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第35話 冬の足音

風の冷たさに、季節が進んだことを知らされる。

昨日と同じように暮らしているつもりでも、外の世界は確実に変わっている。

少しの寂しさと、ほんのりした期待。

冬の足音を聞きながら、今日も声を届けよう。


「こんばんは。こちら、終末ラジオ放送局。レイです」


「マリでーす。今日も元気にお届けします!」


二人の声が交互に響く放送室。外はすっかり冷え込み、窓の向こうには白く霞んだ吐息が漂う。

夏の名残があった頃から考えると、気温の変化は本当にあっという間だ。


「今日の空気、ちょっと違ったわね。昼間の風から、冬の匂いが混じってた」


「うん。朝、外に出たとき息が白かったんだよ!思わず“あー冬が来るんだなー”って声に出しちゃった」


その一言に笑いながら、静かに補足を加える。

「外の住宅群も、日が落ちると一気に冷え込むわね。建物の影に潜んでいる寒さが、ひしひしと迫ってくる感じ」


「でも畑の方は無事!芽も荒らされてないし、今日は足跡もなかった!」


「ええ。この数週は本当に静か。……それが逆に不気味でもあるけど」


場が一瞬しんとするのを、明るい声が切り替える。

「ま、まあまあ!ニュース行こう、ニュース!」



「では今日のニュース。部屋を片づけていたら、棚の奥からホッカイロを見つけました!」


「おおっ!めっちゃアタリじゃん!」


「残り二つだけだったけど、この時期に見つかるのは本当に嬉しいわね」


「こういう小さなラッキー、すごく気分が上がるんだよな〜」



「ではここで“妄想お便りコーナー”。テーマは『自分では買わないけど、もらうと嬉しいもの』」


「うーん……あ、靴下!自分ではあんまり買い替えないんだけど、もらうとめっちゃ使えるやつ!」


「なるほど。私は……ちょっとした香り付きの入浴剤かしら。普段なら選ばないけど、もらうと“特別な日”って感じがして」


「いいねぇ〜。あったかいお風呂に入れるなら、それだけで最高だ!」


「ふふ。贈り物って、実用よりも“意外性”で嬉しくなることが多いのかもね」



マリ「冬ってさ、厳しいけどちょっと楽しみでもあるよな」

レイ「ええ。工夫すれば、美しさや静けさを味わえる季節だから」

マリ「よーし!じゃあ今年の冬も、楽しみながら乗り越えよう!」

レイ「ふふ、その意気ね」


二人の笑い声が、冷えた放送室をほんのりと温めていった。


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