第34話 3分クッキング、マリ流編
お腹を満たすのも、暮らしを支える大事なサバイバル。
けれど、ただ生きるだけじゃ味気ない。
だから今日も、私たちは小さな遊びを見つけて、笑いながら台所に立つ。
即席料理ショー、マリ流編のはじまりだ。
「こんばんは。こちら、終末ラジオ放送局」
レイの落ち着いた声が、いつものように放送を始める。
「さて、今夜はリスナーの皆さんお待ちかね……」
「誰が待ってるんだよ」
マリがすかさず突っ込むが、どこか楽しそうだ。
「マリの三分クッキングのお時間です!」
「……ほんっと、なんでこうなったんだか」
「人気コーナーだからよ」
「勝手に決めんな!」
机の上にマリが食材を並べていく。
缶詰のミートソース、乾麺、そして小さな畑から収穫した青菜。
さらに今日は、モール探索で手に入れた乾燥ハーブもそっと添えられていた。
「今日はな、パスタっぽいものを作ろうと思う」
「……っぽいって何よ」
「だって麺もパスタじゃなくて乾麺だしな。細かいことは気にすんな!」
大きめの鍋に水を入れ、ガスコンロに火をつける。湯がぐらぐらと沸き始める音が放送室のマイクに拾われ、なんとなく心地よいBGMになった。
「よーし、ここに麺を投入!」
マリはざぱっと乾麺を放り込み、菜箸でぐるぐるとかき混ぜる。
「その間に青菜をザクザク刻む!」
トントントンとまな板の上で軽快に包丁の音が響く。
「おお、料理番組っぽい」
「だろ?」
「……でも解説が雑すぎるのよ」
「料理なんて勢いとノリでどうにかなる!」
その間にソースの缶詰を直火で温める。
香ばしい匂いが漂い、レイの口元が自然とほころんだ。
「ハーブもちょっと入れとくか。ほら、オシャレ感出るだろ?」
「それは賛成ね」
「だろ?」
マリは鼻歌交じりで作業を続ける。
数分後、皿の上に“パスタらしき料理”が完成した。
青菜の緑とソースの赤、そこに乾燥ハーブの香りが重なり、見た目以上に食欲をそそる。
「さあレイ、実食だ!」
「……相変わらず命令口調ね」
それでもレイはフォークを手に取り、一口味わう。
「……あら、美味しいじゃない」
「ほんとに?」
「ええ、ちょっと塩気は強いけど、青菜がさっぱりしててバランス取れてる」
「だろ?見た目はイマイチでも味は勝負できるんだよ!」
「で、名前は?」
レイが半ば期待、半ば警戒しながら尋ねると、マリが胸を張る。
「“終末パスタ・マリ風スペシャル”!」
「……センスはさておき、味は合格ね」
「おいおい、ネーミングセンスも褒めろよ」
「ふふ、努力は認めるわ」
二人の掛け合いが続くうちに、放送室は笑い声と食欲をそそる香りに満ちていった。
レイ「次は私の番かしら」
マリ「おう、勝負だな!今度はデザート対決でどうだ!」
レイ「そんな贅沢、材料次第でしょ」
マリ「……だったらまた探しに行くしかないな」
レイ「ほんと、あなたの胃袋は底なしね」
マリ「食べなきゃ生きられないからな!」




