第14話 ヒーローらしく
階段を駆け上がり、
僕たちは四階へとたどり着いた。
そこで、待ち受けていたのは……
ゾンビたち「ぐおおおお」
廊下を埋め尽くさんとする大量のゾンビだった。
レイ「ルナは、どれくらい戦える?」
ルナ「ごめんなさい。戦闘はからっきしで……
ただ、本当にやばくなったらベルちゃんに
頼ればなんとかなると思う」
レイ「ベルは、戦えるんだね」
ルナ「戦うとはちょっと違うけど、
ゾンビを蹴散らすことは出来ると思う」
レイ「今からベルに頼るのは?」
ルナ「え~と、その……
ベルちゃんの魔法は特殊で
……黒魔術を使うの」
黒魔術。
ありとあらゆる法則を捻じ曲げ願いを叶える魔法。
この魔法を使うには悪魔を呼び出すための魔法陣が
必要となる。
レイ「それは出来れば使いたくはないね」
悪魔は願いを叶えると同時に対価を奪う。
叶える願いによって、対価の重さも変動するが
そこら辺は悪魔の匙加減。
その危険性から黒魔術は禁術とされ、
使用は禁止されている。
まぁ、あくまで表向きの話で魔法使いの大半は
そのルールを破って黒魔術を使っている。
それでも、使わずに済むなら使わない方がいい。
ルナ「うん。だから、ギリギリまではレイさんに
頼ることになると思う。ごめんね」
レイ「別に構わないさ」
僕が鞘のついた剣を構える。
ゾンビたち「ぐおおおお」
僕たちの存在に気付いたゾンビたちが
襲い掛かってくる。
ルナ「レイさん!」
レイ「うん。任せて」
『トンッ』
ルナ「えっ」
僕に背中を押されたルナが間の抜けた声をあげ、
ゾンビの群れの中に倒れこむ。
ゾンビたち「ガブガブ」
ゾンビたちがルナに噛みついた。
しかし、魔法使いのルナはゾンビにはならない。
そこで、ゾンビたちはルナの服を破りさらに
噛みついた。
ルナ「レイさん、どうして……」
ルナの声は、無数のゾンビの群れの中に
消えていった。
レイ「悪いね。
僕の目的はマンドラゴラの確保じゃなくて、
『退治』なんだ」
ゾンビたちがルナに夢中になっている間に
その横を通り抜ける。
レイ「みんな人が良すぎるよね。
事件の元凶であるユキノの言葉を
全部鵜呑みにするなんて。
どう考えても、
マンドラゴラを連れてこいのくだりは
マンドラゴラを殺させないための嘘じゃ
ないか」
僕は廊下を進む。
レイ「幻覚や呪いは術者を殺せば解ける。
赤ん坊でも知ってる常識だ」
さあ、悪を殺しに行こうか。
ヒーローらしく。




