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第7話 私の嘘
ライト「君のお兄さんが……団長のオルガさん?」
ライトさんが驚きつつ困惑していた。
アン「ええ、オルガは私の兄です。驚いたでしょ?」
嘘である。
あの人は私の『兄』ではない。
アン「だから、私……兄の力になりたいんです」
これも嘘。
家を捨て、騎士になることを選んだあの人のことが大嫌いだった。
ライト「実は……僕に監視の任務を言い渡したのは団長なんだ」
アン「そうだったんですね。それなら、尚更手伝わなきゃ……大好きな『お兄ちゃん』のために!」
私は嘘を続ける。
あの人を利用し、ライトさんの心を揺れ動かさせる。
ライト「アン……分かったよ。一緒に団長……君のお兄さんのために頑張ろう」
ライトさんが私の協力を受け入れた。
アン「ありがとうございます。ライトさん」
私はお礼を言いつつ、ライトさんが私の申し出を受け入れてくれたことに安堵した。
『僕は――出来損ないのいらない人間なんだ』
『僕も……ベルクのように魔法使いになれるんじゃないかって』
私がライトさんの言葉を頭の中で反芻する。
ライトさんは……私と同じだった。
魔法使いの家に生まれたのに、魔法使いになれなかった人間。
アン「……私が助けてあげなくちゃね」
ライトさんに聞こえないように小声で呟いた。




