第112話:焼き肉親睦会
フイィィーンシュパパパッ。
「アルアさん、こんにちはー」
「おやおや、アンタはいつも元気だね。素材、換金していくかい?」
「うん。お願いしまーす」
パワーカード工房にやって来た。
武器・防具屋さんにサービスしてもらった一〇〇ポイントを合わせ、交換ポイントは二一五となる。
そしてサイナスさんからレア素材『ささら雲母』を手に入れたことにより、交換できるカードが増えている。
現在交換できるカードは以下の通りだ。
<五〇ポイント>
『逃げ足サンダル』敏捷性+一五%、回避率+五%、スキル:『煙玉』
<一〇〇ポイント>
『ナックル』【殴打】、攻撃力+二〇%
『シールド』防御力+二五%、回避率+七%
『光の幕』防御力+一五%、魔法防御+一五%、沈黙無効
『ニードル』【刺突】、攻撃力+二〇%
『ボトムアッパー』攻撃力/防御力/魔法力/魔法防御/敏捷性全て+七%
『ルアー』狙われ率+五〇%、防御力+一五%、魔法防御+一五%
『スナイプ』攻撃が遠隔化、攻撃力+二〇%
『スラッシュ』【斬撃】、攻撃力+二〇%
『火の杖』魔法力+一五%、スキル:『プチファイア』
『マジシャンシール』魔法力+二〇%、MP再生三%
『シンプルガード』防御力+二五%、クリティカル無効
『鷹の目』命中率+五〇%、攻撃力+一〇%、敏捷性+五%
『ハードボード』防御力+三〇%、暗闇無効
『アンチスライム』【スライム特攻】、攻撃力+二〇%
『フレイムタン』【火】、攻撃力+一二%、火耐性三〇%
『寒桜』【氷】、魔法力+一〇%、氷耐性三〇%、麻痺無効
『オールレジスト』基本八状態異常および即死に耐性五〇%
<一二〇ポイント>
『サイドワインダー』【斬撃】、攻撃力+一五%、スキル:『薙ぎ払い』
<一五〇ポイント、一枚限り>
『癒し穂』魔法力+二五%、スキル:『些細な癒し』
『風月』攻撃力+二五%、スキル:『颶風斬』、『疾風突』
『スコルピオ』攻撃力+三〇%、毒付与
新しく交換対象になったのは『スコルピオ』。
攻撃属性はないものの、攻撃力+三〇%はとにかく強いので魅力がある。
毒付与もいいな。
毒は強敵にも比較的効くというし、スリップダメージを狙える。
「どうする? 交換していくかい?」
『スコルピオ』と『サイドワインダー』付属のバトルスキル『薙ぎ払い』で、毒全体攻撃が可能になる。
魅力的ではあるが、『薙ぎ払い』を使うのはザコ相手だ。
毒のスリップダメージは強敵でこそ効果を発揮するから、相性はもう一つだな。
うちのパーティーは今、『雑魚は往ね』による一掃が主力攻撃ということもある。
だったら強敵戦に強い大技を使える『風月』の方がいいのか?
遠距離物理攻撃が可能になる『スナイプ』も、いつかは欲しいパワーカードではある。
クララやダンテの防御力を上げる手もあるしな。
どうすべきだ?
いや、方針が決まらないならば……。
「んー、今はやめとくね」
「そうかい。またおいで」
我慢できるのも成長の内だ。
新しい石板クエストが出てから、攻略に必要なパワーカードを選んでもいいしな。
今日はスルーだ。
アルアさん家の外で少し戦っていく。
勤労少女だから、なんてね。
ここは意外とステータスアップの薬草を拾えるんだけど、今日は残念ながら案山子クエストに必要な堅草と耐草を得ることはできなかった。
しかしあたしとクララ、アトムのレベルが二九になる。
ラッキー、もうちょっとでレベルアップするとこまで経験値溜まってたんだな。
「ふむー、ま、今日はこんなもんか。明日に備えて帰ろうか」
「「「了解!」」」
◇
――――――――――三二日目。
ふっふっふっ、今日は待ちに待った焼き肉親睦会の日だよ。
といってもやろうって決めたの二日前だけど。
人間の多い環境は精霊にとっては厳しいだろうって?
わかってるわかってる。
うちの子を含めた精霊達は灰の民の村に待機し、取り分けたお肉で楽しんでもらう。
「来た! 見た! 食った! 今日は黄・黒・灰の民の村の三村合同焼き肉親睦会でーす。この山になったお肉を見よっ!」
「「「「「「「「うおおおおおおおおお!」」」」」」」」
「腹を満たすはこれにありっ! 本能を刺激されてしまえっ! 肉々しさを心ゆくまで堪能するのだ!」
「「「「「「「「うおおおおおおおおお!」」」」」」」」
あたしの挨拶のあと、焼き肉開始。
自分の煽りでお腹が減ってしまうという、効率の良さだわ。
各鉄板の前に長い列ができているが、焼いたお肉を自分の皿に移したらすぐに離脱。
うんうん、うまく回ってるね。
一安心だ。
思ったより野菜焼きも人気あるな。
「ユーラシアさん」
サフランが上気した顔で話しかけてきた。
皆が調味料をおいしそうにしてるから、嬉しいんだろうな。
サフランと一緒にいるのはクロードさんか?
食べやすさ優先だからか、今日はフードを外している黒の民が多い。
「盛況でよかったよ。クロードさん、いずれここの緩衝地帯に各村から店出してさ。売り買いできるようになるといいねえ」
「緩衝地帯がカラーズ交易の場になるのか。夢だと思っていたが」
「サフランの調味料は売れるよ。呪術グッズも冒険者ギルドで評判悪くない。でも本命は人口の多いレイノスに売り込むことなんだよなあ。誰かレイノス商人に伝手がある人に心当たりないかな?」
「ユーラシアさんではムリなんですの?」
「うーん、あたしレイノスはダメなんだよね」
精霊様騒動のことを打ち明ける。
「騒ぎを起こすのが趣味なのか?」
「違うとゆーのに。まーだから精霊様ブランドはおそらくレイノスで有効だよ。うちの精霊クララを模した運の上がる呪術グッズを販売したら、かなり売れると思うんだ」
クロードさんが呟くように言う。
「……ユーラシア君はどうして他の民のために一生懸命になれるんだ?」
あたしは首を振る。
「自分のためだよ。自分の力の足りないところは手を貸してもらうんだ。もし精霊様グッズが当たったら、モデル料アイデア料として儲けの一〇%をあたしに回してよ」
「ハハハ、無論だ」
「さて、あたしは精霊達を労ってこないとな。あ、クロードさん、サフラン、もし他色の民や旅人が来たら、その人達にもお肉食べさせてあげて。黄・黒・灰以外の人であっても巻き込んでしまうのだ!」
「うむ」「はい」
灰の民の村へ。




