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私の顔

作者: 椎名 園学


昔から自分の顔が嫌いだった


父親譲りの癖のある眉毛や太い唇、男のような顔だった。みんなは「普通だよ」とか「可愛いよ」とか言ってくれるけど「綺麗なあなただからそう言えるんでしょ」ってどこか捻くれたこと思ってしまって。

今ではガラスや鏡なんかの顔が反射するものがあると叩き割ってやろうとどこか癇癪のようなものまで芽生え始めていた


それは水でも同じで友達からプールに誘われた時も水の反射で写った自分の顔を見てイライラして友達を傷つけそうだから毎回適当な嘘をついて断り続けてきた


ある日友達に誘われて洋服を買いに行こうと商業施設に入ると正面入口にちょっとした噴水があった。


入口はここしかないのでしかめっ面をできるだけ隠して進むと友達が噴水に寄っていった。終いには「写真撮って」なんて言われて


ピースで固まっている友達をスマホ越しに見ていると噴水の水から人の顔のようなものが私を見ているのが見えた


友達にはバレないようにゆっくりズームしていってスマホ全体が顔で埋まる程まで広げると、その男はにんまり笑った。私の顔だった


それでようやく気づけた気がした。

私が今まで自分の顔だと思って見てたものは私じゃなくてこいつなんだって。いつでもどこでも反射するものからこいつが顔を覗かせて見てたんだって


反転させて自分の顔を確認したけどにんまり笑う自分がいるだけだった

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