第23話 戦利品お披露目!
一つひとつの荷物には、物以上の意味が宿る。
安心、工夫、そして少しの笑い。
戦利品を並べるこの時間は、日常を取り戻すための儀式だった。
「こんばんは。こちら、終末ラジオ放送局」
レイがいつもの調子で声を響かせる。
「今日はね、遠征の戦利品をお披露目していこうと思います!」
「いやー、机の上がまるでフリーマーケットみたいだな」
マリが呆れつつも楽しそうに笑った。
レイはひとつずつ机の上のものを手に取って紹介していく。
「まずは軍手! 探索の基本よね。次は園芸ネット、これは畑の防御強化に使います」
「あと、縄とロープも確保。これでちょっとした修繕や補強もできるな」
「薬局で見つけたガーゼや絆創膏もあるよ。いざって時に役立つはず」
並べられた戦利品は、どれも生活を少し豊かにしてくれるものばかりだった。
「……で、ですよ」
レイがにやりとマリに視線を送る。
「昨日、“後のお楽しみ”って言ってたやつ。そろそろ発表してもらいましょうか?」
マリは一瞬わざとらしく溜めてから、机の下からゴトリと取り出した。
「ジャーン! こちら、工具コーナーで見つけた“なんちゃって武器セット”!」
彼女の手には、鉄パイプと頑丈なハンマーがあった。
「……って、やっぱり武器じゃない!」
レイが思わず突っ込む。
「いやいや、ほら。獣が出てきた時とかに丸腰よりマシでしょ?」
「まぁ……確かに。だけどちょっと物騒よね」
「でも頼りになるでしょ?」
「……そうね。実際ちょっと心強いかも」
二人は顔を見合わせて笑った。
「生活用品の中に、こんな“秘密兵器”が混ざってるなんてね」
「秘密って言っても、放送でばらしちゃったけどな」
「まぁリスナーさん(妄想上)には内緒ってことで!」
机の上の戦利品は、光を反射しながら彼女たちの笑顔を映していた。
「さて、続いては今日のニュースです!」
マリがいつもの調子で読み上げる。
「拠点裏の畑の芽、順調に伸びてます。雑草も元気に生えてます」
「それニュースか?」
「立派なニュースだよ。生きてる証だからな」
「……まぁ、そうね」
レイは笑って頷いた。
「あともうひとつ。図書館で拾った街の地図に、“旧市街のパン屋さん”のマークがあったんだよな」
「うわぁ、それはちょっと夢が広がるわね」
「残ってるわけないって思うけど……もし奇跡的に何か残ってたら」
「パンの化石、とか?」
「それは食べたくないな!」
二人の笑い声が放送室に響いた。
「さてさて、恒例の妄想お便りコーナー!」
レイが楽しげに声を張る。
「今日のお便りはラジオネーム“工具大好きマン”さんから」
マリが読み上げ始める。
『この前の遠征で、いいものを見つけました。鉄パイプにガムテープを巻いたら、なんだか最強感が出ました。名前をつけるとしたら、“パイプ・オブ・ジャスティス”! どうですか?』
「……いや、絶対マリが送ってるでしょ」
「違う違う! ほんとに“工具大好きマン”から来たんだって!」
「怪しすぎるわねぇ」
レイは呆れつつも吹き出した。
レイ「……でもマリ、あの鉄パイプ重すぎない? 絶対持ち歩きで後悔するやつ」
マリ「その時はレイに任せる!」
レイ「ちょっと! 自分で持ちなさいよ!」
マリ「冗談冗談、半分こね」




