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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1679話:どっちが不謹慎

 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「精霊使いじゃないか。どうしたんだ?」


 施政館で昼食をいただいたあと、イシュトバーンさん家にやって来た。

 あんまり昼過ぎのこの時間に来ることないからな。

 美少女番警備員ノアが不思議がるのもわかる。


「帝国の皇帝が亡くなったんだ」

「マジかよ」

「あ、イシュトバーンさん。久しぶり」


 すげー飛んでくるの早いな。

 イシュトバーンさんも敏感だから、何かを察したのかな?


「昨日会ってるじゃねえか。まあいい。説明してくれ」

「朝起きぬけに……じゃないな。ヴィルから連絡が入って起こされたんだ」

「まだ夜が明けてない時刻に、ガルムがわっちのところに来て、皇帝が死んだことを教えてくれたんだぬ」

「二ヶ月以上意識なかったみたいだからねえ。今日午前中にあっちこっち飛び回って連絡してたの。よく働くあたし偉い」


 思えば誰も彼も驚愕ってことはなかった。

 来るべき時が来たかという反応だった。

 安らかに眠ってください。


「今から行政府へ行くんだな?」

「うん、行く」

「よし、ノアついて来い」


 ドーラは皇帝逝去の報を聞いても、特段何かアクションを起こせる立場にない。

 でも帝国の混乱の影響を受け得るから情報は欲しい、というポジションだ。

 行政府に向けてしゅっぱーつ。


「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」

「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」

「おお? ビックリしたよ」


 門開けたら新聞記者ズがスタンバイしていた。

 どこで嗅ぎつけるんだろうな?

 レイノスの情報網も謎だ。


「昨日はありがとうね。ピジョーさんのレベルカンストさせてきたよ。でもこれは内緒ね。『福助』の効果は人知れず役に立ってくれると嬉しいかなって考えてるんだ」

「いえいえ、昨日のことより明日の紙面の方が重要です」

「記事のネタになるお話をお願いします」

「あらいけず」

「「仕事熱心なんです」」

「帝国のコンスタンティヌス陛下が亡くなった。今日の未明だよ」

「「えっ!」」


 驚いちゃいるが、さほど意外そうでもない。

 どこ行ってもこういう反応だなあ。


「死因は病死で?」

「病死というか衰弱死というか。ずっと寝たきりで、ガレリウス第一皇子の死のすぐあとから意識なかったと聞いた」

「次の皇帝はどうなるんです? 確か現在の皇位継承権一位はセウェルス第三皇子ですか?」

「セウェルス殿下はないな。精神病で療養中。飲んだくれで何の実績もないし、誰も支持しないと思う」

「となると?」

「本命がドミティウス主席執政官閣下、対抗が在ドーラ大使プリンスルキウス、穴が皇位継承権二位のフロリアヌス殿下かな」


 感心する新聞記者ズ。


「ルキウス皇子殿下も有力なんですね?」

「行政手腕も市民人気もあるからね。貴族にどれだけ支持されてるかは未知数だけど」


 プリンスルキウスがドーラに来た時に比べると、大分押し上げた感はある。

 二通の手紙を見せる。


「こういうものがあるんだ」

「何ですか? これは」

「陛下の遺書だよ」

「「えっ?」」


 ハハッ、マジでビックリしたろ。

 意表を突く時はこうでないとな。


「一通は陛下の親友で最後のドーラ総督グレゴール元公爵に、もう一通は陛下の相談役リモネスさんに宛てられたものなんだ」

「遺書ですか……何故ユーラシアさんがお持ちなんです?」

「グレゴール元公爵は隠居の身だから、これ持ってても陛下の意思を伝えられないと考えたみたい。一方でリモネスさんは陛下の遺言を託されてるんじゃないかっていう噂が出ててさ。身辺が危なかったようなんだ。で、二人に信頼されてるあたしのところに来ちゃった」

「……封は開けられてないようですね」

「うん。ある程度他人が何考えてるかわかる固有能力持ちのリモネスさんによると、次期皇帝に関して重要なことが書かれていることは間違いなさそうだよ。明日帝都中央広場で観客一杯集めて開封、内容を公表する」


 意外そうな新聞記者ズ。


「政府機関や有力皇族とともに内容を確認する、ということじゃないんですね?」

「握り潰されちゃう可能性が高いと、元公爵もリモネスさんも思ってるんでしょ。だからあたしに遺書を預けるんだろーが。ドーラみたいな吹けば飛ぶような国のトップは、誰もやりたがらないんでオルムスさんが押しつけられてるよ? でも帝国みたいな大国の君主はそうじゃないでしょ?」

「皇帝の椅子を巡るドロドロした水面下の争いが?」

「あるんじゃないの? よくは知らんけど」

「「ユーラシアさん!」」


 怒ったってダメだ。

 あたしも来月から帝国政府に雇われる身だから、言えることと言えないことがある。

 新聞記者ズだって、皇妃様が呪い殺されそうになったことは知ってるじゃん。

 その辺から記事を膨らませなよ。


「今から行政府に行くんですよね。皇帝陛下御逝去の報を伝えるためですか?」

「そうそう。あっちこっちに転移できるのってあたしだけじゃん? 今日は朝から関係各所を連絡のために飛び回っててさ」

「重要性から言うとドーラにはあまり関係のないことだから、報告がこの時間になったということですか?」

「御明察。まー皇帝が亡くなったって言われると驚きはするけど、ドーラにとってどうだって聞かれてもねえ? だからどうしたってくらいのもん」

「言い方が不謹慎ですよ」

「精霊使いが不謹慎なのは今更だろ」

「ええ? ひどいな。少し自重した方がいい?」

「しなくていいです。記事がつまらなくなってしまいます」

「これどっちが不謹慎なのかなあ? 次の皇帝が誰になるかは、ドーラにとってちょっぴり重要だけどね」


 もっとも誰が皇帝になってもドーラが邪険にされることはなさそう。

 何故ならウルトラチャーミングビューティーがよく働いてるから。

 あたしすごい!


 ヴィルがニコニコしてきたわ。

 今日はあんまりいい感情が得られなかったろうから、可愛そうだったね。

 ぎゅっとしたろ。


「明日の遺書の発表ですけれども、内容と市民の反響について知らせて欲しいのですが」

「うん、わかった。明日午前中に発表なんだ。午後には戻ってくると思うから、その時に話すよ」

「「ありがとうございます!」」


 フィフィの本の第一刷ができ上っているらしいので、明日はヘリオスさんとこにも寄りたいしな。

 さて、行政府にとうちゃーく。

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