゃあ意表を突いて、ユーラシアさんが誘拐犯扱いされたとか?」


 ジンもブッブー。


「木札で全てを察した」

「おお、ハオランすごい! 適当にその辺歩いてた村人に渡したら、レイカからってこともレイカが塔の村にいるってことも全部通じたんだよ。あたしが何も言わなくても」

「筆跡で誰かはわかる。あとは用いた木の種類や形、大きさ、インクの色、書かれた文句とその位置、止めの大きさやはねの角度その他もろもろで用件は全て伝わるのだ」


 したり顔でレイカは言うが、何だよその謎コミュニケーションは。


「村人は村人でレイカの心配してるかと思えば、何と賭け事の対象にしてるの。どこに行ったかで」

「塔の村にいた、はオッズ何倍だった?」

「一二倍」


 まあ妥当だなとか呟いてるけど、レイカも賭け事好きなのか?


「ちなみにレイカの父ちゃんカグツチさんは、関係者だから賭けに参加できなかったんだ。レイカが塔の村にいるって聞いてホッと胸を撫で下ろしていたよ。もし賭けに参加できていたら、レイノス行きに賭けて大損していたところだったって」

「ひどい」

「村人に聞いたんだよ、レイカが心配じゃなかったのかって。万一死んでた場合は払い戻しだから大丈夫だってさ」

「ひでえ」


 ほら、何事にも動じなさそうなハオランにもこう言われてるぞ?


「まあそう言うな。何事も陽気に、やりたいことをやるのが赤の民なのだ」


 おかしいな。

 あたしのポリシーとほぼ同じなのに、何故に拒否反応が?


「さーて、締めはエルだな。面白おかしく自己紹介してくださいな」

「といっても、ボクもあまり発表するようなことないんだけれども」


 まったくどいつもこいつも。

 レイカパーティーには話しておこう。


「エルは異世界の人なんだよ」

「異世界、とは?」


 ピンと来ないか。


「亜空間の中にいくつか島みたいに実空間の世界が浮かんでると思いなよ。カル帝国やドーラみたいに、船なんかの交通手段で行き来できれば同じ世界。転移でしか行き来できないのならば別の世界」


 ジンが前のめりになる。


「転移でしか移動できないのならばつまり……」

「御想像の通り、エルはデス爺にさらわれてこっちの世界に来た」


 あたしの知ってるのはここまでだ。

 あとはエルの話を聞きたい。


「ちょっと待ってくれ、どうしてユーラシアはエルの世界のことを知ってるんだ?」


 レイカが当然の疑問を口にする。


「『アトラスの冒険者』の関係で、エルと同じ赤い瞳で似たような服装の異世界人を知ってるんだよ。それで知ったかれえっていう、向こうの世界の食べ物の話題をエルに振ってみたら乗ってきたから」

「なるほど、だから……」

「いや、こっちの世界に連れてこられたことは別に構わないんだ。ボクは向こうでは閉じ込められていたから」

「どうして?」

「詳しくはわからない。存在自体が罪だと言われてた」


 存在自体の是非を問われている。

 つまり生まれとか血とか、あるいは固有能力を問題視されているということだ。

 にも拘らず処刑されず幽閉に留められているなら……。


「エルはいいとこのお嬢なんだろうな」

「僕も同じ意見です」


 レイカとハオランも黙って頷く。

 政変か世継ぎ争いかに巻き込まれた公算が高いんじゃないか。

 だったらエル自身がある程度状況を把握してるべきなのにな?

 ほとんどわかってなさそうなのはどういうことだろう?


「エルはずっとこっちにいるつもりなの?」

「ああ。向こうでは居場所がなさそうだから」

「じゃあゴーグルつけてなよ」

「ゴーグル?」


 エルはわけがわからなそうだ。


「目が目立つんだよ。向こうの世界から探しに来たら、まず間違いなく『赤い瞳の少女』で情報を募るね」


 あたしも目で関係に気付いたしな。


「デス爺呼んでくる!」

「えっ? ちょっと待て、ユーラシアの行動は唐突過ぎる。説明してくれ」


 発言はレイカだが、皆同じ気持ちのようだ。


「適当なゴーグルをじっちゃんに調達してきてもらうってのが理由の一つ。でもどーもこれ以上エルをつついても情報が出なさそうだから、じっちゃんの知ってることを吐かせよう。いざという時エルを匿うにしても、今のままじゃ守りがまるでザルだわ。何が足りないのかすらサッパリだ」

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