第7話 団長と鬼
目の前にいたのは・・・
白い髪に白い肌。
着物に身を包んだ少女だった。
そんな少女が悪魔だと分かったのは・・・
その頭から二本の角が生えていたから。
「東洋の鬼がモチーフか」
悪魔にはモチーフがある。
下級悪魔は動物。
地上に存在する生き物の姿で現れる。
そして、もう一つ・・・上級悪魔。
彼らは現実に存在しない上位の存在として顕現する。
それは、すなわち神話や伝承で語り継がれる架空の生物の姿である。
『鬼』
伝承に伝わる鬼は五種類。
赤鬼、青鬼、緑鬼、黄鬼、黒鬼。
この五色は五行説と五蓋説が組み合わさったものと言われている。
「僕は白鬼。光の三原色・・・赤、青、緑の三匹の鬼が混じって生まれた悪魔です」
鬼が自己紹介を始める。
「『赤』・・・火であり愛欲」
「『青』・・・木であり憎悪」
「『緑』・・・金であり沈鬱」
「それが僕が司る三つの煩悩です」
鬼が自身について説明する。
「それにちなんで僕は三つの願いを叶えることにしています」
鬼が指を三本立てながら言った。
「対価として命を頂きますがね。どうです?あなたも願いますか?」
「ごめんこうむるね!!」
私が目の前の鬼に切りかかる。
すると、鬼は煙のように消えた。
「乱暴な男は嫌われますよ」
耳元で声がした。
『グッ』
鬼が私の首を軽く絞める。
「はは、参ったね」
私の命は鬼に握られていた。
まあ、まだ奥の手は残っているが・・・
「安心してください。あなたを殺すつもりはありません」
鬼がささやく。
「ただ、知りたいんです。魔王が誰か・・・」
鬼が私にお願いする。
「魔王は『レイ』ですか?」
鬼が言った。
「えっ、なんで彼女の名前が?」
予想だにしなかった名前に私が思わず反応してしまった。
「そうですか・・・」
鬼が私から離れた。
「彼女を殺す大義名分が得られると思ったのに」
鬼が残念そうに言う。
「君は・・・魔王の味方じゃないのか?」
私が聞いた。
「まさか!魔王は世界を滅ぼす存在ですよ?」
鬼が驚きながら言った。
「むしろ、敵ですよ。だって、僕は・・・」
鬼が言う。
「正義の味方ですから」
・・・。
・・・。
「白い鬼は存在する」
二人の様子を見ていた俺が呟く。
「白鬼は黄鬼の別名だ」
道化師の設定はいつも詰めが甘い。
「適当に後付けで設定を追加するから矛盾が生じるんだ」
俺がため息をつく。
そして本をめくる。
分からないことは本が教えてくれる。
「黄(白)鬼が司るのは確か・・・」
本をめくっていた俺の手が止まる。
「『黄(白)』・・・土であり後悔」
「そうだな。後悔ばかりの人生だ」
俺たちを『人』と呼んで良いのならだが・・・
パタンッ。
本を閉じた。
「・・・」
俺が視線を二人に戻す。
二人のヒーローの決着を見守るとしよう。




