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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第119話:実はやせ我慢している

 高らかにそして誇らしげに宣言する精霊カカシ。


「オイラはステータスアップの薬草を育てることができるんだぜ!」

「本当ですか!」


 クララが驚く。

 ステータスアップ薬草の生育条件は不明とされている。

 おそらくは魔力に関する条件が非常に厳しいため、通常育てるのは不可能なのだそうだ。

 カカシすげーな。


「いや、依頼で届けた八種のステータスアップ薬草がさ。今日受け取って、時間経ってるやつも結構生きがよかったから変だなとは思ったんだよ」

「オイラが管理してたからだぜ」

「マジですげーな」


 カカシがステータスアップ薬草を育ててくれるなら、あたし達はそれを摂取して少しずつでも強くなれることになる。

 今まで効果がもう一つ感じられないステータスアップ薬草だったが、頻繁に食べてりゃ違うのかもな。

 カカシに大いに期待する。


「持ってきてもらった強草、堅草、賢草、耐草、速草、月草、体力草、魔力草の八種については完全に把握したぜ。残るは……」

「凄草だね」


 幻の超レア薬草である凄草。

 食べると全てのステータス値がアップするというロマンさゆえ、あたしも名前だけは薬草図鑑で見知っている。

 しかしながら、もちろん実物は見たことがない。


「そうだ。持ってきてくれれば、オイラは必ずその生育条件を解明し、育て増やしてみせる!」

「おお、やるじゃないか!」


 熱いやつは嫌いじゃないぜ!

 カカシのためにどこかで必ず凄草を手に入れてこよう。


「で、カカシをどうしとけばいいのかな?」

「畑に立てておいてくれ。クエストのお題だった八種のステータスアップ薬草群を植えておいてくれればいい。ちなみにオイラは、土の表面と接してさえいればエネルギーを摂取できるのさ」

「え? 今地面と接してないじゃん。というかあんた、ずっとギルドの室内にいたよね?」

「実はやせ我慢している」

「アホかーっ!」


 何なんだコイツは。

 急いでカカシを外の畑に埋める。

 うちの畑を見渡せる真ん中くらいの位置だ。

 こんなもんかしらん?


「ああ、五臓六腑に染みわたるぜ」

「「五臓六腑があんのかよ!」」


 おお、アトムとハモったのは初めてかな。


「アトムとダンテは手伝って。薬草植えちゃおう。クララは御飯の用意よろしく」

「「「了解!」」」


 薬草を植えながらカカシに言う。


「近くに精霊の多く住む村があるんだ。そこは人間も『精霊の友』ばかりだし、あんたの得意分野を考えると、ここにいるよりいいかもしれないよ。望むなら連れてってあげてもいいけど、どうする?」

「ハハハ、オイラは勇敢な者が好きなんだ。でなきゃ扱いの面倒なステータスアップの薬草なんか、育てようとしやしねえよ」


 ふむ、涅土の精霊カカシとはそーゆー趣味の子か。

 灰の民は一般的に勇敢っていうカテゴリーの人種じゃないもんな。

 あたしも可憐でお淑やかだけど、ふつーの灰の民に比べれば勇敢寄りだろ。

 カカシはうちの子としてしっかり働いてもらうことにする。


「よくわかったよ。今後ともよろしくね」

「おう!」


          ◇


 夕食後、新しい転送先である『悪魔をめぐる戦い』について話し合う。


「ヤバくない?」

「ヤバいですね」

「ヤベーぜ」

「ヤバいね」


 具体的な対策がないのだ。

 低級の悪魔だったらともかく、高位魔族が相手だったらどうしよう?

 クララによれば少なくともレベル三〇はあるらしいしな。

 もし高位魔族が相手ならば、聖属性攻撃の手段があるかペペさんみたいな超高レベルじゃないと、対抗できないんじゃないの?


「必ずしも悪魔が敵と決まったわけではありませんが」

「悪魔をめぐる、だもんな」


 まあ悪魔にも一度会ってみたくはあった。

 これも経験だ。

 知性のある相手なのだから話はできる。

 なるべく向こうの言い分を聞いてやれば、いきなり戦闘ってことにはなるまい。


「ところで案山子クエスト完了したから、かなり経験値入ったんだ。クララとアトムはレベル上がってない?」


「上がってます」「上がってやす」


 あたしとクララとアトムはレベル三〇になった。

 クララはパーティーメンバーごと浮かせて移動できる風魔法『フライ』を、アトムは味方全体の激昂・混乱・睡眠をコストなしで解除できるバトルスキル『ハウリングボイス』を覚えた。

 ともに有用ではあるが、悪魔をどうにかできるものではないな。


「こりゃ考えても仕方ないね。ギルドが無茶なクエストを振ったんじゃないと信じて、行ってみるしかない」


 皆頷く。


「さっき武器・防具屋さんに『誰も寝てはならぬ』が入荷してたから買ってきたよ。配るね」


 『寒桜』は氷耐性、魔法力上昇、麻痺無効の、どちらかと言うと後衛職向きのパワーカードだ。

 既に上限の七枚カードを装備していたアトムにとって、『寒桜』より最大ヒットポイントと防御力の上がる『誰も寝てはならぬ』の方がメリットあるので、余った『寒桜』をダンテに回す。


 あたし……『スラッシュ』『アンチスライム』『シンプルガード』『誰も寝てはならぬ』『オールレジスト』『ポンコツトーイ』『寒桜』

 クララ……『マジシャンシール』『エルフのマント』『逃げ足サンダル』『癒し穂』『ポンコツトーイ』『寒桜』『誰も寝てはならぬ』

 アトム……『ナックル』『サイドワインダー』『シールド』『ルアー』『厄除け人形』『ポンコツトーイ』『誰も寝てはならぬ』

 ダンテ……『火の杖』『プチエンジェル』『ボトムアッパー』『ポンコツトーイ』『寒桜』『寒桜』『誰も寝てはならぬ』


 ダンテが『寒桜』二枚の変則ではあるが、ついに全員のパワーカード七枚枠が埋まった。

 レベルが三〇になったこともあり、いよいよ上級冒険者に手が届いた感じがする。

 気持ちの問題ってだけではあるけどね。


 ペペさんにもらったバトルスキルのスクロール『勇者の旋律』は、最初に考えていた通りクララに覚えさせた。

 ちなみにこの『勇者の旋律』、『魔法スキル大全』に載ってないんだそうな。

 ペペさんがレアスキルと言うだけのことはある。

 味方全員の攻撃によるダメージを上げる効果は、魔道士だけで組んでるパーティー以外なら使える。

 スクロールからの習得条件はないので一般向きだと思う。


「よし、これで明日、悪魔クエストに挑戦してみようか」

「「「了解!」」」


 悪魔に会えそうなのかー。

 どんなやつか密かに楽しみではある。

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