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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第14章 ヒーロー編―前編―
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第3話 現代の魔王像

ライト「……言えない」


アン「ほう? この写真をばら撒かれても良いと?」


ライト「良くはない。……でも、言えないんだ」


僕は断固として拒否した。


『あのアリスというご令嬢は、魔王の転生候補の一人である』


この事実を伝えることは出来なかった。

魔王――悪魔の王にして、世界を滅ぼそうとする巨悪。

その存在は遥か昔からおとぎ話として語り継がれてきた。


アキラ「よお、子猫ちゃんたち久しぶりだな……どうだ? 俺に攫われたいお姫様はいるか?」


客A「キャー、アキラくん。かっこいい!」


客B「私を攫ってー! 魔王様!」


魔王のコスプレをした店員がやってきた。

誰も魔王を恐れる様子は見せない。

なぜなら、人々は魔王をフィクションの存在だと思い込んでいるからだ。


魔王が実在することを知っているのは王様、そしてその直属の兵士である騎士団のメンバーだけ。

これは無用な混乱から人々を守るための処置だ。

魔王は転生を果たすたびに、騎士団の中から選ばれた強者――すなわち、勇者の手によって秘密裏に処分されてきた。

だが、それでも魔王は何度も転生を果たし、勇者と魔王の戦いは現代まで続いてしまっている。


『パシャパシャ』


女性客たちが『キャー、キャー』言いながら、魔王のコスプレをした店員の写真を撮っている。


ライト「すごい人気だな……」


アン「そりゃまあ、今人気の少女漫画『お姫様は魔王に恋をした』の魔王のコスプレですからね」


ライト「魔王に……恋をした?」


アン「ええ、悪魔の王である魔王と、人間のお姫様。身分の違う二人の熱い恋の物語です」


ライト「世も末だな……」


かつての王と騎士団は人々の不安を取り除くために、魔王が存在するという記録そのものを消そうとした。

しかし、それは叶わなかった。

どれだけ、戒厳令を引いて、書物を削除しても魔王という存在を人々の中から消すことはできなかった。

そればかりか、どこからともなく騎士団が抱える勇者の存在までバレ、勇者と魔王の戦いを描いた創作物が大量に作られてしまった。

そして、それら全てが大ヒット。

苦肉の策として、かつての王はその創作物を大々的に宣伝し、魔王は創作の中にのみに存在するフィクションであることにした。

そうすることで、人々の中にある魔王に対しての不安を消した。


ライト「いや、違うか……」


人々の魔王への不安が消えた最大の要因は、勇者ヒーローの存在だ。

勇者の存在が人々に希望を与え、魔王への恐怖を消し去った。

恐怖を忘れた人間はいつしか、魔王を創作上の存在だと思い込むようになった。


アン「ライトさんは古いですね。世の中には魔王が世界平和を掲げ人間を支配していくゲームや、魔王が己の身分を捨て人間と添い遂げる小説だってあるんですよ」


ライト「嘘だろ? 魔王は世界を滅ぼす存在のはず……」


たとえ、創作とはいえ、魔王が悪だという認識は一般の人々に伝わっているはずだった。


アン「本当です。人間の想像力は無限大ですよ。魔王が悪役ヒールの時代は終わったんです。これからは、魔王が主人公ヒーローの時代です」


ライト「……」


僕が口を空けたまま放心する。

魔王から人々を守るために秘密裏で活動している僕としては複雑な心境だった。

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