表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

131/2453

第131話:長老、姪に会う

「こんにちはー」

「お客人方、よう我が身内をお助けくださった。礼を申し上げますぞ」


 すげえのが出てきたぞ?

 どこから髪でどこからヒゲだかわからんような風体の老人だ。

 ヒゲだるまというあまりにも相応しい言葉が頭に浮かび、慌てて打ち消す。

 この村の長老らしい。


「いいのいいの。たまたま居合わせただけなんだから」

「これは何と謙虚な。貧しい村故にこのようなものしか用意できませぬが、ぜひ御笑納くだされ」


 素材をたくさんもらった!

 やったぜ!

 歓迎されてるのは間違いないけど。


「こんなにいいの? 却って悪かったみたい」

「何の、これは優れた戦士にこそ必要なもの。ところでドーラ大陸からいらしたとか。ひょっとして『アトラスの冒険者』ですかな?」


 驚いた、何で?

 現在の『アトラスの冒険者』は全員ドーラ人って話だった。

 帝国で知ってる人がいるとしても、こんな山の中で出会えるとは思わなかったよ。


「正解でーす。でもどうして『アトラスの冒険者』を知ってるの?」


 長老は笑みを見せる。


「やはり。昔、この村にも『アトラスの冒険者』がおりましたのでな」

「よかった。説明がややこしいから、どうしようかと思ってたんだよ」


 こんな山の中に『アトラスの冒険者』がいたのか。

 とゆーか転送魔法陣を設置する場所がないといけないから、田舎じゃないといけないのかな?

 最後の帝国人『アトラスの冒険者』だったかも。


「ふむ、して、ドーラの誰ぞがこの地の聖火教徒の心配をしてくれている、とのことでしたかな?」

「うん、向こうの聖火教大祭司ミスティって人。見た目四〇歳になるかならないかくらいの女性なんだけど」


 長老が首をかしげ、髪の毛がぞろっと動く。

 メッチャ気になるヘアスタイルとゆーかヒゲスタイルとゆーか。


「大祭司ミスティ……いや、あの子が確かミスティという名だった……」

「やっぱり面識ある人だった?」

「わからんが、ミスティという名には心当たりがある。わしの姪っ子でな、『アトラスの冒険者』だった親に連れられて、幼い頃にここを旅立った」


 何とビックリ。

 ミスティさんと『アトラスの冒険者』との間には繋がりがあった。

 なるほど、その関係で『地図の石板』を持ってたのかも?


「あたしはこの山の集落の様子を見てきてくれって言われたんだ。でも知ってる人なら直接会ってもらった方がいいかもな。長老、どうする? ミスティさんに会ってみる?」

「ハハッ、会ってみたいのは山々だが、今、渡航は制限されておるしの。おまけに聖火教徒には監視が厳しいのだ」

「あたしが転移で連れていけばいい」


 長老の探るような視線と交錯する。


「……お願いできるか?」

「もちろん。あ、転移できる人数に制限があるから、うちの子達はその間ここに置いていっていいかな?」


 長老は鷹揚に頷く。


「うむ、問題ない」

「決まりだね。じゃああんた達、ちょっと待ってて。あっ、やっぱりクララは来て。あの岩の道もう一度歩くの大変だわ」

「はい」

「よーし、行くよっ! 転移の玉っ!」


 クララと長老を連れてホームに戻る。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 聖火教アルハーン本部礼拝堂前に移動する。


「こんにちはー」


 入口の両開きの扉を開け、中へ進む。


「あっ貴様、精霊使いユーラシア! この聖火教を冒涜する者め、何しに来た!」


 例のキャンキャン吠えるハイプリーストだ。

 めんどくさいなーもー。


「冒涜なんかしとらんとゆーのに。ところでミスティさんいる? 会わせたい人がいるんだ」

「会わせたい人? そのむさ苦しいジジイか」

「そうそう。聖火教徒だよ」


 ハイプリーストは険しい目でジロジロ見る。


「ダメだダメだ! 貴様の知り合いなんかにミスティ様を会わせられるか!」

「控えろっ!」


 あたしは大声で怒鳴りつける。


「こちらにおわすお方をどなたと心得る! 恐れ多くもミスティ聖火教大祭司の伯父君にあらせられるぞ! ええい頭が高い! 控えおろうっ!」


 あたしの大声で何事かと駆けつける聖火教徒達。

 あ、しめた、ミスティさんもいる。


「ミスティさん。例の帝国の山の集落行ってきたよ。彼は集落の長老で、ミスティさんの伯父さんじゃないかって話なんだけど」


 長老が歩み寄る。


「おお、確かにその涼やかな目元、面影があるわ。わしじゃ、クランじゃ」


 ミスティさんの目が大きく開かれる。


「クラン……伯父様? 本当に?」

「お主がドーラの聖火教大祭司か。出世したの。白魔法の才能があったのじゃな。その才はハルトのパーティーメンバーとして磨かれたものか?」

「ええ。でも父様母様は行方不明になってしまって……」


 積もる話もあるだろう。

 二人きりにしてやろ。


「精霊使いさん、こちらへどうぞ」


 修道女に奥の間へ通され、ハーブティーを出された。


「ありがとうございまーす。いただきまーす」


 ふう、山の集落は寒かったから、熱い飲み物はありがたいな。


「あんなにはしゃいでる大祭司様は初めてです」

「伯父さんが無事だったことが嬉しいんだろうなあ」


 でもあの山の集落は本当に貧しそうだった。

 あんなところじゃ耕作もロクに捗らないに違いない。

 迫害どうこう以前の問題じゃないかな?


「精霊使いユーラシア!」


 んーまたあのハイプリーストか?


「何? 何か用?」

「今日はミスティ様に免じて許す!」

「いや、あんたに許してもらわなくてもいいんだけど」

「だからトイレの度にあの悪魔に顔出させるの止めてくれ!」


 アハハ、そーいえばそんなこと言った気もする。

 ヴィルマジでやってたのか。


「ごめんね。ジョークのつもりだったんだけど、あの子本気にしたみたい」

「謝るから許してくれ!」

「じゃ、外へ」


 礼拝堂の中にヴィルを呼び出すのは、さすがに聖火教の教義上都合が悪いだろ。

 ハイプリーストを礼拝堂の外へ連れ出し、ヴィルを呼ぶ。


「ヴィル、この人謝ったので、もうトイレの際に脅かさなくていいからね」

「わかったぬ!」


 よしよし、物わかりのいいやつめ。

 ぎゅっとしてやる。


「よーし、任務に戻っててね」

「はいだぬ!」


 掻き消えるヴィルを見ながらハイプリーストが恐々言う。


「あんなんでいいのか?」

「あんなんでいいんだよ。悪魔にとって契約は絶対、取り決めは必ず守るから」


 特にヴィルはすげーいい子だからな。

 ウソなんか吐く気がしない。

 ほっと胸をなでおろすハイプリースト。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ