第3話 カイトと電話
『アリスが記憶喪失に?』
「はい。そうなんです」
電話の相手はアリスの親父さんだ。
「それで、これからアルテンシラに戻ろうと思いまして・・・」
『ああ、賢明な判断だ。学校の方には私から事情を説明しよう』
親父さんが俺の意見に同意した。
「・・・」
俺が少し言葉に詰まる。
『どうやら、まだ何かあるようだね。話してごらん』
親父さんが優しく言った。
「その・・・アリスの記憶が一瞬だけ戻りまして・・・」
『帰りたくないって言ったのかい?』
・・・!
『図星か。なら、さっきの話は忘れてくれ』
親父さんが言う。
『君たちも心配だろうが・・・できれば、アリスの意思を尊重してあげて欲しい』
「分かりました。その・・・こちらに様子を見に来ますか?」
俺が聞いた。
『・・・アリスは私に来て欲しいと?』
「いえ、それは・・・」
俺が口ごもる。
『すまない。気を遣わせて。君たちがそばにいてあげてくれ』
ガチャッ。
電話が切れた。
「アリスのパパさんはなんだって?」
レイが聞いてきた。
「アリスの意思を尊重する。そばにいてあげてくれって」
俺が答えた。
「うーん。僕の言葉を真に受けすぎなんだよね・・・あの人」
レイが困った顔をする。
「まあ、ちょっと極端ではあるよな」
いい人なんだけど。
距離感を掴むのが下手なんだよなー。
アリスの親父さん。
「アリスさんはお父さんと仲が悪いの?」
記憶喪失のアリスが聞いてきた。
「いや、仲は良いよ?」
レイが言った。
「ただ、この前の一件があって・・・」
レイがアリスとその親父さんの話を始めた。




