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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第161話:青の民の村族長セレシア

「あたしは『アトラスの冒険者』だよ?」


 女王の目が見開かれる。

 何であたしが『アトラスの冒険者』ならいいのか、わけがわからん。

 そもそも女王が『アトラスの冒険者』の関係者なら、あたしがその一員であることくらい知ってるはずだしな?


「何じゃ、『アトラスの冒険者』じゃったのか。早う言わんか。これ、アレを持て!」


 側仕えに何やら指示を出している。

 何か持ってきたぞ?

 お土産としてくれるらしい。


「これを持っていってたもれ」

「『地図の石板』じゃん!」


 どーしてこんなものが突然出てくる?


「この石板を使うと、転移できるのじゃろ?」

「とゆーかうちに転送魔法陣が設置されるんだ。流れからすると、多分ここ海底の城へ来るためのやつが」

「うむ。なるほどの」


 女王満足げだけど、あたしはサッパリわからんのだが。 


「女王は『アトラスの冒険者』の関係者ではないんだよね?」

「うむ、違う」

「じゃ、何で『地図の石板』がここにあるのかな?」

「いつの間にかあったのじゃ。理屈はようわからんが」


 ほこら守りの村の少女霊リタも似たようなことを言っていた。

 『地図の石板』はあちこちにバラ撒かれているものなのか?

 『アトラスの冒険者』に関する最低限の知識とともに?

 むう、相変わらずの謎っぷりだな。


「ところで女王はお肉好きかな?」

「大好き、大好きじゃ!」


 おお、食いつきっぷりでこの表情は理解したぞ。

 お肉はどこへ行っても正義だなあ。


「海底では獣肉は手に入らぬ。海獣は何か違うのじゃ」

「そお? 種によってお肉の風味は違うからなー」


 地上でもおいしいお肉って決まってるもんな。

 あたしは海獣のお肉も食べてみたい気がするけど。


「次来る時はお肉をお土産に持ってくるよ。女王の口に合うかはわからないけど、地上ではおいしいって定評のあるやつ」

「まことか! まことじゃな? 約束したぞ!」


 食いつき過ぎだろ。

 欠食児童か。


「はい、落ち着こうか。例えば獣一匹取ってきたとして、捌ける料理人はいる?」

「……難しいじゃろうな。やったことのある者はおらぬじゃろう。できぬことはないのじゃろうが」

「オーケー、うちのクララが得意だから伝授するよ」

「何から何まで助かるのう」


 捌くのに手間かかると不味くなっちゃうしな。

 うちのお肉がおいしいのは、クララの手際がいいからってことも絶対にある。

 女王は納得したのか感心したのか、まあそんな感じだ。


「じゃあ帰るね」

「うむ、またの。クジラで送らせればいいかの? 『アトラスの冒険者』は自分で帰れるんじゃったか?」

「自分で帰れるから大丈夫だよ。転送魔法陣がちゃんと機能するなら、数日以内にまた来るね」

「楽しみにしておるぞ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「ごめんなさーい。遅れちゃった」

「どうしたんだ? お祭り大好きユーラシアなのに来ないから、心配したんだぞ」


 今日はカラーズ緩衝地帯での交流売買開始の日だ。

 サイナスさんは本当に心配してくれていたらしい。

 多分あたしが可愛くて可憐だから。


「今朝、君の家付近ですごい音したろう? また何か、妙な事件に巻き込まれてるんじゃないかと思ってね」


 『また』ってゆーな。

 『妙な』ってゆーな。

 本当のことは腹が立つだろ。


「今朝急に海の王国に招待されたんだ」

「海の王国? 理解が追いつかないんだが。まあ君の場合理解しようと思ってもムダだと思うから、説明はいいや。もし困ったことが起きるなら相談してくれよ。こっちも困れば相談するからお願い」


 投げやりなのか親切なのか懇願なのかわからねえ。

 これ、サイナスさんの芸風なのかな?

 表情を見る限りカラーズ間交易の方に意識が向かっていて、余計なことには関わりたくないって雰囲気がありありだけど。


「カラーズ間交易はどうなってるかな?」

「概ね好評だね。うちの野菜が売れるのは予想通り。今日の分は完売だ」

「おおう、もう完売か。白の民の酪農関係の品はどう?」

「白の民もいいな。革はもう一つだが、肉とミルクが売れてる」

「やっぱ食べ物は強いな。生活水準が上がると違うものも売れるんだろうけど」

「思ったより調子いいのは青だな」

「青の民って何売ってるんだっけ?」

「服飾品が主だ」

「チュニックとボトムスが欲しいな。見てこよ。サイナスさん、じゃーねー」


 青の民のショップに行く。

 ……洒落たデザインの服が多いな。

 急に決まった出店企画なのに、どーしてこんなに品揃えが豊富なんだ?


「あら、あなた精霊使いユーラシアさんね? ワタシの店へようこそ」


 複雑な髪形と奇妙なドレスが同居した、背の高い奇麗な女性だ。

 ファッションに青を基調とした統一感がある。

 あたしの中の警戒センサーと面白センサーが同時に作動する。

 とゆーことは?


「えーと、青の民の族長の……」

「セレシアよ。有名人にいらしていただいて嬉しいわ」


 握手する。

 白く細い指だ。


「ビックリしたよ。何でこんなにたくさん販売できるの?」

「レイノスで売ることを目指していたのよ。伝手があるわけでもないのだけれど」


 ははあ、なるほど。

 見た目より野心家だな?

 というか夢想家に近い?


「ところであなた、何か買っていってくれるんでしょう? サービスするわよ」


 うむ、この辺は合格。

 完全に商売人の話術だ。


「チュニックとボトムスが欲しいんだ」

「あら、ダメよ。せっかくチャーミングなのに、もっとオシャレしないと」

「チャーミングなのは知ってるし、言われ慣れてるからいいんだよ」

「油断は禁物よお? 花の命は短いの」

「あたしは冒険者だから、丈夫なやつがいいんだけど」


 くっ、手強いみたいな顔すんな。

 客に見せる表情じゃないぞ。


「……本来はメンズのなのだけれど、この辺はいかがかしら?」

「いいね、二つずつちょうだい」

「えっ早っ!」


 セレシアさんが驚く。


「女の子の買い物は時間がかかるものなのだけれど?」


 知らんがな。

 服なんかサイズと布地と縫製以外に何を見るとゆーのだ。

 あたしは時間のムダが嫌いだ。


「冒険者に判断の遅れは命取りなんだよ」

「なるほど、そういうものなのですね」


 えらそーだけど、あたしまだ冒険者始めて一ヶ月半で、しかも兼業だからね?

 商売人が誤魔化されてちゃダメだと思うの。

 この人色々危うい気がする。

 他人事ながら心配だなあ。

 カラーズは商売に長けてる人がいるわけじゃないから。

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