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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第118話:アッと驚くような報酬

 ――――――――――三四日目。


「雑魚は往ねっ!」


 畑仕事を終えてから、アルアさん家の外で経験値稼ぎを兼ねて、素材とアイテムの採取に励んでいる。

 もっともあたし達くらいになると、ここで経験値稼ぎというのも全くレベルに見合っていない。

 まあ経験値五割増しのパワーカード『ポンコツトーイ』と経験値倍増スキル『実りある経験』があるしな。

 肩慣らしってとこだ。


 今日は新しい『地図の石板』が来るはずじゃなかったのかって?

 ザッツライト。

 ただ案山子クエストのステータスアップ薬草集めを優先したのだ。

 残念ながら昨日のダン・ピンクマンとの共闘では、ステータスアップ薬草を手に入れることはできなかったから。


 これはあたしのカンだが、どうもあの案山子の精霊は気になる。

 アッと驚くような報酬に釣られているだけでも、依り代タイプの精霊だからってわけでもない。

 うちのパーティーの今後に大きく関わる気がするので、早めにクエストを終えるべきだと思ったのだ。

 うちの子達からも特に文句は出なかったので、自分のカンを大事にしてみる。


 それにしてもステータスアップ薬草はレアだけあって、生えてる場所が限定されてるんだよな。

 クララによるとどうやら生育に魔力条件が関係してるらしいんだけど、魔力が多けりゃいいってもんでもないらしい。

 今までの経験から、比較的アルアさんの工房外のエリアはステータスアップ薬草が多い気がしている。

 なので今日はここに山を張ってみたのだ。


 なお、この間にダンテのレベルが二九となった。


「ユー様、堅草です!」

「やたっ、これで全部揃ったね!」


 ラッキーなことに、三時間ほどで耐草次いで堅草を手に入れた。

 ステータスアップ薬草は狙って採取できるものじゃないだけに、達成感ハンパない。

 待ってろ案山子の精霊。


「姐御、どうしやす? 素材換金、カード交換を先にしやすか?」

「いや、案山子クエストの完了と新しい石板クエストの転送先確認を優先しよう」


 案山子の報酬や石板クエストの都合で、必要なパワーカードが変わってくるかもしれないしな。

 転移石碑から直接ギルドに向かうことはせず、転移の玉を起動して一旦ホームに戻る。


「あんた達は時間になったら御飯の用意と、海岸で『地図の石板』と素材の回収お願い。ギルドへはあたしが行ってくるよ。ひょっとしてギルドで石板配布ってことになってたら少し遅くなるかもしれないけど、御飯はうちで食べるから」

「「「了解!」」」


 転送魔法陣からギルドに飛び、すぐに依頼受付所へ。

 おっぱいさんにギルドカードと堅草・耐草を提出した。


「はい、確認いたしました。クエスト完了になります。こちらお持ちください」


 報酬の『アッと驚くようなもの』がここで出るのか?

 楽しみだなあ。


 ……想定内なのか想定外なのかわからんものが出てきた。


「えーと……これは?」


 例の精霊の依り代である案山子だ。


「報酬の案山子です」

「処分費ってかかっちゃう?」

「こらこらこらこらっ!」


 案山子が文句を言ってくる。


「オイラをいきなり処分しようとするな!」

「うん、確かに『アッと驚くような』報酬だった。素直にあたしの負けだ。じゃあね」

「こらこらこらこらっ、必ず役に立つからお前さんの家に連れてけ!」

「置いていかれても困るので、持って帰っていただけませんか?」


 おっぱいさんに頼まれれば仕方ない。

 持ってくか。


「案山子さんが依頼していた薬草一揃いはどうすればよろしいですか?」

「あっ、使うからお前さん持ってきてくれ」

「だってさ。もらってくね」


 ステータスアップの薬草を受け取った。

 『食べる』じゃなくて、『使う』ってどういうことだろうな?

 まあいい、おっぱいさんに確認しておかなければ。


「新しい『地図の石板』は、もうホームの方に来てるのかな?」

「はい、そのはずです」


 とゆーことは海岸だったか。

 武器・防具屋さんに注文していたパワーカード『誰も寝てはならぬ』が入荷していたので、三枚購入した。

 また貧乏になっちゃったよ。

 案山子クエストも現金収入にならなかったしなー。

 いらないアイテムを売却して帰宅する。


 ……オリジナルスキル屋ペペさんが寝てた。

 新しいスキルを開発済みなのかもしれないけど、今ほとんどおゼゼがないんだよ。

 転移の玉を起動、ペペさんを起こさずに帰宅する。


          ◇


「ただいまー!」

「ボス、ストーンボードがあったね」

「おーありがとう」


 あたしが触るとズズズウンンンと地響きがする。

 これ、家にいるとこんなに揺れるんだ?

 結構怖いな。


「行先だけは確認しておこうか」


 転送魔法陣の並ぶ東の区画へ急ぐ。

 八つ目となる、新しい魔法陣の中央に立つ。

 魔法陣の赤い輝きが強くなり、フイィィーンという高い音を発し始める。

 同時に頭の中に事務的な声が響く。


『悪魔をめぐる戦いに転送いたします。よろしいですか?』

「よろしくないです」


 ヤバいのキター!

 転送魔法陣から出てうちの子達と相談する。


「あ、悪魔ときたぜ? どうしやす?」

「悪魔と言っても、その強さはピンキリです。でも高位魔族なら少なくともレベル三〇はあるはずです」

「デンジャラスなやつもいるね。高位魔族のパワーはほとんどソコナシね」

「ちょっと落ち着こうか。まず案山子を何とかしよう」


 悪魔関係のクエストとなれば一筋縄でいかないとは思う。

 ただうちのパーティーなら何とかなると判断されて配布されてるはずだしな。

 大騒ぎしなくてもいいんじゃないか?


 家に戻り、案山子の精霊と話をする。


「オイラは涅土の精霊カカシ。よろしくな」


 おお、そのまんまの名前だ。

 素晴らしい。

 覚えやすい。


「あたしは精霊使いユーラシア。うちの子達はこちらから順に眩草の精霊クララ、剛石の精霊アトム、散光の精霊ダンテだよ。よろしく」

「オイラは植物のよく育つ土作りが得意なんだ。土に干渉して耕したりも、土の中の水分や栄養分を適度に操作して植物に分配したりもできる」

「メッチャ実用的な能力だな。すげー助かるんだけど……」


 そーゆー能力なら、うちみたいなさして広くもない敷地で家庭菜園やってるだけのところじゃ本領を発揮できないかも。

 灰の民の村へ連れて行って、規模の大きい農業を手伝ってもらった方がいいか? という思いが頭をかすめる。


 カカシは言葉を続ける。

 精霊カカシが仲間になりました。

 戦闘メンバーではありませんが、ユーラシアの冒険を側面からサポートします。

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