第27話 ユキノとドラ④
ドラ「……」
ユキノ「ドラちゃん」
ドラ「……」
ユキノ「ドラちゃん!」
ドラ「はっ! ご主人!」
私が何度も名前を呼んで、
ようやくドラちゃんが反応した。
……ドラちゃんは、
ここ最近、上の空であることが多い。
ドラ「……」
ゴンッ。
ドラちゃんが足の小指を
テーブルの足にぶつけた。
ドラ「いたっ~~」
ドラちゃん足の指を
押さえながら転げまわる。
博士「大丈夫かい! ドラくん!」
博士があわてて、
ドラちゃんの治療を始める。
博士「……よし、これでどうだい?」
ドラ「ありがとうございます」
ドラちゃんが足を動かす。
どうやら、足の痛みは無事に
なくなったようだ。
ドラ「……」
そして、またボ~とする。
ユキノ「……」
原因は分かっていた。
ユキノ「(チラッ)」
私がデスクの上に目をやる。
そこには学園もののアニメや漫画が
積みあがっていた。
ドラ「私……
ちょっと、散歩に行ってきますね」
ドラちゃんが研究室をあとにする。
どこに向かったかは分かっている。
学校だ。
……。
…………。
生徒A「今日のテストどうだった?」
生徒B「お願い……思い出させないで」
生徒A「悪い、悪い……
あっ、そういえばこの間……」
生徒たちが楽しそうに
談笑しながら下校してくる。
ドラ「いいな~」
そんな生徒たちを私が
羨ましそうに眺めていた。
ドラ「……」
私は目をつぶった。
そして想像する。
自分が制服に袖を通して、
学校に通う姿を。
ドラ「……無理だよね」
どれだけ見た目が人間でも、
実際はマンドラゴラ。
学校には通えない。
『ガサゴソ』
私が鞄から一冊の本を取り出す。
それは一匹の魔物が人間に
生まれ変わるお話。
ドラ「私も生まれ変われば……
人間になれるかな」
最初は人間と友達になりたいと思っていた。
でも、人間を知れば知るほど……
憧れは強くなって、
それだけでは満足できなくなった。
ドラ「人間になりたいな……」
ポタリ。
私の目から自然と涙が零れ落ちた。




