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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第110話:おっぱい談義と精霊案件

「ほう、もうすぐ上級冒険者か。大したものだ」

「あんたついこの前共同訓練したときレベル一三って言ってたじゃねーか!」


 ピンクマンとダンの反応が対照的だこと。

 あたしはふっと笑う。


「少女の成長は早いものよ。移ろう時のように」

「何だよその芸風は」

「いや芸風はともかく。ユーラシアは『アトラスの冒険者』になってどれくらいなのだ?」

「えーと、丸一ヶ月だな。今日で二ヶ月目に入ったとこ。まだピチピチのルーキーだね」

「一ヶ月? レベルアップが異常に速い。速過ぎる」


 とっとと強くなりたいから、意識してたくさん魔物倒してるしな。

 かなりバランス取れた四人パーティー、かつ『雑魚は往ね』や『些細な癒し』でマジックポイント節約できるから可能だってこともある。


「こいつ、ペペさんから経験値倍増スキル買ってたぜ。確か掘り出し物屋で値切り倒してた、経験値マシマシのパワーカードも装備してたはず」


 ダンはよく覚えてるな。

 回復魔法陣のある転送先が二つもあるから、長時間の探索が可能だったことも要因の一つだろう。

 考えてみりゃいろんなラッキーが重なってるもんだ。

 あたしはツイている。


「数字ほどの経験積んでないことはあたしもわかってるってばよ。上級冒険者なんて言われるだけでこっ恥ずかしい。でもパラメーター高い方がやれることは確実に多いからね」

「そりゃそうだ」「うむ、間違いない」


 二人が頷く。

 これからも積極的にレベルは上げていくつもり。

 いや、今は懐が比較的寂しめだから、アイテムや素材の回収をメインにすべきか?

 ああ、人形系レア魔物をたくさん倒せたらいいのに。


「ともかく次は洞窟コウモリ狩ってくるから、台車来たら頼むね」

「任せろ」「心得た」


 次は苔洞窟へ行く。

 ここは本の世界と違って『永久鉱山』じゃない。

 洞窟コウモリは取り過ぎると減っちゃうから、今日狩ったらしばらく封印だな。

 食資源の保護も重要だ。


 『発手群石』のおかげでゴソっと狩れるようになった洞窟コウモリの山とともに帰ってくる。

 お、台車来たか。

 コブタ肉を運ぶ台車は既に進発したようだ。


「おいユーラシア、村の衆がどん引きだったぞ?」

「えっ、何で?」

「多過ぎるからだろ、普通に考えて」

「あたしは腹一杯お肉食わせると宣言した。精霊使いユーラシアは焼く欲を守るのだ!」

「『焼く欲』て! そこは『約束』だろ! 本音が漏れてんぞ!」

「姐さん、お帰りなせェやし」


 黄の民の眼帯男ズシェンだ。


「足りる? 足んなきゃもう少し狩ってくるよ!」

「いえいえ、十分でさァ。量より明日までに捌いてェ肉にできるかわからねェ」

「あはは、頑張って。それと皆聞いて。明日参加者は必ず皿持ってくるように徹底しておいてくれる? 焼いた肉を皿に乗せて列から離脱、もっと食べたい人は列の後ろに再び並ぶってことにすれば、回転速くなるから」

「「「わかりました!」」」

「じゃーねー」


 台車を見送る。

 さあ、明日が楽しみだ。


「さて、今日やんなきゃいけないことはこれでお終いか。お肉が去っていくのを見てるのはちょっと寂しいな」

「あんたも明日食うんだろうが」

「ところで石板クエストの配布再開はいつからだか聞いてる? 『地図の石板』が来ないと、胸の奥が何だか切ないの」

「センチメンタルな芸風は合ってねえぞ? クエストは、サクラさんが三日後からって言ってたな。正式発表じゃねえが」

「ダンは芸風に拘るなあ。ところでサクラさんって誰だっけ?」


 ダンとピンクマンが顔を見合わせる。


「依頼受付所の」

「ああ、おっぱいさん! サクラさんって言うんだ。名前知らなかったよ」


 ダンが眉をひそめる。


「誰もが思っていながら言えなかったワードを堂々と」

「いや、多分怒らないと思うんだよね。あたし初めてギルドに行った時、おっぱいが大きい利点は何ですか? って聞いちゃったもん」

「さすがに失礼だろう……」


 ピンクマンが呆れる。

 そりゃどすけべえな男の人が聞いたら蹴り倒したくなるだろうけど。

 あたしのは探求心とゆーか知識欲だったから。

 参考にできるもんならしたいし。


「だって質問ありませんかって言うから。一番聞きたいことがつい声に出ちゃって」

「で、答えは?」

「食費がかかりません、だってさ」

「「おお」」


 二人が感心する。


「面白い話聞いたわ。男じゃちょっと聞けねえもんな。サクラさんたまにおっかねえ時あるし。ギルドの職員に嫌われたらどんな目に遭うかわからん」

「うむ。あれほど有能な女性を敵にはできん」


 わかる。

 おっぱいさんは敵に回しちゃいけないオーラある。


「純粋に興味あったんだよ。何詰まってんだろとか、目の前でジャンプしてくれないかなとか」

「発想が壊滅的におっさん……」

「いや、ピンクマンはおっぱいに興味ないだろうけど、あたしはあるんだってばよ」

「自分のおっぱいに対してはどうなんだよ?」


 ゲスっぽい質問にしては真面目な顔のダン。


「んー? 自分のおっぱいに興味はないかな。大っきくないし」


 ダンとピンクマンがあたしの胸をじっと見つめる。

 いやん。


「小さい方ではない、な」


 幼女オブザーバーのピンクマンが言うなら、小さくはないのかなあ?


「いや、大きくはないぜ? 背筋伸びてるからあるように見えるんじゃねーか?」

「真剣に検討されると、却って恥ずかしいんだけど」


 ダンがニヤッと笑う。


「ユーラシアがからかわれることなんて今までなかったじゃねーか。たまにはいいだろ」

「からかわれるの好きじゃないから、これ以上続けるならセクハラされたっておっぱいさんにチクる」


 これ以上にない真顔になるダン。


「マジでやめてくれ」

「おっぱいさんで思い出したけど、依頼請けてたんだったわ」

「依頼受付所のか? あんたレベル高いんだから、請けるのちっとは遠慮しろよ」


 依頼を欲しがったわけじゃねーわ。


「違うんだって。ぜひ請けてくれっておっぱいさんに頼まれたんだよ」

「ふむ? 向こうから頼まれるのは珍しいな。特殊な内容であったのか?」

「依頼主が精霊だったの」

「「依頼主が精霊?」」


 二人は驚く。


「レア案件だな……精霊相手ならばユーラシアが適任だな」

「ああ、ひょっとしてあの案山子か」

「そうそう」

「何? どういうことだ?」


 説明を求めるピンクマン。

 確かに案山子だけじゃ何のことかわかるまい。

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