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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第5章 壊れた少女編―後編―
37/92

第2話 ヒーローの誓い―前編―

「ここは?」


 レイが目を覚ました。


「レイ、良かった!」


 俺がレイに抱きついた。

 騎士団に保護された俺とレイは病院へと運ばれた。


「苦しいよ。カイト」

「わ、悪い」


 俺がレイから離れた。


「もう、急に抱きついてくるからびっくりしたよ」


 レイが笑う。


「ご、ごめん。レイが目を覚ましたのが嬉しくてつい・・・」


 俺が謝った。


「・・・」


 レイが周囲を見渡す。

 ここが自分たちの住んでいた村でないことに気付いたのだろう。


「ねえ、カイト・・・村のみんなは?」


 レイが俺に聞いた。


「俺とレイ以外はもう・・・」


 俺がその問いの答えをにごす。


「そっか。そうだよね。むしろ、僕たちが助かったのが奇跡だよね」


 レイが全てを察した。

 その目から涙が零れ落ちる。


(俺はレイしか救えなかった)


 俺は思い出す。

 両親の顔。

 村のみんな。

 そして旅人のお兄さん。


(俺にもっと力があれば・・・)


 俺が自分の小さな手のひらに目をやる。


(みんなを救えたのに)


 俺は絵本に出てくるヒーローのようにみんなを救うことは出来なかった。


「カイト」


 レイが俺の手を握った。


「僕を助けてくれてありがとう」


 レイがお礼を言った。

 その言葉で俺は・・・


 救われた気持ちになった。


「マオー」


 マオが鳴いた。


「ああ、そうだ。マオも無事だったんだ」


 俺がマオを抱えてレイに見せる。


「マオ・・・」


 レイがマオに手を伸ばす。

 俺がレイにマオを手渡す。


「マオー」


 マオがレイの腕の中で嬉しそうに鳴いた。


『ガシッ』


 レイがマオを掴んだ。


「マ、マオー!」


 レイがマオの首を絞めた。


「な、何してんだ!レイ!」


 俺がレイを止めようとする。

 レイは手を離さない。


「お前のせいだ。お前が・・・村に魔物を呼んだんだ!」


 レイが叫んだ。

 恨みを込めて。


 それは誤解だった。

 マオのせいじゃない。


「死ね!魔物は・・・悪は死ね!」


 レイが手に力を込める。


「マ・・・オ・・・」


 マオの声が小さくなっていく。


「やめろ!」


 俺がレイを突き飛ばす。


「マオ!」


 俺がマオを抱える。


「・・・」


 マオはぐったりとしたまま動かない。


「どうしたんだい!」


 お医者さんが慌てて病室に入ってきた。


「マオが・・・マオが動かなくて」


 俺が涙を流しながらマオをお医者さんに見せる。


「大丈夫。私にまかせなさい」


 お医者さんは俺からマオを受け取ると、病室を去った。


「マオ・・・どうか無事で」


 俺がマオの無事を祈る。


「悪は死ね。悪は・・・」


 レイが独り言を呟き続ける。


「悪は・・・魔物を助けた・・・僕?」


 レイの手が動いた。


「ぐ、ぐが」


 レイが自身の・・・首を絞め始めた。


「やめろ!」


 俺がレイの手を引き剝がす。


「がっ、はっ」


 レイの呼吸が戻る。


「僕のせいだ・・・同じ悲劇を繰り返してはいけない」


 レイが呟く。


「悪を殺すんだ」


 レイがつぶやく。


「僕は悪を殺す・・・ヒーローにならなきゃいけないんだ!」


 レイが壊れる。


「それだけが僕にできる唯一の贖罪!」


 レイが壊れていく。


「あははは」


 レイが笑う。


 この日、レイは壊れた。

 悪を許さないヒーローになった。



 第5章 壊れた少女編。

 完。

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