28話 ブランドよりも機能!
今の世界に、もう流行はない。
けれど、懐かしい憧れは時に小さな笑いを生む。
笑いながら選ぶその先に、ほんの少しの生きやすさがある。
「こんばんは。こちら、終末ラジオ放送局」
レイが柔らかい声で始める。
「さて今日は、探索帰りの特別放送でーす!」
マリが楽しげに報告する。
「駅前の洋服屋さんに行ってきました!」
「お気に入りのセーターが虫にやられちゃったからね」
レイが補足する。
「寒さに備えて、ちゃんと防寒できるものを探しに行ったわ」
マリは声を弾ませる。
「いやぁ、残ってるんだよねぇ、意外と!
コートにジャンパー、厚手のセーター……でもさぁ」
「……ん?」とレイが促す。
「ブランド品、ないかな〜ってちょっと探しちゃった!」
マリが照れくさそうに笑う。
「昔、手が出なかったやつとかさ。こういう時に限って見つかったら嬉しいじゃん?」
レイは呆れたようにため息をついた。
「ブランドなんて今さら意味ある? 今は機能で選びなさいよ。防風性とか撥水性とか」
「わかってるよー。でもさ、ちょっとだけ夢見てもいいじゃん」
マリが拗ねたように答える。
「……まあ、そういう気持ちも悪くないけどね」
レイが小さく笑った。
二人はしばらく服を見比べながら語り合う。
「結局、しっかりしたダウンと、作業用っぽいけど丈夫なジャケットをゲット!」
マリが明るくまとめる。
「これで冬も安心だな!」
「ええ。穴だらけのセーターからは解放されたわ」
レイが笑う。
「ではここで、妄想お便りコーナー!」
マリが声を張る。
「ラジオネーム“おしゃれ迷子さん”からのお便りです」
『デートに着ていく服がなくて困ってます。どうすればいいですか?』
レイがすかさず答える。
「そんなの、相手と一緒に選べばいいじゃない」
マリが吹き出す。
「おお〜!それ正解だな!未来がある人はいいよな〜!」
二人は顔を見合わせて、笑いながら放送を締めくくった。
マリ「なぁ、次の探索で見つけたい服ってある?」
レイ「そうね……丈夫なズボンかしら。膝に穴が空いたら困るし」
マリ「俺は……派手な靴下!」
レイ「……そこは真面目に答えなさいよ」
マリ「いやいや、大事だって!靴脱いだ時にテンション上がるじゃん!」




