第3話 すげ替わり。成り代わり
踊る踊る。
僕らは舞台の上で踊る。
与えられた役を演じ続ける。
楽しい楽しいショーの始まり。
「あなたがヒーロー役?」
「いえ、いえ。僕はヒロインで道化師です」
「あら、そうなのね。ならどうしてヒーローを名乗っているの?」
「この度のヒーローは少しばかり頼りなく、すぐ逃げてしまいそうになるので」
道化師が踊る。
「彼がヒーロー役を忘れないように見せつけているんです」
道化師が剣を振るう。
『パチパチ』
観客が拍手をする。
「今宵の悪役はあなたで?」
道化師が聞いた。
「ええ、誰にも譲るつもりはないわ」
少女が舞台に上がる。
「・・・」
道化師が無言で剣を下ろす。
「どうしたの?道化師さん?」
「いえ、僕はヒーローではないので、舞台から降りようかと」
「駄目よ」
少女が道化師の腕を掴んだ。
「一度、ヒーローを名乗ったのなら・・・期待させてしまったのなら・・・」
少女が道化師に言う。
「責任を持って最後まで演じ切りなさい」
「これは手厳しい」
道化師がとぼける。
「私はあなたというヒーローに目を焼かれた悪役です」
少女は悪役を名乗った。
「逃げないで。私のヒーローさん」
少女が笑う。
「私はあなたを殺す悪役よ」
少女が物語の結末を決める。
「これは、これは困った」
道化師が慌てふためく。
道化師の服がひとりでに赤く染まった。
「ねえ、ヒーロー」
道化師が観客席を見た。
「いつまでも見てないで僕を助けてくれないかい?」
道化師が笑う。
「・・・」
俺が立ち上がる。
ショーの幕は上がった。
「『次章 喜劇編』・・・はまだ早いか」
俺が次の劇を考える。
「まずはタイトルの『魔法学校編』・・・」
俺が演目を決定する。
「うーん。どうせなら、もうひとつ欲しいな。それこそ、劇らしい荒唐無稽な話が」
俺が頭を悩ます。
「それなら、『ゾンビ編』なんてどうかな?」
道化師が言う。
「いいわね。私、好きよ。ゾンビ映画」
少女が食いついた。
「じゃあ、それでいこうか」
俺が同意した。
これで今回のショーも終わり。
新しい章が始まる。
「今回のこの話の章タイトルはどうするんだい?」
道化師が聞いた。
「前回と地続きでいいよ。一話しかないし」
俺が答えた。
「それは困った。前回で『完』ってやっちゃったよ」
道化師が舌を出して笑う。
「じゃあ、それっぽいタイトルを後付けして終わらせてよ」
俺が道化師に無茶ぶりをした。
「仕方ないなー。じゃあ、こんなのはどうかな?」
第5章 壊れた少女編。
改め。
第5章 すげ替わり編。
完。




