第8話 勇者
オルガ「……ここか」
王都近郊の森の中、そこにある廃城に私はいた。
壁は壊れ天井も既に崩れ落ちて吹き曝し……
もはや城としての機能は果たしていなかった。
オルガ「王都の近くに魔王城が存在する……。昔から言い伝えられていた」
けれど、誰もその城を見つけることは出来なかった。
だから、おとぎ話として片付けられてしまっていた。
……魔王の存在ごと。
オルガ「なのに、私は見つけることが出来てしまった」
それは私の腰につけている勇者の剣の力のおかげか?
それとも……
オルガ「主である魔王の復活が近いからか?」
私は廃城――魔王城の中を歩く。
オルガ「(ピタリ)」
私が歩みを止める。
目の前にこの廃城と化した魔王城に似つかわしくない――塵一つついていない綺麗な玉座があった。
オルガ「お前はここで一人、主の帰りを待っていたのか?」
玉座『……』
主を失った玉座は私の問いに答えることなく、ただそこに鎮座していた。
オルガ「かつて、勇者はその剣で玉座ごと魔王の心臓を貫いて――魔王を殺したという」
それを裏付けるように玉座の中心に剣が刺さっていたであろう傷が残っていた。
オルガ「……」
私は勇者の剣を鞘から抜き、玉座の傷に照らし合わせる。
その傷は私の持つ勇者の剣とは一致しなかった。
オルガ「……当然か。伝説の勇者の持っていた剣が本物の勇者の剣だったのなら魔王が生きているはずがない」
勇者の持っていた剣は偽物だった。
だから、魔王は完全に消滅せず幾度となく転生を繰り返した。
オルガ「私が手に入れたこの剣が本物であることを願うよ」
私の代で終わらせよう。
数千年続いた勇者と魔王の戦いを。
オルガ「勇者の名のもとに」




