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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第101話:肉が肉のようだ!

 大勢の黄の民に見送られ帰途に就く。


「フェイさんが族長代理だったのはラッキーだったなあ」

「助かったよ。ユーラシアの背負い投げがなかったら、あそこまで話がうまく進まなかっただろう」

「評価ポイント背負い投げだけ? その感謝は金銭的な形にならない?」

「ならない。ないものはないから」


 あたしも期待してたわけじゃない。

 言ってみただけだ。


「フェイさんはいい族長になるねえ」

「リーダーシップあるね」


 サイナスさんが他人事のように言う。

 頼むよ、我が灰の民の新族長。


「オレは将来、学校を作りたいんだよね」

「学校? 教育機関ってこと?」


 突然変なこと言いだしたぞ?

 熱でもあるのかしらん? 

 灰の民の村には、子供に教える小規模なものはあるが?


「今日の一件でもわかる通り、やはり一般事項についての知識で、灰の民は優れている。知識の授受に価値を見出す社会になればいいな、と思うんだ」

「読み書き計算以外の知識も、ってこと?」

「ああ、初等教育としての読み書き計算はもちろん、各種知識や各種技能もね。農耕、調理、剣術、鍛冶、木工とか」

「ふーん」


 灰の民は全員が読み書き計算を習得しており、それ以上の知識を得ることに対しても比較的貪欲だ。

 灰の民の長所だというなら生かす方向で行きたい。

 ものではなくて、知識や技能を売るという考え方もいい。


 しかし人の流れが活発になると、精霊の行き場がなくなっちゃう気がするなあ。

 今考えても仕方ないか。


「ねえ、サイナスさん」

「何だい?」

「あたしって我が儘じゃん?」

「自分のことがよくわかっているね」


 いや、笑って話終わりじゃないわ。

 言いたいのはここから先だわ。


「『アトラスの冒険者』の誘いに乗ったのは、自由にいろんなことをしたかったからなんだ。レベルさえ上げれば魔物に勝てるから、行動範囲が広がる。初めはほんとにそれだけの思いでさ」

「うん」


 ただ聞いてくれるサイナスさんは優しい。


「今日フェイさんと話してみてさ。フェイさんだけが原因でもないけど、あたしもカラーズを盛り上げたいって思ったな」

「殊勝な心がけだね」

「ドーラを発展させたいわ。パラキアスさんやデス爺もそれを視野に入れてるみたいだし。欲しいものが手に入りやすくなると思わない?」

「結局自分の都合か。しかしユーラシアがやる気なら話は早い」

「何ぞ?」

「オレの代わりに灰の民の族長やってくれ」

「おおう」


 申し出が予想外だわ。

 まだ族長を誰かに代わって欲しいなんて思ってるのか。

 往生際が悪い。


「サイナスさんは賢いし聞き上手だし、族長に向いてるって」

「そ、そうかい?」

「あたしは面倒なこと嫌いだし」

「メインの理由を後出しするテクニック?」


 アハハ。

 とにかく黄の民の村に行ったことは、いい経験になったってことよ。


「今日は満点だった。明日もよろしく頼むよ」

「ついてくことはついてくけど」


 他所の村に行くこと自体はいい。

 ただ正直、黒の民のやってることはよくわかんないんだよな。

 交渉って言っても、何要求してくるか見当つかんし。

 呪術師サフランに会うのは楽しみなので、まよねえず作りの準備は怠りなくするつもりだが。


          ◇


 サイナスさんを村まで送ったあと、転移の玉を起動し帰宅した。

 さて、夜はバエちゃんとこで焼き肉パーティーだ。

 お肉を狩ってこなければ。


 ここでデカダンス戦勝利による大量レベルアップに伴う、習得スキルの確認をしておく。


 あたし

『ハヤブサ斬り・改』(単体二回強攻撃バトルスキル。クリティカルあり)

『発手群石』(全体攻撃ノーコストバトルスキル。飛行魔物に強い。正の速度補正あり)

『マジックシャワー』(全体無属性攻撃魔法。飛行魔物に強い)


 クララ

『ウインドウォール』(味方全員の敏捷性と回避率を上げる風魔法)

『ハイヒール』(単体回復白魔法。『ヒール』よりも回復量が多い)

『ダンシングウインド』(単体攻撃風魔法。『ウインドカッター』よりダメージ量が多い)

『デバフキャンセル』(味方全員の能力値弱体を解除する白魔法)


 アトム

『挑発ハミング』(敵攻撃を自分に集中させる土魔法。自分のヒットポイント自動回復一〇%)

『ロックストライク』(単体攻撃土魔法。『アースクロッド』よりダメージ量が多い)

『クエイク』(全体攻撃土魔法。麻痺付与)


 ダンテ

『ファイアーウォール』(味方全員の攻撃力と氷耐性を上げる火魔法)

『アイスウォール』(味方全員の激昂・睡眠・麻痺・毒・火耐性を上げる氷魔法)

『サンダーウォール』(味方全員の魔法力と混乱・スタン耐性を上げる雷魔法)

『インフェルノ』(単体攻撃火魔法。『ファイアーボール』よりダメージ量が多い)

『アダマスフリーズ』(単体攻撃氷魔法。『アイスバレット』よりダメージ量が多い)

『エレキング』(単体攻撃雷魔法。『サンダーボルト』よりダメージ量が多い)


 ~ウォールという支援魔法は、その魔法適性が高いほど習得が早いらしい?

 複数系統の魔法固有能力を持つクララやダンテより、アトムが『アースウォール』を覚えるのが早かったのはそういうことなんじゃないかな。


 あたしの『ハヤブサ斬り・改』はとても有用だ。

 強敵相手用の単体攻撃技が欲しかったこともある。

 『発手群石』はまたもや習得条件不明のレアスキルだ。

 同時に習得した『マジックシャワー』が霞んで見えるわ。

 ノーコストの全体攻撃という点で『薙ぎ払い』に似るが、武器属性が乗る『薙ぎ払い』ほどの汎用性がない代わりに技の出が早く、飛行魔物に強いという特性がある。

 つまり……。


「ふははははははっ! 肉が肉のようだ!」

「姐御、何言ってるかわからねえ」


 アトムやウツツと出会った苔洞窟に来て、久しぶりにお肉こと洞窟コウモリを狩りに来ている。

 この洞窟コウモリというやつ、とてもフルーティーな香りがする極上の肉質なのだ。

 しかしこっちのレベルが上がると逃げるのでなかなか倒せず、狩りの効率が悪いためしばらく苔洞窟には来ていなかった。


 今やあたしの敏捷性は洞窟コウモリを軽く上回り、新スキル『発手群石』はまさに対肉用スキルといっても過言ではないほど使い勝手が良い。

 たとえお肉が群れをなしていても一発で全部落とせるのだ。

 よし、十二分な量をあっさり確保したので、次は本の世界でコブタマン狩りだ。

 『肉が肉のようだ』は『天空の城ラピュタ』でムスカが発したセリフ『人がゴミのようだ』にインスパイアされています(笑)。

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