第16話 カイトとマオ②
マオとの散歩の帰り道。
「まさか、早朝から手伝いをさせられるとは・・・」
マオとの散歩中、道行く人たちにお願いをされてしまいあちこちを駆け回った。
「もしかして、俺って。便利屋かなんかだと思われているのか?」
もう、ヘトヘトだった。
「マオも手伝ってくれてありがとうな」
俺がマオにお礼を言った。
「マオー」
マオが返事した。
「いやー、朝からご苦労様だね」
家に帰ってきた俺たちをレイが出迎えた。
「朝から一人で人助けなんて。カイトは本当にヒーローだね」
レイが嬉しそうに言う。
「一人ね・・・」
俺がマオを見る。
「マオー・・・」
マオが悲しそうな顔をする。
レイの中でマオは存在しない。
十年前のあの日・・・彼女自身の手で殺したことになっている。
「ごめんな、マオ。きっと、レイもいつか分かってくれるさ」
俺がマオを慰める。
「・・・」
その様子をレイが黙って見ている。
彼女の目に俺とマオのやり取りはどう映っているのだろうか。
「そうだ、カイト。ママが僕らの故郷のことで話があるって」
レイが話題を変えた。
「・・・古都の方か?」
俺が聞いた。
「当然だろ。古都アルテンシラ・・・僕たちが生まれ育った町じゃないか」
レイが言った。
「・・・そうだな」
俺が頷いた。
「・・・」
本当は違う。
俺たちの故郷はあの街じゃない。
今はもう無くなってしまったあの小さな村だ。
(けれど、彼女の中では・・・)
・・・。
「どうしたんだい?」
レイが俺の顔を覗き込んだ。
「なんでもないよ」
俺が言った。
「ローザさんが呼んでるんだろ?家に入ろう」
俺が歩き出す。
「そうだね」
レイが俺の後をついてくる。
(またな。マオ)
俺が一瞬だけ振り返って、マオを見た。
「マオー」
マオが鳴いた。
俺の別れの挨拶は伝わったようだ。




