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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第13章 数千年続いた物語を終わらせるために
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第5話 悪魔の喜劇

?「……変身解除」


魔界に帰った私は変身を解除し、白馬の姿から本来の悪魔の姿に戻った。


侍女「お帰りなさいませ。バアル様」


侍女が私を出迎えた。


バアル「すまない。戻ってきばかりだが、少し出かける」


私が断りを入れる。


侍女「分かりました。いってらっしゃいませ」


侍女に別れを告げた私は王の間へと向かった。


……。


…………。



バアル「……懐かしいな」


私が王の間にある玉座に触れる。

この玉座は元々、私のために作られたものだった。


バアル「だが、今は違う……」


この玉座は魔王のものということになっている。


バアル「悪魔の王――魔王」


その正体は、遥か昔――人間に体を奪われた下級悪魔だった。

決して王などではなかった。


バアル「全ては人間が悪魔を騙したことから始まった」


悪魔の体を奪った人間が子を産み。

魔法使いが誕生した。


バアル「あの時代は最悪だった」


数多の悪魔が人間に利用され悲劇的な運命を辿った。


バアル「あの子を魔王――人類を滅ぼす存在という嘘で塗り固めたのは罪の意識からか?」


悪魔に酷いことをした自覚。

復讐されるんじゃないかという恐怖。


バアル「本当に人類を滅ぼそうと思ったこともあった」


でも、出来なかった。

私たち悪魔はそれでも人間を愛したいと思ってしまった。


バアル「幸か、不幸か。魔王という嘘は後世まで伝わり人間は悪魔を恐れるようになった」


これによって、人間が悪魔を利用することはなくなった。

願いと対価――公正な取引によって結ばれた関係となった。


バアル「そして、そんな魔王は悪魔たちにとって希望の象徴となった」


若い悪魔たちは知らない。

魔王という存在がただのフィクションで、その正体が体を奪われ、魂だけとなり帰れなくなった。

ただの下級悪魔だということを。


バアル「魔王という抑止力のおかげで私たち悪魔は平穏な時間を過ごすことができた」


けれど、そんな平穏な時間も長くは続かない。


バアル「……今から千年前。悪魔を騙した大罪人が現れた」


その大罪人は人間同士の戦争を止めた英雄ヒーローだった。


バアル「大罪人の名前はベルク」


その名は千年経った今でも、人間、悪魔。

双方に伝わっている。


バアル「悪魔に恋をし、悪魔の願いを叶えるために命を捨てようとした英雄――」


けれど、結局。彼は死にきれず――


バアル「結果的に悪魔を騙すことにつながった」


そして、それは正解だった。

これにより、悪魔は罰を受ける対象ではなく、人間に騙された被害者となり、自我を失わずに済んだ。


バアル「もし、彼があのまま死んでいれば『彼女あくま』は人間の願いを叶えられなかった罰として、物言わぬ獣と化していただろう」


それはベルク本人も、当の悪魔本人も知る由もないことではあるが。


バアル「ずっと、君と話したいと思っていた」


そして、その私の願いは叶い――確信した。


バアル「君は間違いなく悪魔を騙した大罪人で――英雄だ」


長い長い時間が経った。

ベルク――君が生きたこの千年よりもずっと長い時間が。


バアル「魔王として途方のない時間を苦しんだ。あの子にも救われるときがきたのだ」


そのためのルールは既に追加した。


バアル「我々悪魔は自分自身、あるいは人間の願いしか叶えることはできない」


だから、最後の仕上げは人間がしなければいけない。


バアル「ベルク……待っているよ。君が『魔王の復活』を願うそのときを」


我ら悪魔にとっての『喜劇』が――もうすぐ始まる。

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