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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第165話:脱出!

 レイカパーティーにうちの魔物やっつけパターンを披露しながら、五階の脱出口を目指している。


「雑魚は往ねっ!」

「まあユーラシアのことだから、メチャクチャだろうとは思ってた」

「褒め言葉にしてはとげとげしいね」


 レイカが水平線を見つめるような目をして呟いていた。

 ダンみたいな失礼さだな。

 要は『実りある経験』&『雑魚は往ね』のコンボのことを言っているのだろう。

 でもこんなに効率のいいレベルアップ法をメチャクチャ扱いはひどくない?


 たまたまかもしれないけど、経験値君こと踊る人形が結構出た。

 経験値君相手には今のレベルをもってしても先手を取れないことを学習したので、『実りある経験』をかけてから倒している。

 計三匹倒せたから、ドロップ魔宝玉でレイカパーティーにもまあまあの収入になる。

 よかったよかった。


「僕達何にもしてなかったのに……」

「レベル低い分際で手伝おうとすんな。却って危ないわ。大人しく経験値を浴びて満足してろお客様」

「……」


 ジンとハオランは一気にレベル八まで上昇。

 レイカとあたし達パーティーもレベル一ずつ上がった。


「結果としては大変助かった」

「まーレベルは何だかんだで必要だよね。経験値は稼げる時に稼いでおくべきだと思うよ」

「まったくだ。ユーラシアのパーティーはいつもこのパターンか?」


 このパターンって、『実りある経験』&『雑魚は往ね』のコンボと人形系も逃げないやつは倒すことかな?


「そーだね。ここ塔のダンジョンは人形系レア魔物が多いのかもしれない。やつは経験値高いし儲かるから、早めに倒す手段を手に入れる方が賢いかもな」

「うむ、参考にしよう」

「レイカパーティーは装備どうすんの?」

「ん、どういうことだ?」

「しばらく肉狩り担当するんでしょ?」


 冒険者が増えて、肉狩りを専門に行う者がいなくてもナチュラルに買取分で賄えるようになればいいのだが、当面は供給が足りないだろう。

 となるとレイカが引き続き肉狩りを担当することになりそうだ。


「あたし達の使ってるパワーカードはほぼ手ぶらだからさ。お肉たくさん運ぶこと前提だと向いてるんだよ」

「ふむ、エルも使ってるやつだな?」

「そうそう。レイカはともかく、ジンとハオランはまだ装備揃えてないようだからどうなのかなって」


 レイカ以外にジンやハオランも興味があるようだ。


「パワーカードって一枚いくらくらいするんだ?」

「向こうのギルドだと、製作にレア素材を使わない普通のやつで一五〇〇ゴールドかな。最初キツいけど、ここの塔はたまにカード落ちてて手に入るって話を聞いたから」

「ユーラシアさん、パワーカードってどんな種類があるんですか?」

「オレにも見せてくれ」


 うんうん、男の子だね。

 こういうガジェット好きそう。


「『スラッシュ』は斬撃用、ジン向きだね。こっちが『ナックル』殴打用だからハオランに向いてると思う。『サイドワインダー』、攻撃力増強効果は小さいけど、ノーコストの全体攻撃バトルスキル『薙ぎ払い』が使える……」


 おーおー、目がキラキラしてんぞ。

 あれ、レイカも興味あるのかな?

 個人的には後衛魔法使いにも向いてる装備だと思うよ。


「早いと明日にでもこっちにパワーカード職人来るって話だったよ。灰の民出身のコルムって人。あたしの従兄だからよろしく」

「ユーラシア自身はパワーカードをどう思ってるんだ?」


 どうって言われてもな。


「あたしは普通の剣とか盾とか使ったことがないんだ。だから多分パワーカード贔屓の意見になるよ?」

「ああ、わかってる」

「すごく使いやすい。精霊にはこれしか選択肢がなくて、最初カードを手に入れる方法すらわかんなかったんだよ。でも情報を得て手持ちのカードも増えて理解が深まってくると、工夫次第で何でもできるとか応用が利くとかの利点が大きいって気付いた。いやまあ伝説の武器を持ってるなら、単品ではとても勝てないけど」

「単品では勝てない、か。組み合わせなら?」


 それには答えず、ニッという笑顔のみ返した。


「レイカは杖に愛着があるかな? でもジンとハオランは考える余地あると思うよ」

「よくわかった。私達も段階的にパワーカードに切り替えていこう」


 ジンとハオランの顔がパアっと明るくなる。

 わかりやすいな君達。


「職人来たら相談してみなよ。あたしとは違う考えがあるかもしれない。あ、そうだ、『死亡認定されてるコルムさんですか』って聞くと面白いよ!」


 脱出口から村まで転移、デス爺とコモさんに迎えられた。


「随分遅かったではないか。心配していたのだぞ」

「ファントムバインドがあってさ。おっかしな髪型の精霊が引っかかってたんだよ。レイカ達は精霊を救おうとしてたんだ」

「だとしても時間かかり過ぎじゃねえか?」

「レベル上げしてたんだ。この子達、レベル八まで上げてきたよ」

「八? もうか?」

「何にせよ、無事でよかった」


 デス爺に一つ提案しておく。

 塔のダンジョンの気味悪い仕様を打破するアイデアだ。


「じっちゃん、このダンジョン一度入ると脱出口まで出られないってのがネックだよ。冒険者の心理的にかなりツラい。使い捨てでいいから、脱出用のアイテム作れないかな?」

「だからヒカリとスネルに調査させ、さらにエルが先行して情報を豊富にしようとしてるわけじゃが。それでも足らんか?」

「村長、情報のあるなしと逃げ道の確保は別だぜ」


 コモさんも助太刀してくれる。

 転移術師であるデス爺は、自分が脱出できないという危険に陥る心配がないだけに、危機意識が希薄なのだろう。


「冒険者が集まってるのに様子見ばっかりで塔に入らないのは、絶対に脱出の不安が理由で躊躇してるんだって。何とかしないと、この村が潤わないぞ?」

「ふむう、探索者の心理的なものか。では早急に緊急脱出用の札を作るとしよう。価格はどれくらいがよいじゃろうの?」


 レイカが言う。


「安い方がありがたいですが……」

「今塔の村に集まってるのは、冒険者経験の浅い人達ばっかりなんでしょ? どー考えてもビギナーは高くちゃ買えないわ。イコール塔に入る人が増えないわ。四人が脱出できるのを二〇〇ゴールドくらいでどうにかならない?」

「わかった。では早急に用意しよう」


 これで様子見冒険者がかなり参入してくるだろ。

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