第1話 初恋
カイト――魔法使いの家系に生まれた女の子。
これは仮の名前。
『魔法使いの家系に生まれた魔法が使えない娘は五歳まで男として育てられる』
それが魔法使いの家系に伝わる風習。
「明後日、俺は六歳の誕生日を迎える」
そうなれば、このカイトという名前ともお別れになる。
「両親から本当の名前を教えてもらえる」
そこから、男じゃない・・・
女の子としての・・・
本当の人生が始まる。
「怖さもある。でも、それ以上に楽しみなんだ」
旅人のお兄さんのことを思い浮かべる。
「彼は俺とは真逆だった」
魔法使いの家系に生まれたのに魔法が使えない女の子と。
男なのに魔法が使える旅人さん。
「最初は目の見えない彼が心配で・・・彼の手助けをするようになった」
そこで俺は彼が魔法使いだということを知った。
「それからは・・・憧れに変わった」
男にも関わらず魔法が使える彼は・・・俺にはまぶしすぎた。
でも、そのまぶしさに憧れた。
自分にないものを持っている彼に・・・
自分と真逆の彼に・・・
惹かれていった。
「でも、俺の彼を心配する気持ちも消えなかった」
彼は自分とは遠いところにいる存在に思えた。
でも、彼は完全無欠の存在ではなかった。
ある程度、魔法でカバーできるとはいえ。
目の見えない彼にはできないこともたくさんあった。
俺の彼を心配する気持ちは消えなくて。
むしろ、一緒に過ごすほど大きくなって。
「彼のことを・・・ずっと支えたいと思うようになった」
それは、憧れや心配で片づけられる感情ではなかった。
「きっと、この感情が『好き』ってことなんだ」
俺は旅人のお兄さんに・・・恋をしていた。




