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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第14章 ヒーロー編―前編―
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第2話 悪女

メグミ「お帰りなさいませ。お嬢様。旦那様」


喫茶店に入った僕たちを出迎えたの執事服を着たイケメンだった。


アン「二名と一匹でお願いします」


メグミ「かしこまりました。ご指名はいつも通りで?」


アン「ええ、いつも通りで」


メグミ「それではこちらのテーブルにどうぞ」


イケメンが僕らをテーブル席に案内した。


アン「さ~て、何を食べましょうか」


コケ「コケ~」


先ほど知り合った少女――アンと、そのペットの鶏――コケがテーブルに置かれたメニュー表を広げた。


ライト「この店……ペットの同伴オッケーなんだね」


アンと同じように動物を連れた客がちらほらいる。


アン「ここがこの店のいいところです。ライトさんは何食べます?」


ライト「僕は水でいいよ……」


今は食事が喉を通りそうになかった。


アン「分かりました。メグミさ~ん、注文お願いしまーす」


メグミ「はい、ただいま」


さきほどのイケメンがやってきた。


ライト「この人、メグミって言うんだ……」


なんか、女性っぽい名前だな。

まあ、ミサキが話していた漫画でも同じ名前の男キャラがいたから割と一般的なのかな?


アン「この『ワンワンオムライス』と、鶏用の……」


アンが注文をしている間、僕は喫茶店の中を見渡した。


女性客「それでこの間ね……」


店員「それは大変でしたね。あっ、そういえば……」


店にいる客は全員女性で、各テーブルにイケメンの店員が一人ついていた。


ライト「……動物がいなかったら、いかがわしいお店と勘違いするところだったよ」


いや、もしかしたらカモフラージュのために動物を?


アン「安心してください。ここは健全なお店ですよ。ライトさん以外は全員女性ですし……ああ、動物を除いてですよ」


店員が運んできてくれた犬の形をしたオムライスを食べながらアンが言った。


ライト「いや、だからいかがわしい店だと思ったんだ。店員は全員男性だし……」


アン「店員も女性ですよ。ここ、男装喫茶ですから……もぐもぐ」


アンが美味しそうにオムライスを頬張った。


ライト「店員が……女性?」


僕が男装した店員たちを見る。


……マジ? 全然分からん。


ライト「驚いた。男性にしか見えなかったよ」


アン「今の時間帯はガチのお姉様方しかいらっしゃらないので、男装のクオリティが高いんですよね。放課後……バイトの学生たちなら見分けられると思いますよ」


ライト「そうなんだ……。ところで、君は学校に通ってないみたいだけど……。何か事情があるのかい?」


目の前のアンは制服を着ていなかった。

今は始業の時間を過ぎちゃったけど、彼女と出会ったのは学校の登校時間。

もし、彼女が学生なら制服を着ていなきゃ、おかしかった。


ライト「あっ、ごめん。話したくなかったら話さなくていいよ」


彼女の家庭事情に踏み込み過ぎたことに気付いて、僕が慌てて言葉を撤回した。


アン「いえ、構いませんよ。そもそも、私……学校に通ってますから」


ライト「あっ、そうだったんだ。ごめんね、勘違いして。……あれ? じゃあ、君……学校行かないと駄目じゃん!」


アン「目の前で、生徒をつけ狙う変態不審者さんがいたんですから、放っておくことなんてできないでしょ?」


ライト「いや、それは誤解で……って、君は最初から制服着てなかったじゃん。学校に行く気なかったでしょ!」


アン「違います。あれは朝の散歩中だったんです。スクープを探して……ね」


アンがカメラを取り出して言った。


アン「私が通う魔法学校は寮制ですから、散歩が終わったら学校の寮に戻って制服に着替えるつもりだったんです」


ライト「ああ、なるほど。それは悪いことをしたね。今からでも学校に行くといい。安心して、ここの支払いは僕が済ませておくから」


アン「駄目ですよ。あなたを衛兵に突き出さないといけませんから。娑婆で食べる最後のご飯を楽しんでください」


ライト「そうか、この喫茶店に連れて来たのはそういう意図があったのか……」


どうしよう、水しか頼んでない。

もっと、いいの頼めば良かったかな。


アン「そんな悲しそうな顔しないでください。私のオムライス分けてあげますから。……ほら、あ~ん」


アンがオムライスをスプーンですくって僕の口元に近づけた。


ライト「いや、さすがにそれは……」


アン「駄々こねると、さっき撮ったストーキング中の写真をばら撒きますよ」


ライト「だから、僕はストーカーでは……」


アン「あっ、メグミさ~ん。見て欲しい写真が……」


ライト「食べます! 食べるからやめて!」


僕は諦めて彼女に従うことにした。


アン「はい、あ~ん」


ライト「あ~ん……」


僕が口を開けて、アンのスプーンに口をつけた瞬間……


『パシャリ』


ライト「んぐっ!?」


オムライスを口に含みながら僕が驚く。


今、聞こえたのはシャッター音?


コケ「コケ~」


いつの間にかテーブルに置かれたカメラ。

カメラの後ろにはコケが。


まさか、嘴でシャッターのボタンを押したのか!?


ライト「は、はめられた……」


僕の顔が青ざめる。


アン「ふふ、撮られちゃいましたね~。未成年の女の子とデートしてる瞬間を」


アンがテーブルに置いていたカメラを拾って笑う。


当然、僕たちはデートなどしていない。

しかし、さっきの「あ~ん」の写真を見た人たちはどう思うか……


アン「さっきのストーキング疑惑の写真なんて目じゃない。特大の証・拠・写・真♪」


ライト「うわー!」


終わる。

僕の人生が社会的に終わってしまう!


アン「安心してください。あなたが私の『お話』を聞いてくれるなら、この写真は表に出さないであげますよ。――騎士団所属のライトさん」


ライト「くっ」


まずい。あの写真が公開されたら、僕が捕まるだけじゃなく、騎士団の名にまで傷がついてしまう。

そうなったら、団長のオルガさんに殺される。

……って、あれ?


ライト「どうして、僕が騎士団の人間だって知って……」


名前は名乗ったが、騎士団のことは秘密にしたのに。


アン「見ていたんですよ。先日、王都近郊で魔物と戦っていたあなたの姿を」


ライト「なっ、君もあの戦場に!?」


アン「ええ、バレないように茂みに隠れてね」


ライト「なんて、無茶を……」


下手をすれば、巻き込まれて怪我を……。最悪、死ぬ可能性だって……。


アン「まあ、過去の話は一旦置いといて……今の話をしましょう」


アンが悪戯な笑みを浮かべる。


アン「それでは聞かせてもらいましょう。カイトくんたちをストーキングしていた本当の理由を……ね」

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