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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第137話:塔の村

 フイィィーンシュパパパッ。

 ここがデス爺をはじめとする灰の民の移住先塔の村か。

 おービックリするくらい大きな塔じゃないか。


 冒険者らしき知らない顔もチラホラいるが、『アトラスの冒険者』に比べると皆ガラが悪いな。

 あたしなんか可愛いから即行でナンパされそう。

 犯罪じみたトラブル関係のクエストもあり得るか?


「じっちゃーん、コモさーん!」


 立ち話しているデス爺とコモさんを見つけた。


「ユーラシアじゃないか! どうやって塔の村へ?」


 コモさんはあたしが冒険者になったの知らないんだったか?

 知ってたとしても、いきなりカラーズから西の果てまで来るのはわけわからんか。


「こやつは冒険者になってな。例のクー川から手前の魔物掃討作戦があったじゃろ? あれで一番手柄だったのじゃ」


 デス爺が簡潔に説明してくれた。


「ほう、そりゃ大したもんだ。仲間は精霊と、ん?」


 ヴィルに目を留めた。

 デス爺もヴィルの存在に気がついたようだ。


「紹介しておくね。悪魔のヴィル。仲間にしたんだ」

「ヴィルだぬ。よろしくお願いしますぬ!」


 ヴィルはぺこりと頭を下げる。


「緊急に連絡がある時はヴィルを寄越すから、可愛がってやってね」

「何じゃ、兼業悪魔使いになったのか?」


 デス爺にはヴィルに邪悪さがないことがわかったらしい。

 ヴィルはいい子だからね。


「兼業悪魔使いなのかなあ? ヴィルは喜びとか達成感とかの感情を好む変わった悪魔でね。人間の仲間になりたがってたの」

「ほお。でも冒険者は大変だろう? ここまで来るのに何日かかった?」


 冒険者の苦労を知っているコモさんが言う。


「『アトラスの冒険者』って言ってね。自分家を維持したまま転送でクエストを請けられるシステムがあるんだよ」

「ああ、知ってる知ってる『地図の旅人』ってやつだな。聞いたことあるぜ」

「今朝ここ塔の村まで来る転送魔法陣が設置されたの」

「てことは転送で来たんだな?」

「そうそう。今後はしょっちゅう可憐なあたしを見ると思うからよろしくね」


 ようやく本題に入れそうだ。


「でさ、塔の村に転送先の魔法陣が設置されたということは、ここで何か困ってることがあるから解決しろってことだと思うんだけど。心当たりない?」


 デス爺とコモさんが顔を見合わせる。

 やはり何かあるらしい。


「困ってるといえば困ってるな。実はレイカがオーバーワークで倒れたんだ」

「え?」


 オーバーワークとは聞き捨てならない。

 でもどゆこと?


「レイカは塔のダンジョンには入ってなくて、フィールドで魔獣狩りしてたんだよね?」

「ああ。主に肉の調達だ」

「最初はよかったんじゃが、近頃急に出入りする冒険者が増えての、野菜はワシが灰の村から買いつけてくればよいが、肉はそうはいかぬ」

「まあ、冒険者なんてものは肉がないと納得しねえ生き物だろ? で、レイカが張り切り過ぎちゃったんだな」

「塔にも食用に適した草食魔獣はおることはわかっているが、まだしばらくはそれらを狩って食堂で出すところまではいかぬ。需要と供給のバランスが崩れておるのじゃ」


 了解。

 つまりあたしに課せられたのは肉狩りのミッションだな?

 得意分野だ。


「わかった、すぐお肉狩ってくるよ。何トンくらい必要?」

「トンって何じゃ?」

「コブタマンを数える単位だよ。じっちゃんに前話した本の世界が『永久鉱山』でさ。いくら狩ってもいなくならないから安心なんだ」


 『永久鉱山』でデス爺がピクッと反応した。

 興味はあるだろうけど、今詳しく話してる時間はなさそう。


「なるほど、『全てを知る者』の根拠地ならば『永久鉱山』かも知れぬの。よし、とりあえず一〇トン頼めるか?」

「うん、すぐ戻るから、その間にヴィルを村の皆に紹介してあげてくれる? なるべくヴィルの存在を周知させておきたいんだよね」

「おう、任せな」

「ヴィル、いい子にしてるんだよ」

「了解だぬ!」


 あたしは急ぎ帰宅し、さらに本の世界へ飛ぶ。


          ◇


「……早過ぎだろ。三〇分も経ってねえぞ?」


 一〇トンのコブタマンを見たコモさんとデス爺が呆れる。

 あたしはカラーズの三村合同焼き肉親睦会のお肉を調達した実績があるしな?

 これくらいで驚かれても。


「レベル上がったら狩るの早くなったの」

「今レベルいくつなんじゃ?」

「えーと三二」

「「三二!」」


 コモさんとデス爺が驚いて声を出す。

 いやだから掃討戦の人形系ボス魔物と経験値ドーピングの結果なんだってば。

 レベルほど強くないことはわかってるから騒がないでよ。


「で、あたしはいつまでコブタ狩りすればいいのかな?」

「今、こっちの冒険者が塔を攻略中だが、肉を狩れる階層に到達するまでおそらく一〇日くらいかかりそうなのじゃ」


 あたしは素直に感心する。


「お肉を狩れる階層までどれだけとかわかるのか。何げにすごくない?」

「ヒカリとスネルが先行偵察しとるでな」

「あ、そーゆーカラクリか」


 平鏡の精霊ヒカリと写絵の精霊スネルはともに元々灰の民の村にいた子で、もちろんあたしとも面識がある。

 ヒカリは転移術を使え、スネルは分析が得意だ。

 あの二人のコンビなら先の階まで調べられるだろうな。


「あれ、じゃあこっちの精霊使いが連れてるのってコケシだけなの?」

「おっと、塔の村にも精霊使いがいること知ってたのかい?」


 コモさんがまた驚く。


「あたしもヴィルに塔の村を偵察させてたから」

「そうだぬ!」


 ヴィルが得意そうだ。

 よしよし、いい子。


「初期は塔の村の様子を見に来たエルフをパーティーに入れておったな。そやつが抜けてからダンジョン内で精霊を一人仲間にして、現在は三人パーティーになっておる。早めにパワーカードを生産できるようにしたいのじゃが」


 コルム兄が来ればということなのだろう。


「今アルアさんとこ忙しいらしいよ。でも新しい助手が一人入ったから」

「助手が? まことか! よい知らせじゃ」


 デス爺が喜ぶ。

 デス爺も装備品としてのパワーカードを評価しているようだ。


「クエストで帝国の山の中に行ったの。魔物がいるのに武器禁止されて困ってる村でさ。パワーカードを何とか手に入れられないかってことだったから、あたしが希望者をアルアさんとこの工房に紹介したんだよ」

「ふむ、パワーカードなら知らねば武器と思わんじゃろうな」


 コモさんが興味を持ったようだ。

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