第15話 もし終末にCMがあったなら
お風呂と洗濯を終え、少し清々しい気分で迎える放送の日。
いつも通りの拠点、いつも通りの放送室。
でも、今日はなんだか遊び心が芽生えて――。
「なぁレイ、もしさ、まだテレビとかラジオのCMがあったら、どんなの流れてると思う?」
「……また妙なこと考えるわね」
そんな会話から、15話はちょっと特別な“妄想CM大会”が始まる。
「こんばんは。こちら、終末ラジオ放送局」
レイが声を整える。
「さて今日はですね……特別企画!“もし終末にCMがあったなら”!」
マリが勢いよく宣言する。
「いやー、こういうの昔は普通にあったよな。車の宣伝とか、アイスの宣伝とか」
「この世界じゃどっちも絶望的ね」
「だからこそ妄想だよ!よし、一発やってみよう!」
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マリが急に声色を変える。
「えー、皆さん!今日のおすすめは“ほこり舞う缶詰フェア”!
今ならサビかけたツナ缶が3つで1セット!賞味期限は気にするな!」
レイが思わず吹き出した。
「そんなの買う人いないでしょうに」
「じゃあレイの番!」
「えっ、私!? ……仕方ないわね」
レイは咳払いして、淡々とした声で言う。
「今夜も冷たい床で眠るあなたに。“廃ビルの段ボール寝具セット”。
虫はついてくるかもしれませんが、それも一緒にお楽しみください」
マリが机を叩いて笑い転げる。
「やばい、それ逆に欲しくなるやつ!」
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「さて、ここで“今日のニュース”です!」
レイが我に返って声を整える。
「ニュースその一!洗濯物、しっかり乾いてました!」
「おぉ〜!それはありがたい!」
「ニュースその二!放送室の隅で、昔の雑誌を発見!」
「なになに……あ、懐かしい広告が載ってる!」
「……こういうのを見てると、ますます今日の妄想に現実味が出るわね」
二人の笑い声が、少しだけ昔のラジオを思い出させた。
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「さて、それじゃあ……次は何しようか?」
「そしたらいつもの妄想お便りコーナーでもやりますか!」
マリが掛け声を入れる。
「今回のお便りは〜! ラジオネーム・CM大好きっ子さんから!
“昔のCMで好きだったものはなんですか?”」
「私は……洗剤のCM。家族が楽しそうに洗濯物を取り込むやつ」
「俺は、アイス!夏に汗かいた子供が食べてるやつ!」
「やっぱり食べ物ね」
「当たり前だろ!食べ物CMは永遠なんだ!」
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「というわけで、今日は“もし終末にCMがあったなら”特集でした」
レイがまとめる。
「たまには馬鹿なこと考えるのも悪くないわね」
「だろ?俺たちのラジオだし、何やっても自由だ!」
「……でも次は、もう少しまともな内容にしましょう」
二人の笑い声と、ほんの少しの余韻が残った。
マリ「よし次はジングル作ろうぜ!」
レイ「また面倒なことを……」
マリ「“ちゃららら〜♪終末ラジオ〜♪”みたいな!」
レイ「……それ、著作権とか大丈夫なの?」
マリ「この世界じゃ関係ないって!」




