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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第114話:弟分を紹介する

 焼きを担当してくれている黄の民に声をかける。


「おーい、赤の民のゲストだよ! お肉食べさせてあげて!」

「姐さん、了解いたしやしたァ!」


 眼帯の大男の大声に縮こまる赤の民の男。

 ゴソっと盛られた焼き肉に目を丸くする。


「えっ? こんなにたくさん?」

「昨日狩ったばっかりの新鮮なお肉だよ。どんどん食べて。おいしいよ?」


 赤の男は恐る恐る一口食べ、そして全部をかき込んだ。


「何たる美味さだ!」

「でしょ? ラッキーだったね。そろそろ親睦会も終わりの時間だわ。食べられてよかった」


 今度はカラーズ全村で焼き肉親睦会をやりたいもんだ。

 お肉の供給はあたしが何とかするとして、焼きと調味料の負担が大きいな。

 お肉ごっそりスープ親睦会の方がいいか。

 どっかにデカい鍋ないかな?


「この白いタレと黒いタレは何だい? 肉の美味さが倍増するんだが」

「異国の調味料なんだ。黒の民の子が再現してくれてさ」

「ほう? 塩でも美味いけど、味に変化があるとワクワクするぜ」


 うんうん、大いにわかる。

 やはり食文化の発展には調味料による味変だ。

 美味いものが嫌いな人なんていないから、手頃な値段なら絶対に売れる。


「調味料として売り出すには容器が必要なんだよ。赤の民の村で安く作れないかなあ?」


 赤の民は陶器とかガラス器とかが得意と聞くけどどーだろ?

 赤の民の男はちょっと首をかしげる。


「……調味料か。じゃあガラスがいいな? オレは専門外だが、まとまった数なら可能だと思う」

「本当! よかったあ!」

「うちのカグツチ族長のところへ話を持ってきてくれ。族長も他所との交流には前向きで、商売をやりたい人なんだ。職人を紹介すると思うぜ」

「赤の民の族長もこういうの乗り気かー」


 族長クラスともなると、外に目を向けてる人が多いみたいだな。

 思ったより各色の民の融和は簡単なんじゃないだろうか?

 あたしが喜んでいると、後ろから声をかけられる。


「ユーラシア、楽しんでいるか?」

「フェイさん! この子うちの前の族長の孫のアレク。あたしの弟分なの。フェイさんは黄の民の族長代理なんだよ」


 フェイさんとアレクに互いを紹介する。


「ほう、デス殿の孫か。よろしく」

「こ、こちらこそよろしく」


 フェイさんとアレクが握手をする。

 ハハッ、フェイさんもだけど、黄の民は皆大体デカいからな。

 アレクビビってら。

 でもアレクもサイナスさんの次の族長の可能性が濃厚だろう。

 知っといてもらって損はないのだ。


「やー、皆に喜んでもらってよかったよ。フェイさんも協力ありがとう!」

「礼を言わねばならんのはこちらの方だ。こうも容易に部族間の垣根が払えるとは思ってもみなかった」

「美味いもん食わせるぞーだったら、皆大体乗ってくるよね」

「この調子でカラーズ間の融和が図れるとよいのだが」


 フェイさんが感慨深げに目を細める。

 黄の民フェイさんは積極的で黒の民クロードさんは消極的っていう温度差はある。

 でも自分とこの村を発展させたいっていう思いは、どこの族長でも一緒なんじゃない?

 ならば干渉地帯を利用したカラーズ間交易は早期に実現できそう。


「黄の民では家具は売らないの?」


 思いつきを口にしてみた。


「家具? どういうことだ?」

「この前思ったんだけどさ。黄の民の家具はどこよりも大きく、頑丈そうで立派なんだよ。あれは欲しくなるよ。商売になるんじゃないかなあ」

「ほう?」


 フェイさんが身を乗り出してくる。


「もし黄の民の家具が売れないとしたら、需要がないからではないんじゃないかな。運べないことと、入口から家の中に入れられないことが原因だと思う。黄の民の大男が運ぶサービスするなら運べないデメリットはないし、パーツごとに分割しておいて家の中で組み立てることができれば、入れられないデメリットもなくなるよ。カラーズの民は質素だから売れないだろうけど、レイノスでは売れると思うんだよなー。考えておいてよ」

「うむ、重要なヒントをくれたことに感謝する」


 フェイさんも喜んでくれた。

 さっきの赤の民の男も馴染んだようだし、めでたしめでたし。


「ユー姉、灰の民の売り物として考えてるものはないの?」


 アレクもそーゆー考え方になってきたか。


「アレクはどう思う?」

「野菜とその加工品、石けんくらいかなあ」

「加工品とゆー考えはなかったな。保存できるものは売る量調節できるし、いいかもしれない。あっ、けちゃっぷ!」

「けちゃっぷ?」


 アレクが聞き返す。


「トマトを煮潰して水分飛ばして塩とか入れたやつ。さっきまよねえずって白いタレあったでしょ? あれと同じ異国の調味料でさ。保存利くから来年作ってみようかって思ってたんだ。灰の民の村で作ってもらえばあたしがやらなくてもいいな」

「味の想像はできるから、来年村で試してみるよ」

「アレク頼りになるう」

「よせよ照れるぜ。で、他の案としては」

「サイナスさんは学校やりたいって言ってたよ」

「学校? つまり知識を売りものにってこと?」


 こっくり、そゆこと。


「知識だけじゃなくて、技能も教えられたらいいって言ってた」

「さすがサイナスさんだなあ」


 アレクが感心している。


「あたしが考えてるのはゲームだな」

「ゲーム?」


 不審者を見る目付きすんな。

 あたしは天候に左右される農産物じゃなくて、違う方向性で何かできないかって考えてるだけだ。


「双六にルール加えて複雑にしたようなの。見習い冒険者でスタートしてさあ。サイコロ振って道中でいろんな経験積んでる内に強くなって、最後にイビルドラゴン倒した人が勝ちみたいな」

「何それ、面白そう。冒険者のアイデアっぽい」

「でしょでしょ? でもこーゆーの考えるのは、どう考えてもあたし向きじゃないんだなあ。ちらっ」

「『ちらっ』をセリフに混ぜないでよ。わかった、ボクが考えておくよ」

「アレク頼りになるう」

「よせよ照れるぜ」


 アレクに任しておけば形にするだろ。

 さて、サフランはどこだ。

 あ、いたいた。

 ダン、ピンクマンと一緒か。


「よおユーラシア。ん、何だそいつ?」


 ダンが無遠慮に聞いてくる。


「あたしの弟分の灰の民アレク。よろしくね」


 アレクがぺこりと頭を下げる。


「ほお、姉貴分と違って随分と賢そうな顔してるじゃねえか」

「ユー姉、この人いい目してる」

「何を言ってるんだ。節穴だぞ?」

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