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第36話 小さな発見

寒さが日に日に増していく。

でも、だからといって毎日が事件づくしってわけでもない。

今日は、そんな静かな日常から、小さな発見をお届けしよう。


「こんばんは。終末ラジオ放送局、レイです」

「マリです!今日も元気にやってまーす!」


「だんだん外は冷え込んできたけれど、この部屋の中はまだ少し温もりが残っていて安心するわね」

「うん。窓の外の空気はひんやりしてるけど、夕焼けが差し込むとちょっと癒される」


放送室の窓から差し込む赤い光が、壁をやわらかく染めていた。

その景色を眺めながら、二人は「今日も一日無事だった」と自然に感じていた。


「今日の探索は……正直、大きな収穫はなかったわ」

「でもね!物置を整理してたら、すっごいの見つけたんだよ!」

「ええ。古い雑誌と懐中時計。思わず手を止めちゃったわ」


「雑誌、ちょっと黄ばんでたけど、中身はちゃんと読めた!」

「ページをめくるたびに声をあげていたわね。楽しそうだった」

「だって!昔の街の写真とか、レシピとか、インテリアの紹介とか……普通の記事なのに、泣きそうになったんだもん」

「うん、その気持ちわかる。何でもない日常なのに、もう戻れない時間がそこにあって……宝物みたいに感じるのよね」


「あとね!懐中時計!あれがまだ動いてたの!」

「そう。耳を近づけると“コチ、コチ”と小さな音が聞こえて……思わずじっと聞き込んでしまったわ」

「なんか安心する音だよね。今の私たち、時間なんてあまり気にしてないのに」

「それでも、あの音が“ちゃんと未来へ進んでるんだよ”って語りかけてくれてるようで。妙に心強くなったの」


マリが時計を耳に当てて笑うと、レイはやわらかく頷きながら見守る。

二人でしばらく“コチ、コチ”という音に耳を澄ませ、心を落ち着けていた。



「それでは、今日のニュースです」

「ラジオ局の物置から、まだ動く懐中時計が見つかりました!」

「ゼンマイ式で、今でもしっかりと時を刻んでいます」

「大げさかもしれないけど、こういう発見ひとつで気持ちが救われることってあるんだよね」



「続いては妄想お便りコーナーです」

「今日のテーマは“寒い日に聴きたい音”」


「私はね……焚き火の音!パチパチって弾ける音、絶対あったかい気持ちになると思う」

「想像できるわ。火の明かりと一緒なら、なおさら安心できそうね」


「じゃあレイは?」

「私は雪の降る音かしら。静けさの中で、しんしんと積もっていく……あの感じ。実際には聴こえないかもしれないけど、耳を澄ませたら分かる気がするの」

「うわ、それいいなぁ!しーんとした夜に、そんな音がしたらロマンチック」


「今はただの妄想だけど……こうやって想像するだけでも、ちょっと寒さが和らぐ気がするわね」

「うん!リスナーのみんなも、それぞれの“聴きたい音”を心の中で探してみてね」

「聞いてる人…いるといいわね」



マリ「今日の懐中時計、あの音はずっと耳に残りそうだな」

レイ「ええ。時間を刻むだけなのに、安心するなんて不思議ね」

マリ「なんか、“まだ未来があるよ”って言われてるみたいでさ」

レイ「……ふふ、あんたって時々そういうこと真面目に言うのよね」

マリ「え、悪い?」

レイ「いいえ。むしろ頼もしいくらい」

マリ「よーし、じゃあ次はもっと大きな発見を探しに行こう!」

レイ「でも……心臓に悪いサプライズは、もうちょっと控えてほしいかな」

マリ「うわ、やっぱり気づいてた?」

レイ「ええ。全部お見通しよ」


二人の声が重なり、放送室にやわらかい笑いが広がっていった。


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