表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1573/2453

第1573話:複雑な芸風

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 夕食後、毎晩恒例のヴィル通信だ。


「おお、麗しの地よ! 汝の名はタルガなり!」

『これまでにあんまりなかった芸風だね。大げさに宣言するほどタルガが気に入ったのかい?』

「実はそーでもないんだ」

『何なんだ、一体』

「いや、気に入ってることは気に入ってるよ? でもこの愛が一方通行になりそーな気配」

『普段にも増して複雑な芸風だな。サッパリわからない』


 芸風芸風言われているけれども、あたしは芸人冒険者ではない。

 エンタメを軽視しているわけではないが、積極的な演者ではないとゆーか。

 やっぱ複雑?


『タルガの感想を聞こうじゃないか』

「サイナスさんも興味ある? タルガは見るからに農業には向いてなさそうな土壌でさ。ぶっちゃけテテュス内海に面してて大きな港を作れる、ってだけしか存在価値がなさそうなところ」

『ほう? しかし港は大事だろう?』

「うん。しかもあたしが考えてたより、テテュス内海貿易って規模が大きいみたいなんだよね」

『つまりビジネスチャンスであると?』

「そゆこと。サイナスさん乙女心わかってる」

『乙女心の定義とは?』


 定義だなんて。

 乙女心の深淵とゆーか最奥を極めようとしなくていいって。


「帝国本土ではタルガまで街道が敷かれているんだ。ドーラみたいな獣道に毛が生えたよーなのじゃなくて、相当しっかりとしたやつ」

『今後人口の増えるドーラでも、インフラの整備が必須だろうけどな』

「道がしっかりしてないと輸送コストがかかっちゃうもんねえ。ああいうの見ると税金徴収したくなるわ」

『ユーラシアはどこまでも政治家目線だな』


 サイナスさんは笑うけど、あたしはドーラを(あたしにとって都合の)いい国にしたいだけなんだよ。

 まーでも西域街道やレイノス~カラーズ間の道を整備するより、南部への街道を通す方が絶対に先だしな。


『港に向いてる地形、規模の大きい貿易、しっかりした街道。からの?』

「ズッコケポイントではないんだって。いや、港もすげーでっかいの。商船もまあまあいたし」

『要するにユーラシアの言いたいことは、タルガのポテンシャルは決して小さいものではないということなんだな?』

「うん。まあまあで満足してちゃいけないな。とゆーか、タルガは何でまあまあ程度なんだろ? もっと発展してていいと思うのに」


 あれだけしっかりした街道があれば、ガンガンものを運び込めるし輸出できる。

 そーゆー目的で敷設されたんだろうけどな。

 イマイチ働いていないように思える。

 タルガというより、帝国政府のスタンスがわからん。

 お父ちゃん閣下はタルガに注目してたみたいだけどな?


『輸出入だけじゃ厳しいだろう? 独自の産業がないと』

「どーして? 帝国は内海交易に使える港、タルガにしかないみたいだよ?」

『一生懸命貿易やろうとすると、アンヘルモーセンの商人にそっぽ向かれるんだろうから』

「あ、なるほど?」


 帝国の貿易商は主として海外植民地に目を向けている。

 実績がない上、アンヘルモーセンの認定商人が幅を利かせている内海では旨みが少ないから、あんまり参加してくれないのか。

 あたしとしても、帝国の貿易商が内海行っちゃうくらいならドーラに来て欲しいしな?


「となると、内海の貿易商がアンヘルモーセンに切られても十分やっていけるくらいの環境を作らなきゃいけないんだな?」

『君の視点は豪腕だなあ。サラセニア~タルガの直接貿易が成功するかどうかは、そこにかかっているだろう。応援したい者は多いだろうけど、様子見している者はさらに多いんじゃないか?』

「となると……むーん?」


 思ったより内海交易の成功条件は難しいのか?

 いや、逆に新規参入はしやすいんじゃないかな?


『ドーラには直接関係ない地域だ。君が入れ込むことないじゃないか』

「でも始まっちゃったからには、ぜひとも成功してもらいたいじゃん」

『帝国もガリアも本気なんだろう? ならほどほどにはやれるに決まってる』


 サイナスさんの言う通りだな。

 帝国&タルガからサラセニアに穀物が入るのは既に決まってる。

 ガリア&サラセニアからの輸出品が心許ない?

 今までは何を輸出してバランス取ってたんだろ?


「……一度ガリア行って確認してこなきゃだな。次の輸送隊は明後日だっけ? アレク達は?」

『出だと言ってたぞ?』

「じゃ、帰ってからだな。あたしが力借りるかもと言ってたと伝えてくれる?」

『どういうことだい?』

「札取りゲームの製造権と販売権をガリアにも売ってさ。向こうでも作って売ったらどうかなと思って。ドーラとは販売エリア被らないし。どうせ一人用バージョンはまだ作ってないんでしょ? ガリアで先行販売してもいい」

『ガリアは乗ってくるのか?』

「王様と森林大臣に販促用のやつ渡したら、興味ありそうだったんだ。今度行った時打診したいから、アレク達の許可が欲しいな」

『ならば明日にでも聞いておくよ』

「頼むね」


 ガリアのウリは何といっても豊富な木材資源だ。

 木を生かすもの、可能であれば建物や船に用いる材の残りで作れるものがいい。

 とってもお得。

 紙や玩具の類は有力だ。


『明日君、カラーズに来られないか?』

「午後なら行けそう」


 タルガについての報告がある。

 午前中は施政館へ行きたい。


『レッドドラゴンの鱗を取ってきてくれたんだろう?』

「おおう。何か忘れてると思ったら、鱗を届けることだった」


 元宮廷魔道士エメリッヒさんが、魔力かまどを開発するのに必要って話だった。

 よく考えりゃエメリッヒさんどこに住んでるか知らないな?

 ボヤ騒ぎ起こしたって言ってたから、焦げた小屋探せばいいか。


『石けんの研究も開始したいってことだったんだ』

「何でエメリッヒさんったら一生懸命働こうとするんだろ? 元ホームレスのクセに」

『環境が整ってるからじゃないか? 材料について相談したいようだから、来てくれるとありがたいんだが』

「オーケー。昼過ぎくらいにサイナスさん家行くよ」


 随分とエメリッヒさんが精力的だなあ。

 転移術習得の方どうなってるかも知りたいしな。

 明日楽しみだ。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はまず施政館。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ