第4話 そして体は動いた
レイ「アリス!!」
レイが叫んだ。
そして、アリスを庇って……
『ガブッ』
ゾンビに噛まれた。
カイト「……」
俺が言葉を失う。
俺は……見ていることしか出来なかった。
レイ「くっ……!」
ゾンビ「ぐおおおお!?」
レイがゾンビを吹き飛ばした。
ゾンビ「……」
ゾンビは動かなくなった。
アリス「れ、レイちゃん!」
カイト「レイ!」
俺とアリスが、レイに駆け寄る。
レイ「二人とも泣かないで……
僕は大丈夫……ではないか……」
レイがゾンビに噛まれた肩を押さえながら言った。
レイ「カイト……これを……」
レイが自身の剣を差し出す。
レイ「その剣で……僕を殺すんだ」
カイト「できるわけないだろ!」
俺がレイの願いを拒否する。
レイ「だろうね……。
カイト……アリスを連れて逃げるんだ。
君が……アリスを守るんだ」
それがレイの……彼女がゾンビになる前の
最後の願いだった。
でも、俺は……
カイト「お前を置いて逃げれるかよ!」
彼女の願いを拒否した。
アリス「そうよ!
レイちゃんも一緒じゃなきゃ嫌よ!」
アリスも俺と同じ気持ちだった。
レイ「そんなことをしたらゾンビになった僕に
二人が襲われるだけだよ」
カイト「それは……」
俺が口ごもる。
正直言うと、俺自身に関してはそれでも構わない。
けれど、アリスを巻き込むのは……
アリス「ねぇ……
噛まれてから時間たったわよね?」
カイト「えっ、ああ、だいぶ……」
レイ「いつ、ゾンビになってもおかしくないね」
レイが自嘲気味に笑う。
けれど……
カイト「いくらなんでも、遅くないか?」
他の噛まれた連中はすぐにゾンビになったのに……
レイはまだ、意識を保っている。
アリス「もしかして、レイちゃんは『抗体』持ち
なんじゃないかしら?」
カイト「抗体……?」
アリス「うん。某ゲームでは十人に一人が抗体を
持っていてゾンビにならないの!」
レイ「いや、そんな都合よく……」
レイがアリスの甘い考えを否定しようとする。
アリス「ううん。何もおかしくないわ。
だって、ゲームの主人公も抗体を
持ってたもん!」
カイト「そうだな。
レイは抗体持ちで間違いないな。
なんたってレイは……主人公だからな」
レイ「ほんと……君たちは大馬鹿だね」
レイが笑いながら立ち上がる。
レイ「でも、意識があるうちは二人を守るために
戦うとしようか。
……ヒーローらしくね」
レイが剣を握りしめる。
俺たちのヒーローが……復活した。




