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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第166話:塔の村、食堂にて

 えーと、あと塔の村のパワーカードの供給体制はどうなってるんだろ?

 レイカパーティーが知りたいだろうから、デス爺に聞いてみるか。

 いや、あたしもパワーカードには興味あるからさ。


「じっちゃん、コルム兄はいつ塔の村に来るの?」

「明日、ワシが連れてくる」

「こっちではパワーカードはどうすれば手に入るの? アルアさんとこと同じで素材持ってくれば作ってくれる形式? それとも販売?」

「販売のみじゃ。コルムがパワーカード屋を開く。しかし自分で製作したカードのみでなく、塔で得られた古いタイプのカードも売る予定じゃぞ?」


 何ですと?

 アルアさんとこで手に入らないカードも売るってことか。

 聞き捨てならんな。

 ほれほれ、気になるカードがあれば買いにくるがよいとゆー、デス爺の心の声が聞こえる気がする。


「レイカ達もパワーカード装備を取り入れたいみたいなんだ」


 デス爺がレイカパーティーに目を向ける。


「ふむ、素材や薬草を採取して売り、身を立てるのが塔の冒険者の建て前じゃ。軽く持ち運びやすいパワーカードはお勧めじゃぞ」

「「「はい!」」」


 レイカパーティーの面々が、勢いよく返事する。

 パワーカード仲間が増えると嬉しいな。

 情報交換できるかもしれない。

 デス爺はデス爺で、パワーカード使いが増えれば塔のダンジョンのアイテム回収効率が上がって嬉しいんだろうな。

 いや、どうせ塔で回収した素材でパワーカードを作るんだろうから、カードの販売自体でも村が潤うのか。


「もー腹ペコだよ。食堂寄ってこうかな。レイカ達はどうするの?」

「私達も食堂だな」

「ヴィルカモン!」


 しばらくしてヴィルが現れる。


「ヴィル参上ぬ!」

「「「ぬ?」」」


 レイカが何かに気付いたように言う。


「あれ? この子、この前会った時も連れてたな」

「紹介してなかったっけ? あたし達の新しい仲間の悪魔だよ」

「「「悪魔?」」」

「ヴィルだぬ! よろしくぬ!」

「すげえいい子なんだ。普通の悪魔と違って幸せの感情が何より好きで、人間と仲良くしたい子だから心配いらないよ」

「そうか、よしよし」


 レイカがヴィルの頭を撫でてやってる。

 ヴィルも気持ち良さそうだ。

 レイカもパーティー組んで塔で探索って決めて、精神的に落ち着いてきてるんだろうな。


「この前、ヴィルのステータス調べたんだよ」

「ん? 鑑定士でか?」


 あ、鑑定士でも調べられるんだな。

 鑑定士には会ったことないけど。


「いや、魔道の装置で。そしたら固有能力に『いい子』ってあったの。面白いでしょ?」

「『いい子』? 聞いたことのない固有能力だな」

「褒めたり頭撫でたりぎゅーしたりすると、パワーアップしたり状態異常柄回復したりヒットポイントが回復したりする超レア能力、だって」

「ヴィルがいい子なのは、ステータス上からも証明されてるのか」


 再びレイカがヴィルの頭を撫でる。

 よしよし、ヴィルいい子。


 食堂に入る。

 既にエルのパーティーも来ていた。


「レイカ! 大丈夫だったか」

「心配してくれていたか。うむ、問題ないんだ」

「レイカったらあたしが来るの待ってたみたいなんだ」


 レイカとエルも仲良くなってるみたいだな。

 数日で関係が変わるって、外から見てると愉快だ。


「ユーラシアが塔に入ったと聞いたから大丈夫だとは思ったが、帰りが遅いのでヤキモキしていたんだ」

「何だ、あたしの心配もしてくれたのか、このボクっ娘め」


 一笑いの後、エルが聞く。


「一体、塔で何があったんだ? ユーラシアを待ってたとは?」


 これは解説が必要だろう。

 精霊絡みだから、今後エルも関わるかもしれないしな。

 レイカと視線を交わし、あたしが説明する。


「あたしが今日こっちに来ることはレイカも知ってたから、レイカが塔から戻らないとなればあたしが塔に入ると考えてたみたいで」

「精霊がトラップに捕まってたんだ。私では精霊と意思疎通できないからな」

「トラップ? あのファントムバインドか?」

「エルも知ってるんだ?」


 ビックリした。

 ファントムバインドはレアな現象らしいのにな。

 バエちゃんだって向こうの世界では精霊見たことないって言ってたし。


「いや、ユーラシアも知ってるだろう、精霊スネル。あの子が塔内のファントムバインドに捕らわれたんだ」


 スネルは以前灰の民の村にいた精霊で、調べるのが得意だよとレイカに説明する。

 スネルは慎重派で、トラップに引っかかったりするような子じゃないんだけどな。


「スネルがやられるなんて、相当わかりにくい位置にあったんだ?」

「ヒカリが捕まりそうになって身代わりになったんだ」


 ヒカリも灰の村の精霊で、転移術に長けている。

 でもちょっとうっかりさんだからな。

 ヒカリとスネルは現在、コンビで塔の先行調査に当たっていると聞いた。


 レイカが難しい顔をする。


「ファントムバインドはかなり稀な現象と、ユーラシアは言っていた。この塔で二回もあったのは偶然だろうか?」

「『永久鉱山』は魔力条件が特殊だから起きやすいのかもしれないな。エルもレイカも注意しててよ」

「「わかった」」


 続けてエルが問う。


「で、助けた精霊はどうしたんだ?」


 何か忘れてる気がしてたんだ。


「あのちょんまげ精霊どうしたんだっけ?」

「ちょんまげ?」

「変な髪形だったの」

「喜んでどこか行ったぞ?」

「そーだったか。謝礼をもらい忘れたな」

 

 ま、助けるまではあたしの仕事だけど、その後どうするかは知ったこっちゃない。


「ふうん、塔内にいるのならボクの前に現れるかもしれない」

「相当変なやつだったから、エルのパーティーに入るかも」


 アトムとダンテが頷いている。

 今日はレイカパーティーが一緒だからか、精霊達が静かだな。

 コケシと遊べないのはつまらんけど。


「変なやつだから、は理由にならないと思うんだが?」

「うん、コケシもチャグも心外だって顔してるけど、文字通りの意味だから」


 三人して解せぬ面晒すんじゃないよ。

 あたしは大しておかしなこと言ってないだろーが。


「エルは精霊使いとしてとても優秀なので、個性的な精霊であっても仲間にできるだろう、ってことね?」

「な、何だあ。ディスられてるのかと思ったよ」


 コケシとチャグも『個性的』を褒め言葉と解釈したらしい。

 付き合いの長いクララだけは、ユー様の話術にひっかかってはダメですよって顔してるけど。

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