第30話 彼女たちの選択
レイ「幻術は術者を殺せば解ける」
私の嘘はいともたやすく暴かれた。
レイ「……ユキノ。
マンドラゴラを渡してくれるね?」
レイくんが私に向けていた
剣を下ろして言った。
ユキノ「……」
言葉が出ない。
ドラちゃんを守るために演技を……
嘘をつかなきゃいけないのに……
『ポタリ、ポタリ』
ただ、涙だけが零れ落ちた。
どうして……
こうなってしまったんだろう……
さっきから、現実味がない。
ドラ『ご主人~』
昨日の出来事を思い出す。
ドラちゃんが笑顔で私を呼ぶ。
こんな日々が永遠に続くと思っていた。
ドラ「ご主人……」
現実のドラちゃんは
辛そうな顔で私を見ていた。
どうして……
ユキノ「あっ、あっ……」
グシャグシャ。
私が自身の髪をかきむしる。
夢なら覚めてくれ。
ユキノ「分からない。分からない」
正解が分からない。
正解がどこにもない。
レイ「……」
レイくんがおかしくなった私を尻目に
ドラちゃんの元へと歩いていく。
レイ「……」
ドラ「……」
レイくんとドラちゃんが向かい合った。
ドラ「レイさん……」
ドラちゃんが先に口を開いた。
ドラ「私を殺してください」
ドラちゃんのその言葉に答えるように
レイくんが剣をかかげた。
レイ「さようなら、ドラ。
……ごめんね」
ユキノ「……」
無力な私は泣きながら
その様子をただ見ていた。
ドラ「ご主人、泣かないで……」
ドラちゃんが私を見て微笑む。
ドラ「私……
生まれ変わったら……
人間になるの」
……ああ、そうか。
私は……
君の願いを叶えて
あげられなかったんだね……
『ザシュッ』
レイくんが剣を振り下ろした。
第11章 ゾンビ編(本編)。
完。




