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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第6章 少女たちの日常―前編―
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第14話 当然の報い

「さあ、召し上がれ」


 食卓にローザが作った料理が並ぶ。


「・・・」


 その料理を見て俺とレイが言葉を失う。

 ローザが作ってくれた料理はどれも紫色でなんか煮だっている。


(これは本当に食えるのか?)


 飯マズとかそういう次元ではない。


「ふふ、久しぶりに作ったけど。腕は鈍ってないみたいね」


 ローザが胸を張って言う。


「そうか。これは失敗したんじゃなくて、最初からこういう料理なのか」


 ここ数年はずっと俺が作ってたから、すっかり忘れていた。

 これがローザの・・・俺とレイの母親の手料理だ。


「相変わらずの味ね。まあ、ローザさんらしいわ」


 アリスが紫色の料理をハムスターにみたいに頬張る。


「おかわり」


 アリスが言った。


「はーい」


 ローザが嬉しそうにアリスの差し出した皿に追加の料理を盛る。


(すごいな、コイツ)


 ためらいなく食い続けるアリスを見て俺は素直に感嘆した。


「くっ、ママへの愛があればこれくらい!」


 レイがローザの作った紫色の物体を口の中に掻き込む。


「うっ!」


 ドサッ。


 レイが倒れた。


「一気に口の中に入れるから・・・」


 舌が拒否反応を起こしたのだろう。

 やはり、これは食べ物ではないらしい。


「よっぽど疲れていたのね」


 ローザが倒れたレイの背中を優しく撫でる。


『いや、あなたの料理が原因です』


 ゴクン。


 俺はその言葉を口に出さず飲み込んだ。

 その事実を言えばローザが悲しんでしまう。

 それは気を失ったレイも本望ではないだろう。


「俺がベッドまで運ぶよ」


 俺がレイを抱える。


「レイちゃんの分、残しておかないとね」


 アリスがレイの分の料理を寄せておこうとする。


「いや、遠慮せずに食べてくれ」


 これ以上食べたらレイが死んでしまう。


「そう?じゃあ、いただくわ」


 アリスがレイの分の料理に手をつける。

 バケモンかよ。


 ・・・。


 レイをベッドまで運び終えた俺は再び食卓の椅子に座った。


「・・・」


 俺が皿に盛られた料理を睨む。


「モグモグ」


 隣ではアリスが料理を食べ続けている。


 いくらなんでも、食べ過ぎじゃないか?

 もしかして、食べた分の脂肪が全て胸にいっているのか?

 だとしたら、なんて羨ましい体質なんだ。


「パシッ」


 俺が自身の頬を叩く。

 現実逃避はここまでだ。


「ガブッ」


 俺が紫色の物体を口に入れた。


「こ、これは・・・」


 痛い。

 なんか、口の中が痛い。

 辛いとかじゃない。

 ただ、痛い。


 あと、臭い。

 口から入った臭みが鼻から外に抜けていく。


「うっ」


 舌が痺れた。

 体が拒否反応を示している。


(ま、まずい。意識が・・・)


 俺が無我夢中で手を伸ばす。


『モミッ』


 柔らかい感触が手に広がる。


『モミモミ』


 失いかけていた意識が蘇っていく。


「カイト?」


 アリスが喋った。


 そこで気付いた。

 俺が揉んでいたのはアリスの胸だったことに。


「ありがとう。おかげで助かった」


 俺がアリスに礼を言った。


「ガブッ、ガブッ」


 俺が料理を食べる。


『モミモミ』


 意識を失いそうになるたびにアリスの胸を揉み意識を保つ。


 そして・・・


「ごちそうさまでした」


 俺はローザの料理を食べきった。


 俺は成し遂げたんだ。

 そこには確かな達成感と・・・

 その手に広がる幸せな感触があった。


「カイト・・・」


 アリスが鬼の形相で俺を見ていた。

 それも当然だろう。

 あれだけ胸を揉まれれば誰だって怒る。


 同性ならある程度冗談で済ませられるかもしれない。

 でも、俺は女であることを隠している。


 つまり、アリスは俺を男だと思っている。

 これは立派なセクハラである。


「ふっ、人間追いつめられると本性が出ると言うが・・・本当だったな」


 実は俺はレイ以上に大きな胸が好きだった。

 俺は自分の平べったい胸を見る。


 男のふりを続けた副作用だろう(関係ない)。

 俺の胸はローザ並みに小さい。


 だから、無意識に女性らしさ・・・大きな胸に憧れてしまうのだ。

 普段は理性で押さえているが、それを取っ払ってしまえばこの始末だ。


「何か弁明することは?」


 アリスが言った。


「本当にすみませんでした!」


 俺は地面に額をこすりつけて土下座した。


『ドンッ』


 アリスが俺の頭を容赦なく踏んづけた。


『ドンッ、ドンッ』


 何度も、何度も。


 当然の報いである。


「・・・」


 俺はピクリとも動かない。

 俺の意識はとうの昔に飛んでいた。

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