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第2話 被害者
アン「レイさんはマオさんのことをどう思いますか?」
私がレイさんに聞いた。
レイ「まあ、十中八九、魔王だろうね」
レイさんは、やれやれと、諦めたように言った。
アン「それは困りましたね……。約束通り騎士団に魔王――マオさんのことを伝えなくては……」
スッ。
レイさんが剣を抜いて私の首に当てた。
レイ「マオのことを騎士団に話したら殺す」
レイさんが私を脅す。
アン「冗談ですよ。そんなことをしなくても、マオさんのことを伝えたりは……」
レイ「君は騎士団にマオのことを伝えようとした」
レイさんが私の言葉を遮って事実無根のことを言う。
レイ「でも、君はレイという生徒に脅されてしまい……本当のことを騎士団に伝えることができなかった」
アン「レイさん……あなたは……」
レイ「君は脅されただけの被害者だ。悪いのは全部……僕。これはそういうお話だ」
レイさんが剣を鞘にしまった。
アン「ありがとうございます」
レイ「礼を言うのはこっちだよ。君には騎士団を騙すという危険な役割を負わせることになる。もし、バレたらさっきの話をするんだよ。――全部、僕に脅されてやったことだって」
レイさんが私を心配する。
アン「ふふ、分かりました」
私はそんなレイさんを見て、思わず笑った。




