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代行サービス、運否天賦です  作者: 成城諄亮
第2生 小笠原悠月
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第1話

 オレの名前は小笠原悠月(おがさわらゆづき)。6月8日の誕生日で10歳になるよ。義務教育だから小学校には在籍してるけど、今は全然学校に行ってない。3年生の夏休み終わりまでは元気に登校できてたんだけどね。あ、でもオレ学校大好きだから、早く行きたいって思ってるよ。それに、野球やってたから、早くチームに戻って練習もしたいんだよね。でも、今は難しいみたい。しばらくはココで入院生活。本当は寂しいけど、パパやママ、あとお兄とお姉に心配とか迷惑かけるなんて駄目だから、明るく元気に頑張らないとなって。あっ、ねぇねぇ、君はどんな病気に罹ってるの?


  *


 田舎でも、ちょっと都会の総合病院4階にある小児科病棟。その一室、小さめの1人部屋に入院しているのが、小学4年生の小笠原悠月。小柄だけど女子ウケ抜群の顔つきをしていて、そして、誰よりも明るくいる自信があって、小笠原は自分の性格を、ひと言でこう表す。「みんなを引っ張っていくリーダータイプだ」と。そして小笠原は、多くの人から尊敬されたいという気持ちを強く抱いているものの、根っからの誠実さにより、どうしても引き立てられることが多い。そういう小学生の男の子である。


 そんな小笠原の将来の夢は、プロリーグで活躍できる野球選手になること。そのため、憧れている人も、もちろんプロ野球選手。と言っても、チームは特に関係ない。ただ、現在の小笠原の身体の状態では、野球どころか、スポーツすらもやってはいけないと、担当医師から言われている。そのせいもあって、強く憧れていた野球選手になることを、諦めることも視野に入れ始めているのだった。


小笠原は家族の前では弱いところを一切見せない、強い男子でもあった。銀行員の父と会社員の母に厳しく躾けられ、喧嘩が強い5コ上の兄と、正義感の強い2コ上の姉から散々言われながらに育ってきた小笠原。幼少期の頃から、泣いたとしても誰からも、一切慰められたりすることはなく、「泣くなんて恥ずかしい」などと言われ、怒られてばかりだった。そのこともあって、いつからか小笠原は人前で泣けなくなり、誰の前でも気丈に振る舞い、強がってしまう癖がついてしまっていた。

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