第2話 さまよう悪魔
人間に騙された悪魔がいました。
その際に悪魔は肉体を奪われてしまいました。
「どうして、帰れないの?」
肉体を失った悪魔が涙を流します。
嘘です。
肉体が無いのだから涙を流すこともできません。
悪魔は魂だけの存在となりました。
「帰りたい。帰りたい。帰りたい・・・」
どれだけ、悪魔が願っても元いた世界に帰ることはできませんでした。
そう、悪魔が帰るには魔力が必要だったのです。
「返せ・・・魔力を持った体を!」
悪魔はかつての自分の体・・・人間に奪われた肉体に入ろうとします。
しかし・・・
キーン。
「うっ」
悪魔はその肉体からはじかれてしまいました。
魔力が人間を守ったのです。
「返せ。返せ。返せ!」
悪魔は諦めず何度も何度も肉体を奪おうとします。
「返せ。返せ。返せ!」
その人間が死んだあとはその娘に・・・
「返せ。返せ。返せ!」
その娘が死んだあとはその娘の子供に・・・
「返せ。返せ・・・」
悪魔は自身の体を奪った人間の子孫の体を奪おうとし続けました。
そして、途方もない時間が経ったある日・・・奇跡が起きました。
「えっ・・・」
悪魔が人間の子孫の体を奪うことに成功したのです。
「やった。これで帰れる」
悪魔が喜びました。
けれど、それはぬか喜びでした。
「なんで、肉体を取り返したのに帰れないの?」
悪魔が奪ったその体には魔力がありませんでした。
そう、悪魔は魔力の無い体しか奪えないのです。
だから、悪魔が元の世界に帰れる日が訪れることはありません。




