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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1504話:ノヴォリベツの未来

 フィフィが言う。


「……さっきは気付かなかったけど、貴方のヒップラインはとても綺麗ね」


 湯浴み着がお湯で濡れて身体にピタッと張りついてるからか。


「そお? 自慢のお尻ではあるよ。でも大きい方じゃないと思うんだけど」

「ユーラシアさん、ウエストが細いです。羨ましい……」

「動き回ってると、腰にお肉がつかないんだよ」


 フィフィもルーネも何なんだ。

 じーっと見られると居心地悪いわ。

 イシュトバーンさんはニヤニヤしてるし。


「さあ、風呂入ろうぜ」

「あたし水もらってこよ」


 気持ちよく汗かいたから喉が渇いた。

 フィフィとアトムも飲みたいらしい。

 給水コーナーへ。


「あーおいしい。でも若干苦味を感じる水だな」

「そう?」


 アトム何々?

 これはある種の金属が微量に含まれてるせいだって?

 多分ノヴォリベツ付近の水の成分がそうだってことだな?

 つまりこの微量成分のせいで、さっきの石けんの泡立ちや料理の味に影響を与えている可能性がある。

 明らかな改善点ではあるが……。


「さて、もう一風呂浴びてこよーっと」


          ◇


「温泉自体は◎だけど、昼御飯は△だったなー」


 ノヴォリベツで十分楽しんだ。

 とゆーかこれ以上温泉に浸かってるとふやけてしまうわ。

 フィフィを塔の村に送ってから帰ってきた。

 その後イシュトバーンさん家へ。

 午後はのんびりする予定だ。


「素晴らしい絵ですね。これはチヒロですか?」

「おう。ルーネロッテ嬢は見る目があるな」


 バアルのクエストで得た美術品を見ながら、ルーネがしきりに感心している。

 ルーネを楽しませる観光資源があってよかった。

 イシュトバーンさん、温泉で描いた絵を仕上げながら喋ってるけど、神経集中とかいらないのな?

 ルーネと話すのが楽しいのは伝わってくるからいーや。


「温泉ではほぼ何もしてなかったのに、身体が疲れてる気がする。何でだろ?」

「温泉とはそういうものだぜ」


 イシュトバーンさんが笑う。

 考えてみりゃ普段あんまり経験しない環境だからか。

 ふーん、なかなか温泉侮れんな。

 心地良い疲労感を与えて、泊り客を多くする作戦だな?


「夕食は早めでいいんだな?」

「うん、ありがとう。ルーネの帰りが遅くなると、お父ちゃん閣下が怒りそうだから」

「ノヴォリベツについてはどう思った?」

「発展させるためにはってこと? ちょっと難しいね。ルーネの意見も聞きたいな」

「私ですか?」


 倒したあとのヤマタノオロチが観光の対象になってたくらいだ。

 帝国人の名所を見る目は肥えてるかもしれない。

 そーだ、ルーネはドーラの地理がわかんないだろうな。

 地図を出しながら説明する。


「……ここがレイノス。港町で、ドーラで一番人口の多い都ね。さっきのノヴォリベツがこっち」

「かなり距離がありますね」

「保養地は人口の多い町からお客さんを呼ばなきゃいけないじゃん? 強歩三日の距離を歩かせるだけの魅力がノヴォリベツにあるか? っていう視点がテーマ」

「今、塔の村が発展中なのでしょう? 途中で寄りたくなる魅力はあると思います」


 うむ、ルーネは箱入り娘だけどわかってる。

 街道の行き来をする仕事をしていれば、ノヴォリベツに寄りたくはなるだろう。


「ノヴォリベツ単独で人を誘引する力があると思うかい?」

「……温泉好きの人ならば」

「だよね。温泉好きの人が好きじゃない人を引っ張って訪れたくなるだけのチャームポイントはないなあ」


 むしろ昔は今より栄えてたらしいけど、何で? って思う。

 目新しさがあったんかな?


「精霊使いはどこが一番問題だと思う?」

「客単価だな」

「「客単価?」」


 馴染みのない考えだろうか?


「今のノヴォリベツじゃ、一泊すれば十分って気になっちゃうじゃん?」

「まあな」

「ドーラは人口が少ないから、お客さんの数が少ないのはしょうがないと思うんだ。料理とかに改善点はあるけど、おいしくなったって評判が良くなるだけで利益は変わんないんじゃないかな」

「金かけて改善したところで実入りにならねえな」

「でも二泊してくれれば収入は倍になるでしょ? 二泊させようという努力が足りてないと思う」

「それこそ金かけなきゃいけねえだろう?」

「でもないよ。一泊目と二泊目では女性の湯浴み着が違います。二泊目はよりセクシーになりますだったら、女性連れは二泊したくなるでしょ?」

「おお? やるな精霊使い!」

「ユーラシアさんっ!」


 アハハ、まあまあ。

 おゼゼをかけずとも、やりようはあるってことだよ。


「食べ物飲み物がイマイチなのはいただけないな。水質のせいかもしれない」

「水質はどうにもなりませんよね?」

「ノヴォリベツの水をまんま使うならね。水魔法で出る水はピュアだから、スイッチ一つで水魔法が起動する魔道具があればいい。この前移民で来た元宮廷魔道士がその辺のアイデア持ってたんだよ。研究進めてもらおうかなあ」


 風呂上がりにサッパリしたハーブティーでも飲めると最高だわ。

 お客さんに最高の気分を味わってもらえば、リピーターも増えるんじゃないか。

 しかし設備投資にお金がかかるから、資本投下してくれる人がいないとどうにもなるまい。


「見どころが少ないのはなー。あの辺変わった石とか岩とかあるじゃん? 散策路でもあれば楽しめるのに。で、雨降ると何にもできなくなっちゃうのがよろしくない。せめて宿や土産物屋までは屋根があって濡れずに行けるようにするべき」

「ルーネロッテ嬢は、今日のノヴォリベツで何に最も興味を惹かれた?」

「獣人の方々ですかね」

「獣人?」

「たまたまあたしの先輩の獣人冒険者が家族で遊びに来てたんだ。ノヴォリベツへの転送魔法陣持ってるから、時々来るって言ってた」

「ほお?」


 亜人ってなかなか見る機会ないもんな。

 特に帝国人やレイノスの人にとっては。

 ならば亜人と会えること自体がウリになる?


「おい、何考えてるんだ?」

「塔の村に亜人と仲良くしやすい『外交官』の固有能力持ちがいるんだ。どう働いてもらおうかと」

「まず交易からだろ。あんたの個人プレイでしか交流がねえじゃねえか」

「まだまだやるべきことはあるなあ」


 楽しみが残っているとも言える。


「そろそろ飯の用意にするか」

「お願いしまーす。あたしセレシアさんの店行ってくるよ。すぐ戻る」


 ヴィルとマーシャの帽子ができてるって話だったのだ。

 ひとっ走りと。

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